第157話 颯斗にカミングアウトする?
綾佳side
「海里くん、ただいま」
楓との密会を終えた綾佳は家へと帰ってきた。
「おかえり綾佳。用事って一体なんだったんだ?」
「海里くんには内緒だよ!」
「……そうか。なら、そこまで無理には聞かない」
そう言って、海里はリビングへと戻った。
海里には悪いけど、今回ばかりはバレてはいけないのだ。この作戦が彼に一つでも漏れたら、自分がやろうとしている外堀作戦はすぐに崩壊する。
それでも彼には一つ伝えないといけないことがある。颯斗に同棲していることを伝えるかどうかだ。
(でも、海里くんなら伝えなくてもいいと思うよと言いそうだな…)
海里が言いそうなことを想像しながら、リビングへと向かった。
◇◆◇◆
海里side
夜ご飯を終えた海里と綾佳はソファーに座りながらゆったりしていた。
すると、綾佳が突然海里の方を向き口を開いた。
「海里くん、話があるんだけどいいかな?」
「う…うん。大丈夫だよ」
海里の返事を聞き、綾佳は話し始めた。
「最近さ、颯斗くんが海里くんに家に行かせてほしいって言っているよね?」
「あぁ、颯斗は俺の家がどんな感じなのかずっと見たいってうるさいな。だけど、ここは俺の家って言うより、綾佳の家だから断っているな」
「そうだよね。だからね、今度颯斗くんを家に誘ってもいいよ」
「…………っ?!」
まさか綾佳の方から颯斗を家に誘おうと言うとは思わなかった。
彼女はアイドルなので、下手に男を家に入れているところを見られてはいけない。
「颯斗を誘うってことは、俺と綾佳が同棲していることがバレるってことだぞ?それはダメだろ」
「そうだよ。颯斗くんにカミングアウトしちゃおう大作戦的な?」
「ごめん… ちょっと言っている意味が分からない」
海里は手を頭に当てながらため息をついた。
綾佳は、「ま、そうなるよね」と苦笑していた。
「でも私と海里くんの二人だけだと不安だから、もう一人の協力者として楓ちゃんに頼むのはどうかな?」
「楓…ちゃん?確かに楓ちゃんなら颯斗の扱いも上手いし、暴走したら止めることもできるかもな」
「それだったら、颯斗くんにカミングアウトしても大丈夫でしょ?」
「そうだけど、別に颯斗に伝えなくてもいいだろ」
その台詞を聞いた綾佳は突然微笑した。
「な、なんだよ… なんか変だったか?」
「ううん!何も変ではなかったよ!———それで、楓ちゃんにメールしてくれる?」
「分かった。綾佳の言う通り、楓ちゃんにメールしてみるよ」
海里はポケットに入れていた携帯を取り出し
『綾佳が颯斗に同棲の件を伝えるらしく、楓ちゃんにも手伝ってほしいと頼まれたんだけど… 大丈夫?』
楓にメールを送った。
と思ったら、数秒で返信が返ってきた。
『大大大大丈夫です!!颯斗の暴走を止める役目はこの楓に任せてください!!』
の文章のあとにサムズアップしている猫のスタンプが送られてきた。
「楓ちゃん、ノリノリで受けてくれたよ」
「ありがたいね!作戦決行はいつにしようか?」
「明日の放課後とかどうかな?」
「いいね!それじゃあ、楓ちゃんにも予定を送っといてね!あっ、住所も送っていいよ!」
「分かった」
海里は再度楓に予定と住所を送り、明日の作戦を立てることにした。
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