第151話 体を鍛えていこう

 ジムへと入った四人は、男女に分かれて着替えをすることになった。

 更衣室へ移動する際、スタッフの人から着替えを受け取り海里は移動した。


 着替え自体は数分で終わり、今は三人が来るのを待っているところだ。


「海里くんお待たせ!———おぉ!海里くんの服かっこいいね!!」


 数分後、綾佳がやって来た。

 彼女は海里の全身の服装を見るなり、絶賛しながらサムズアップしてきた。


「ありがとう!綾佳もとても似合っているよ」


「えへへ、海里くんにそう言ってもらえると嬉しいな」


 海里が着ている服は、紺の半袖Tシャツに黒のハーフパンツと至って普通なのだが、彼女にはかっこよく見えるらしい。


「あら、とてもお似合いですわよ!」

「似合ってはいるが、もう少し肉体を鍛えろよ」


 すると、綾佳の後ろからレイナと麗音がやって来た。


 ちなみに彼女たちの服装だが、

 綾佳は黒とピンクのトレーニングウェア

 麗音は黒のトレーニングウェア

 レイナはヨガウェア

 を着用している。


「レイナさんありがとうございます。麗音さんは余計なお世話ですよ(笑)」


「おぉ、海里のくせに生意気だな」


 麗音は海里の首に手を回し、首を絞めて来た。

 その時に彼女の柔らかい胸がほっぺに当たったが、堪能するよりも呼吸が出来なくなる方が早かったので彼女の腕から脱出した。


「麗音さん、俺今死にかけそうでしたよ」


「大丈夫、大丈夫!お前はこんなことで死ぬことはないから」


「そう思うなら、今後は首絞めるのはやめてくださいよ」


「ま、考えておくよ」


 麗音と話を終えた瞬間、海里の服が引っ張られた。視線を向けると、綾佳が頬を膨らませていた。


「海里くん、麗音ちゃんの胸は気持ちよかった」

 

「綾佳…さん。その怒っていますよね?」


「怒っていないよ。それでどうだった?」


 綾佳は微笑しながら首を傾けてたが、目が笑っていないので彼女が怒っていると分かる。


(どうしたものか… 感想言ったら何されるか分からないしな)


 とりあえず、誤魔化しながら宥めることにした。


「率直に言えば、脱出するのに必死で胸とか全然気づかなかった」


「………そう。海里くんが嘘をついていないと信じるけど、帰ったら私も同じことをするからね… 」


 綾佳は段々と声が小さくなり、最後の方は海里には聞き取れなかった。


「も、もちろん!嘘はついていないぞ!」


「それじゃあ、そろそろ運動しようか」


 よく見ると海里と綾佳が話している間に、麗音とレイナは室内にある器具で運動していた。


 海里と綾佳もそれぞれやりたい場所に移動した。


◇◆◇◆


 あっという間に二時間が経った。


 海里は初めてのジムなので様々な器具を体験して、いまは上半身が謎の苦痛に襲われていた。


「あっ…… 腕が痛い。背中も痛い」


「海里くん大丈夫?」


「大丈夫… じゃない。結構きついわ」


「これは明日筋肉痛確定だね(笑)撮影なのに、どうしよっか」


「俺は筋肉痛でも何とかなる。綾佳が撮影に影響がなければいい話だから。大丈夫だよな?」


「うん。これくらいなら全然きつくないよ」


 綾佳はピースしながら言ってきた。


 さすがアイドルなだけはある。

 彼女は常にハードなレッスンをしており、体力もかなりあると思う。

 こんな弱々な自分よりも体力があると、ここで実感をした。


 そして麗音とレイナも黙々とルームランナーで走っており、彼女たちの本気を感じる。


「私もルームランナーで走ってくるけど、海里くんはどうする?」


「俺も少しだけ走りたいんだけど、ちょっといまは無理かな… もう一回走りたかったんだけど」


「無理はしない方がいいよ!また来たかったら、今度は私が連れて行ってあげるから!変装はして」


「そうだな。次の機会の楽しみに取っておくよ」


「そうそう!じゃあ、私の走りを見ててね!」


 綾佳はそう言って、麗音の横にあるルームランナーに立ち走りだした。


 彼女は段々とスピードを上げていき、あっという間に麗音とレイナと同じスピードになった。


「現役のアイドルはやっぱりすごいな… 俺もマネージャーとして、これからは体も鍛えていこう」


 海里は胸の前でガッツポーズをして、新たな目標を決めた。

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