第181話 初回配信の打ち上げ

side 国見&北島


 国見と北島は事務所の応接室にて、二人(海里・綾佳)のライブ配信を見ていた。

 そして配信が終わるのを確認すると、国見はパソコンを閉じた。


「なかなか面白い配信でしたね。二人の個性がハッキリと出ていて大成功では?」


「そうだな。佐倉レイナの協力もあるが、ここまでやれるとは俺も予想外だったよ」


 国見は初配信で多少の成果を出ればいいと思っていた。が、想像以上で社長として内心嬉しかった。


「ずっと心配していましたもんね。さてさて、シークレットミッションの結果と行きましょうか」


 北島は閉じたパソコンをもう一度開き、チャンネル登録者数を調べた。


「おぉ…二万五千人。しかもまだ上がっていますよ。これはミッション達成ですね。それも20倍以上にして」


「これは海里くんの給料を上げるのを前向きに考えないとダメだろうな。約束は約束だし」


「そうですね(笑)もしかしたら、綾佳さんがまた交渉しに来るかもしれませんしね」


「はぁ…書類関係が大変になるな」


「事務手続き頑張りましょうね」


 国見と北島は苦笑しながら、それぞれの持ち場へと戻っていった。


XXX


side 寺本海里


 ライブ配信を終えた三人(海里・綾佳・レイナ)は、配信部屋で打ち上げを開いていた。


「海里くん。レイナちゃん。初回配信お疲れ様でしたー!!乾杯!!」


「「乾杯」」


 三角形にくっつけた机の上には、お菓子やジュースなどが置いてあった。これらは全てレイナが用意した物である。


「無事に配信が終わったから良かったけど、終始グダグダすぎたな」


「んね。だけど配信の時も言ったけど、グダグダでやるのが私たちらしいと思うんだよね。視聴者さんたちもそう言ってくれたし!」


「私もお二人のそのスタイルは側で見ていて、いいと思いましたよ。唯一無二のスタイルになるので、視聴者獲得には有利ですね」


「なるほど。レイナさんの言う通り、配信には唯一無二も必要。自分たちにしかないスタイルでやれば、チャンネル登録者数100万人も夢ではないということか」


「 !! 100万人も行けるかなー?毎日配信をやる訳ではないから、伸びないと思うけど?」


 綾佳はそう言いながら、袋からテンポよくポテチを取って口に運んでいた。


(毎日配信をやれば伸びることは確かだ。だけどトップアイドルの瀬倉綾佳だ。綾佳が思っている以上のことが絶対に起きるはずだ)


 海里はそう思いながら、自分の携帯を手に取りチャンネル登録者数を確認した。


「綾佳。チャンネル登録者数が三万間近になってる。一日でこれは凄いと思うよ」


 海里は綾佳とレイナの方に画面を向けると、二人は顔を画面に近づけた。


「凄い勢いで数字が動いているじゃん。なにこれ。こんなに上がるの?!」


「はっはは…綾佳さんのことだから余裕だとは思っていましたが、ここまでとは」


 綾佳は数字が上がるのを楽しみながら見ていて、レイナは苦笑いをしながら驚いていた。


 海里は自分の方に画面を戻して、今度はエゴサをして評判を見ることにした。


『綾海チャンネル斬新すぎてやばい。次回の配信は佐倉レイナさんとのコラボらしいので期待』

『他の動画配信者では見られない独特のスタイルで、なかなか面白かった。見る価値あり』

『グダグダなのに、最後まで見てて飽きない配信ははじめて。次も楽しみ』


 SNSに投稿されていた投稿はどれも好印象で、次回も期待してくれていた。


「でだ、次の配信はいつにするんだ?SNSにも次回の配信はいつなのかって投稿が多いぞ」


「そうだね〜 お互いのスケジュールが合わないと出来ないから、今は判断できないね」


「そうですわね。私もスケジュール関連がまだ曖昧なので、分かり次第すぐに伝えますね」


「ありがとう!それまでに、私と海里くんは次の配信内容を考えないとね」


「今度は三人で遊べるゲームか… とりあえず、何かしら探してみるよ」


「綾佳さん。海里さん。ありがとうございます。私、配信の日を楽しみにしていますね♪」


 綾佳と海里は同時に頷いた。


 そして打ち上げは17時半まで行われて、片付けを含めて18時に解散となった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る