第191話 グループ名【常夏の美少女】

 その日の夜。海里はリビングにて紅茶を飲みながらまったりと過ごしていた。その横では綾佳が仕事で出された宿題をしていた。


「そー言えば、私のことを置いて聞きにいった颯斗くんの話はなんだったの?」


 綾佳はノートに走らせていたペンを止めて、海里の方に視線を向けて聞いてきた。


「それが楓ちゃんからの伝言で、夏休みにプールに行くからねって話だった。それと綾佳のことを置いていった訳ではないからね」


「なるほど…(楓ちゃんは颯斗くんを使って、海里くんのやる気を出させにきたか…)」


 綾佳は顎に手を当てながらぶつぶつと呟いた。


「綾佳どうした?」


「……っん。何でもない」


 海里が首を傾げながら呼ぶと、綾佳な微笑しながら返答をした。


「それとさ、綾佳からプール行く話を聞いていないんだが?」


「あはは…本当は昨日話そうと思ったんだけど、ふとギリギリまで秘密にしたら面白いかなって思ったんだよね」.


「いやいや、それはかなり大事な予定だぞ。その話を聞いていないと、何も用意も出来ないし」


「そうだよね(笑)でも颯斗くんから聞いたから、準備は出来るから良かったね!水着も買いに行くんでしょ?」


「その予定ではある。綾佳は楓ちゃんたちと買いに行くのか?」


 海里は自分の水着を颯斗と買いに行くことになっていたが、綾佳はどうするのだろうと思った。


「そうだよ。私と楓ちゃんとレイナちゃんと麗音ちゃんの四人で行くよ!ほら、グループも作ったの!」


 綾佳は机の上に置いてあった携帯を手に取り、操作したあと海里に画面を見せた。


 その画面にはグループ名【常夏の美少女】と書いてあった。


「常夏の美少女…これは誰が名付けた名前だ?」


 大方予想はついているが、海里は答え合わせをする為に綾佳に聞いた。


「もちろん!私だよ!!楓ちゃんもレイナちゃんと麗音ちゃんも皆んな賛成してくれたし!」


 綾佳はドヤ顔をしながらサムズアップをした。


 やっぱり…綾佳の考えた名前だった。ネーミングセンスがもう綾佳だなって分かってしまう。

 それに引き換え楓ちゃん、レイナさん、麗音さんの三人はまともな名前を作るはずだ。


「ははは…それは良かったね」


 海里は苦笑しながら頬を掻いた。


「うん!それで海里くんに聞きたいんだけど…」


 綾佳は下を俯きながらもじもじをした。


「何を聞きたいんだ?」


「その…ね。海里くんはどんな水着が好きなのかなって…大会の時とはまた別で…」


「み…水着ですか。そ、そうですね…」


 海里は髪を触りながら顔を赤くし、少し考えてから口を開いた。


「清楚系の水着…かな。青や白とか好き」


「ふむふむ。清楚系なのね。少し恥ずかしいけど、海里くんが脳死出来る水着を選んでくるね」


「の、脳死?!ほどほどでお願いしますね」


「うふふ。楽しみにしていてね!私は海里くんのみ…水着を楽しみにしているからね…」


 綾佳は恥ずかしそうにしながら呟いた。


「頑張らせていただきます」


 海里は返事をして自分の携帯に集中することにした。綾佳も止めていたペンを走らせて、宿題の続きを始めた。

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