第193話 コラボ配信 前編
午前中の収録を終えた二人(海里・綾佳)は、レイナと北島を含めた四人でお昼休憩をした。
お昼には事務所が用意したお弁当を食べ、あっという間に午後の生配信開始時刻になっていた。
「綾佳さん。今日の生配信のことはツイートをしておりますよね?」
「もちろん!ファンの皆んなが楽しみにしているコラボだから、忘れずにツイートをしたよ!」.
コラボ配信をやることは前日に宣伝済みだった。
初配信の時から期待されていたコラボだけに、ツイートして数秒でいいね数が500に達した。
「綾佳さんありがとうございます。私は開始1分前に綾佳さんのツイートをリツイートさせていただきますね」
「何故1分前…なんですか?」
「それはですね、ギリギリにツイートした方がファンの人達は見ないといけないという心理になるでしょ?」
レイナは微笑して言ってきた。
海里は、「なるほど」と言いながらも、30分前でもいいのではと思った。
だけど、それを言ったらレイナの機嫌を悪くしそうなので、言葉を飲み込んで苦笑した。
そして生配信の開始時刻になった。
「皆さんこんにちは!どうも綾佳です!そして隣にいるのは私の自慢のマネージャーの———」
「———海ちゃんです」
「「二人合わせて綾海です」」
配信開始と共に二人は恒例の挨拶をした。
レイナは呼ばれるまで、横で待機となっている。
『待ってました!!』
『初参加です!レイナちゃんまだー?』
『今日も海ちゃん最高だよ!』
コメント欄も盛り上がってきた。
同接もすでに一万になっていた。
「今日も盛り上がってきたねー!」
「すでに一万越えはやばいな。流石、トップアイドル瀬倉綾佳だ」
「今回は私だけの力ではないよ!ということで海ちゃん、早速ゲストを呼んじゃいますか」
「まだ早い気がするが…」
海里はチラッとコメント欄を見た。
『ゲスト!!レイナちゃん!!!』
『困ってる海ちゃん可愛すぎる笑』
『綾佳ちゃんいいぞ!勢いで行っちゃえー!!』
どうやら視聴者もレイナのことを待っているらしい。ただ一つ気になるコメントがあるが、気にしないことにした。
「分かった。ゲストを呼ぼうか」
「では海ちゃんから許可が貰えたのでゲストを呼びたいと思います。今回のゲストは…前回お知らせした通り佐倉レイナちゃんです!どうぞ!」
海里と綾佳が手を叩きながら出迎えると、レイナは手を振りながらカメラ内に入ってきた。
「皆さんこんにちは!佐倉レイナです!」
レイナが挨拶をするとコメント欄が一気に流れた。
『レイナちゃん来たー!!』
『このコラボは神すぎる!』
『グダグダ配信になるのか…ならないのか』
海里と綾佳はコメント欄をチラッと見ると、レイナに視線を戻して口を開いた。
「それではレイナちゃんに話を聞きたいと思いますが、今回のコラボ配信を楽しみにしてましたか?」
「最初の質問がそれかよ(笑)」
「そうですわね。かい…海さん、綾佳さんとコラボ配信は私自身も楽しみにしていました」
綾佳のいきなりの質問にも、レイナは冷静に質問に答えていった。そして彼女は、「それに」と言葉を続けた。
「動画配信を進めたのは私なので、最初のゲストになるのは当然だと思っていましたよ」
レイナは胸に手を当てながら、ドヤ顔で言ってきた。
『なんと!レイナちゃんが進めたんだ!!』
『裏話が聞けるのは最高!!』
『確かに進めたレイナちゃんが初回のゲストにならないとね!』
コメント欄はまた一段と盛り上がった。
裏話を聞けたのが良かったらしい。
「レイナちゃん?!それを言ったらダメじゃん!」
「何でですか?視聴者の方はこーゆう話を求めているのですよ?」
「確かに視聴者は裏話とか聞くのは好きだな。実際に俺も裏話聞けると嬉しかったし」
「ほら、海さんもこう言ってますし、何も悪いことはないでしょ?」
「くぅ……海ちゃんの裏切り者!!」
綾佳はぽかぽかと叩きながら言うと、最後は頬を膨らませて拗ねた。
『綾佳ちゃんのプク顔可愛い!』
『2対1で綾佳ちゃんに勝ち目がなさすぎる笑笑』
『レイナちゃん策士かな』
三人の掛け合いをネタに、視聴者はさらに盛り上がりを見せていた。
そして同接もすでに三万人に達していた。
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