第6話
「おはよう!郁里!昨日はどうだったよ〜?」
学校に着いて教室に入った瞬間に伊織に言われた。だから憎しみの念を持って
「お前今度手加減しないからな。」
と答え、その後に
「別に普通だよ。一緒にゲームしようとしたけど長井さん用事出来て帰ったから。」
「え、一緒に?」
「まあ、家の方向同じだったから。」
「へ〜、お前結構やるじゃんか!」
どの口が言ってんだと喉元まで出かかった言葉を飲み込んで自分の席に着く。しばらくしてから叶音さんが来た。
「おはよう郁里くん!昨日はごめんね、今日は絶対できるから!」
と言う声が聞こえたと同時にクラスの目線が僕に刺さる。
「あ、お、おはよう叶音さん。わかったよ。じゃあ今日の放課後ね。」
「うん!楽しみにしてるね!」
意地でも会話を終わらせたくて素っ気ない態度になってしまったことにちょっと後悔しながらも、それでもテンションが上がっている叶音さんを見てちょっと嬉しくなった。
「おい郁里、お前ガチじゃん。」
「…うるせ」
悪態をつきながら窓の外を見たら未だ満開の桜が目に入る。そういえば窓見ること多いけどまともに桜とか見たことないな。
「ねね、今日の放課後俺も混ぜていい?」
「良いけどさっきも言った通り手加減しないからな。」
「うげー!なんで!?」
「……教えねえ。」
「このっ郁里お前っ!!教えてくれても良くね!?」
「やだね、大人しく僕にボコボコにされろ。」
「くそー!!!」
ということで僕の憎しみは早速今日の放課後に晴らせるようになった。
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