第194話 コラボ配信 後編
未だに拗ねている綾佳を他所に、海里とレイナが話を回していた。
「それで海さんの女装化は、私の化粧技術によって変化しているのですよ」
「レイナさん。それ以前にも話しましたよ」
「それでも今回初参加の人がいるかもしれないでしょ?例えば私のファンの人達とか」
レイナの一言でコメント欄に彼女のファンが一斉に投稿してきた。
『初参加です!レイナちゃんの技術凄いですね!』
『自分のファンを大事にするレイナちゃん。最高すぎます!!』
『レイナちゃんに化粧してもらえる海ちゃん羨ましすぎますよ!!!』
レイナの言う通り、ファンの人達は初参加の人達が何人かいた。
そして海里の化粧を彼女が担当したことを聞いて、叫んでいる文面があった。
「確かに何人かいますね。あと、今にも発狂しそうな人も」
「うふふ。私の化粧技術を体験できるのはごく一部ですもの。ファンからしたら発狂したくなりますわよ」
「ちょ…レイナさん。怖いことを言わないでくださいよ。貴方のファンに刺されたくないですよ」
「大丈夫ですよ。私のファンは皆んないい子達ですからね。そうですよね、皆さん?」
レイナは視線にカメラを向けて、ニコッと微笑んだ。すると視聴者は一斉に、『もちろんです!』と流れた。
「海ちゃんのことは私が守るよ!」
ここで綾佳が復活をした。
「あらあら、綾佳さん。それでは海ちゃんに告白をしているようですわよ」
「なっ?!そ、そんな訳ないじゃん!!」
「頬を赤く染めて動揺していたら、説得力無くなりますわよ」
綾佳の顔を見ると頬を赤く染めているのが分かる。そして彼女はまた頬を膨らませていた。
『綾佳ちゃん?!海ちゃんに告白をするの?!』
『↑そんな訳ないだろ。マネージャーとアイドルは禁断の愛だぞ』
『そうだよな。綾佳ちゃんの演技だよな。流石、綾佳ちゃん。女優も出来るね!』
コメント欄も謎に盛り上がっていた。
寧ろ、炎上せずにここまでネタとして活用する二人のファンの人達に尊敬したいと海里は思った。
「それでは当事者の海さんに話を聞きたいと思います。海さん、綾佳さんのことをどう思っていますか?」
レイナは自分の手をマイクがわりにして、海里の口元に差し出した。
海里は嘘だろ…と思いながら、チラッとコメント欄に視線を向けた。
『レイナちゃんいいぞ!!』
『当事者の海ちゃん。どう答えるか見ものですなぁ〜』
『ワクワク!!』
何で楽しそうにしているんだよ。視聴者のコメントに批判はなく、寧ろ面白半分で楽しんでいた。
「マネージャーとして自慢のアイドルでもありますし、一人の人間として尊敬しています」
生配信=ふとした発言で一瞬で炎上する世の中だ。SNSで広まるのも早い。なので、海里はネットニュースにならないように言葉を選びながら発言をした。
「つまらないですわ。これでは何も盛り上がりませんわよ!!」
「海ちゃん。そんな恥ずかしいことを真横で言わないで〜」
レイナは不満そうに頬を膨らませて、綾佳は頬に両手を添えながら口元が緩んでいた。
『カッコいいぞ!海ちゃんに綾佳ちゃんを託す!』
『えっ…男なのに惚れそうなんだが』
『私もそんな風に言って欲しい〜!!!』
コメント欄にはマネージャーとして応援をしてくれるコメントが多かった。その中に少し気になるコメントがあるが、それは気にしないことにした。
今回のコラボ回はトークメインで回していたので、すでに二時間が経っていた。海里としてはそろそろ終わらせるつもりでいた。
理由としてはレイナが余計なことを聞いてくるので、これ以上墓穴を掘らないためである。
「そろそろ終わりの時刻になってきましたね」
「えーもう終わりなの。もっとやりたかったのに」
「時間が経つの早いですわね」
海里の言葉に綾佳は服の袖を引っ張り、レイナは名残惜しそうな顔をしていた。
「24時間配信をやるつもりですか?」
「あはは。それは流石に眠くなるよ。だから海ちゃんの言う通りにしよう」
綾佳はサムズアップをして返答をした。レイナも微笑しながら頷いた。
「という訳で、動画を閉じたいと思います」
海里が発言をするとコメントが多数流れてきた。
『濃い2時間だった。次回も期待だ』
『相変わらずグダグダなのに、面白すぎて飽きなかった!綾海最高!!』
『色んなコラボ配信を楽しみにしてます』
今回も好評だったようだ。
ここで一つお知らせをすることにした。
「ここでお知らせがあります。今日の午前中にゲーム収録をしました。その動画が近々公開されるので良かったら見てください」
『おぉ!!綾海チャンネル初の動画ですね!!』
『ゲームだと!?それは見なければ!!』
『収録バージョンはどんな感じなのか…ワクワク』
海里が宣伝をすると、楽しみにしているコメントが多数流れた。これなら高評価も確実だろう。
「皆んな、私たちの動画楽しみにしていてね!」
「私も見てましたけど、なかなか面白かったので期待しても大丈夫ですよ!」
二人の発言でさらにコメント欄は盛り上がった。
「それじゃあ、配信を見てくれてありがとうございました」
「また機会があったらやるので、是非見てくださいね!」
「綾海チャンネルをよろしくお願いしますわ。あと私の応援もよろしくお願いします」
「「「バイバイ!」」」
海里、綾佳、レイナはカメラに向かって手を振った。
『楽しかったよ!バイバイ!!』
『その機会が来るのを待ってます!バイバイ』
『ありがとうございました!!!』
数秒間コメントを見たあと、海里はタイミングを見計らって配信を切った。
こうして2回目の生配信も大成功で終わった。
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