第195話 コラボ配信後の打ち上げ
三人(海里・綾佳・レイナ)は近くの居酒屋に移動していた。コラボ生配信の打ち上げである。
海里は女装を解き普段の姿になり、綾佳とレイナは軽く変装をしていた。
「コラボ配信大成功を祝して…乾杯!!」
「「乾杯!!」」
綾佳は持っていたコップを高く掲げた。
それに合わせて二人も高くコップ掲げて、カチンと鳴らした。
「今回コラボ配信のおかげでチャンネル登録者もかなり増えたんじゃない?」
綾佳に言われて海里は机の上に置いてあった携帯を手に取った。自分の携帯では彼女のチャンネルには繋がらないので、ホーム画面で見ることにした。
『チャンネル登録者数 10万人』
綾佳の言う通り登録者数はかなり増えた。
きっとコラボ配信をやり、レイナのファンもチャンネル登録してくれたのだろう。有難いものだ。
「かなり増えていて今、10万人になってるよ。レイナさんとのコラボが良かったらしい」
「じゅ…10万人!!??コラボ配信するだけで、そんなに伸びるの?!」
「当たり前ですわ。私のファンの人達は"箱推し"をする方ばかりなので。DDですわ」
DDとは誰でも大好きの略で、レイナが最初に言っていた箱推しと同じ意味だ。
「なるほど〜!!でも私は単推しがいいな…私以外のアイドルに目移りしてほしくないし」
「その気持ちは分かりますが、色んなアイドルの方を推していただき、最後に"佐倉レイナ"を推して良かったと思って貰えればいいのです」
レイナの言い分も分かる。他のアイドルと比較してもらい、最終的に自分を選んで貰う。海里がマネージャーになってから何度も見たことのある光景でもあった。
「それなら…私はファンの人達に"瀬倉綾佳"を推して良かったと思って貰いたい」
「その粋ですわ!あと気をつけるなら———」
レイナはふと海里の方を見た。
「………っん?———俺?!」
「そうです。詳しいことは言いませんが、これからの海里さんには気をつけてもらわないと」
「大丈夫ですよ。週刊誌に撮られないように気を付けていますので」
「もう、海里くん突然そんなこと言わないでよ!だんだん恥ずかしくなるじゃん」
突然綾佳が海里の背中を叩くと、頬に手を当てて照れていた。彼女の平手打ちは少し痛かった。
「あはは…」
どこに恥ずかしくなる要素があるのか分からないが、海里は顔を引き攣りながら苦笑した。
「お待たせしました———」
ちょうど頼んでいた料理が運ばれて、机の上に並べられた。
◇◆◇◆
頼んでいた料理も大分減り、打ち上げも終盤に入ってきたころ、会話はプールの話になってた。
「それでプールの日程ですがいつにしますか?」
プールに行くのは夏休みと決まっているが、細かい日程までは決めていなかった。
そして発案者の綾佳と鍵となる海里がいることから、レイナがタイミング的に今だと思った。
楓、麗音に関しては、【常夏の美少女】のグループメッセに後で送ることが出来るので問題はなかった。
「そうだね…8月初旬の土日だね。夏休み入ったらすぐに水着買いに行くとして」
「確かにその日程ならいいかもしれませんね。私たちのお仕事関係もあるので」
海里は二人の会話を聞きながら、携帯のスケジュール管理のアプリを開いた。
そこには綾佳の仕事のスケジュールが書かれていた。
「綾佳は7月下旬は仕事があるから難しいね。で、初旬は今の所空いているから大丈夫そう」
「あら…水着買いに行くのは7月下旬ですよね。仕事と聞こえたのですが?」
「あっ、それは大丈夫だよ!私、自分のスケジュールの空いている日だけは記憶しているから!」
「そうなのですね」
海里は苦笑しながら頬を掻いた。
「あとは土日でも二人の意見を聞かないとね。メッセで聞くしかないね!」
「私が後でグループメッセに送りますわ。それと水着買いに行く時は海里さんはどうするのですか?」
「俺は颯斗と水着買いに行く約束をしているぞ」
これは以前颯斗と話し合って決めたことである。
女子グループが買いに行くなら、自分たちは男子グループで行こうと言ってきた。
「なるほど…それなら同じ日に水着を買いに行きましょう」
「えっ!?私、プールの時まで海里くんに見せたくないよ!!」
「大丈夫ですよ。水着のお披露目は当日までのお楽しみにしますので」
「それなら私は全然問題はないよ!」
「海里さんもよろしいですか?」
「えっと、大丈夫ですけど…あとの人達がどうするかが…」
楓、颯斗、麗音の三人のことである。
彼、彼女たちの意見を聞かずに話を進めていいものかと思った。
が、
颯斗は現役アイドルとのお買い物が出来るので喜びそうだし、楓は面白そうと言って話を乗りそうと思った。麗音に関してはどうゆう反応するか予想が付かなかった。
「うふふ。御三方、特に麗音さんに関しては私に任せてください」
「レイナちゃん!あとは任せたよ!」
「はい。私にお任せください」
レイナは優しく微笑みながら呟いた。
海里は自分の飲み物を一気に飲み干し、二人を交互に見ながら微笑した。
そして話は一通りまとまり、打ち上げはお開きになった。
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