第184話 グリーンバックって代用もあるんだ
ファミレスから帰宅した海里と綾佳は、夜の身支度を終えた後リビングにて配信の話をしていた。
「グリーンバックって100円ショップでも売ってる物で作れるらしいよ」
綾佳は携帯の画面をスライドさせながら、グリーンバックについて調べていた。そして目当ての物を見つけると、画面を海里向けて見せた。
「ほんとだ。グリーンバックって誰でも手に入るんだな」
「それとね、面白い記事を見つけたんだ!」
そう言うと、綾佳はもう一度画面を自分の方に向けるとスライドさせて海里に見せた。
「なんと、ブルーシートでも代用出来るんだって!!凄くない?!これは革命的だよね」
「革命的なのかは分からないが…ブルーシートで出来るのは凄いな」
「どうする?私たちはグリーンとブルーどちらを選ぶ?」
「そうだな…俺たちはまだ配信に関しては分からないことだらけだ。ここで代用のブルーシートを選んで出来なかったらお金の無駄遣いになるな。無難なグリーンバックにしようか」
「そうなると…100円ショップで買うことになるね」
「だな。それで必要な物は何があるんだ?」
海里に質問され綾佳はもう一度携帯で先程見ていたページに戻り口を開いた。
「フェルトと安全ピンだけでいいらしい。それか緑の布だけ」
「その二つは何が違うんだ?」
「最初のは安全ピンでフェルトを繋げて大きくする感じで、緑の布は棒とかに洗濯バサミで吊るすだけだって」
「なるほど。話を聞く限りだと緑の布でいいかもしれないな。事務所にはそれを掛ける服掛けみたいなのもある…よね?」
海里は自信満々に話していたが、自分の言葉に途中から自信を持てなくなり綾佳に聞いてしまった。
「………多分あるとは思うけど、私もそこまで見ていないからね」
「そうなのか。とりあえず、緑の布だけ買うとするか」
「だね!そして組み立てとかに関しては、未来の私たちに頑張ってもらおう!」
「あはは…そうだな。(絶対に綾佳が嘆く未来が見える)」
「……そろそろ就寝しようか」
綾佳は口元を手で隠しながら小さく欠伸をした。
「そう…だな。それじゃあ、俺も部屋に戻るよ」
海里はもう少し綾佳と話をしていたい気分だったが、彼女が疲れているのが顔つきで分かったので自分も戻ることにした。
「おやすみ海里くん」
「おやすみ綾佳」
それぞれの自室の前で就寝の挨拶をして、部屋の中へと入っていった。
◇◆◇◆
side 寺本海里
部屋に戻った海里はベッドの上で体育座りをしながら携帯を見ていた。
グリーンバックを使うにあたり、注意事項などを確認するのを忘れていたからである。
「なになに…グリーンバックは配信で加工する時に使います。———っは?!」
海里と綾佳はグリーンバックを生配信でも使おうと考えていた。それが生配信で使えないとなると、本末転倒になってしまう。
それに今のところ生配信をするだけで、収録した動画を公開することを考えていなかった。
だが———
「楓ちゃんの希望を叶えるには、色々と配信について考えていかないとだな…」
海里は頭を悩ませながら、ベッドに横たわった。
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