第170話 水瀬翼は知りたい
海里たちが激辛に挑戦してた裏で、水瀬翼が女子会という名の報告会について妹の楓に聞いていた。
「楓、昨日報告会というのをしたらしいな」
「なっ…何故それを?!」
楓は姉の翼に一言も報告会について話していない。なのに、姉はその活動を知っていた。楓は首をコテンと傾けて、ジト目で姉を見つめた。
「そんな目をするな。私が知っていた理由はこれだ」
翼は机に置いてあった携帯を手に取り、操作すると画面を見せてきた。
楓はその画面をよく見るとメッセージ画面で、送り主は佐倉レイナだった。そして文面をよく見ると、私にあったことやその時の会話が書いてあった。
「レイナさん…情報漏洩しているよ。はぁ…」
「私にしか送ってないから大丈夫だ。それにレイナが楓のことを可愛かったって言ってたぞ」
「そっ…そうですか。それでお姉ちゃん、くれぐれも秘密は守ってよね!!」
「分かってるさ。さぁ、内容を教えてくれ」
「もう…教えるから、ちょっと待ってて」
楓は一旦立ち上がると、キッチンへ向かいお茶菓子を持ってきた。話はそこまで長くはないが、何かしらないと話す気になれなかった。
「それでお姉ちゃんはどの話が知りたいの?」
「自慢の妹が、どんな風にあの男の子をやる気出させたのか知りたいな」
翼はそう言いながら、楓が持ってきたお茶菓子を口に運んだ。
「そうですね。簡潔にまとめて話しますと、ヘタレの海里さんがいつまで経っても弱気だったので、私が一喝しました」
「簡潔にまとめ過ぎているが、楓が一喝するなんて珍しいな。姉の私だって、楓のそんな姿を見ることなんて滅多にないぞ」
「そんな恥ずかしいことを言わないでください…自分でも何であんなことをしたのか…」
楓は自分の顔を手で覆いながら、首を大きく振っていた。その様子を見ていた翼は、口角を上げながら嬉しそうにしていた。
「私は見たかったな。———それで、話の続きを早く聞かせてくれ」
「はいはい… そのあと、いつどこで告白したいのかなどの話をしました。同時に私たちとWデートしますかなど」
「青春しているな。そしてお砂糖成分多すぎだろ。ラブコメ漫画かよ」
「もしかしてお姉ちゃん、最近少女漫画や少年漫画とか読み始めた?言動とかが…」
ここ数週間の姉の様子を見ると、明らかに様子がおかしかった。まさしく、ラブコメ漫画を見ていないと言わないだろう台詞ばかり。姉は普段はそーゆうのを読まないので、妹の楓にとってその変化は敏感に感じ取れていた。
「………っん。まだオフレコなんだが、とある作品のオファーを貰ってな。それで青春系の漫画を読み始めたんだ。私は恋愛経験ないだろ?」
「そして、私と綾佳さんの恋愛話も役作りの糧にしようと考えた訳ね」
「流石、私の妹だな。それだけの話で、そこまで辿り着くとは」
「だって、お姉ちゃん分かりやすいもん」
「むっ…それは気をつけないとな。んで、綾佳はその話を聞いてどんな表情をした?」
「色んな表情を見せてくれて、とっても可愛かったです!!」
楓は恍惚とした表情を見せながら、その時のことを思い出しながら姉に伝えた。
「楓、まだ話は終わってないぞ!!戻ってこい」
姉に呼ばれて、ハッ…!っと意識を取り戻した楓は、一つ咳払いをして口を開いた。
「取り乱しました。それと話は以上です」
「これで終わりな訳ないだろ。レイナはどんな感じだったんだ?」
「レイナさんは関係ないでしょ?」
レイナは綾佳にただ着いてきただけ。その時に彼女も少しは反応していたが、主に私に対して褒めていたことが多かった気がする。
「関係ないかもしれないが気になるだろ。あのレイナがどんな感じだったのか」
そんなこと言われても話すことはないのだが… 姉は聞きたそうな顔をしていた。
「話を聞いて、私の手腕に驚いていました」
「その場面が想像つくよ(笑)」
「レイナさんって、レパートリーが豊富ですね」
「そうだな。それでも頼りになるから、仲良くしていて損はないぞ」
「お姉ちゃんがそう言うなら、もっと仲良くなりたいな…」
報告会の時は話だけして解散となったので、連絡先とか交換はしていなかった。連絡手段がないので、レイナと仲良くなりたくても出来なかった。
「レイナに連絡先渡していいなら、私から送っておくぞ?」
楓の様子を見て、翼は携帯を見せながら言った。
楓は、「お願いします!」と姉言って、姉はすぐにメールを送った。
「これでレイナからメール来ると思うが、すぐには来ないと思うから待ってな」
「分かった!お姉ちゃん、ありがとう!!」
「これくらい妹の為ならお安い御用だよ。それに参考になる話も聞けたし、そのお礼もだな」
「そっか… なら、お姉ちゃんも撮影頑張ってね!」
「ありがとう。励みになるよ」
話を終えた二人は翼の部屋に移動して、パソコンで動画配信サイトを開きアニメを見て過ごした。
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