第150話 実はレイナの正体は…
あれから数日が経ち、土曜日になった。
海里と綾佳は予定通り仕事はオフになり、昼頃に彼女の案内の元ジムに向かっている。
「ちょっと気になることがあるんだが、綾佳がジムに行ったら騒ぎにならないか?」
アイドルである綾佳が変装もなしに行ったらジムで騒ぎになると思った。
SNSだと芸能人が変装しないで行くのはよく見るが、それは御用達の所だと思っている。
だけど、いま海里が向かっているジムは一般人が多く通う所だ。
不安がいっぱいだった。
「ふっふふ… 海里が心配するようなことは何も起こらないよ。だって、私たちが向かっているジムは今日一日貸し切りにしてもらっているから」
「か… 貸し切り?!」
「そっ!一人だったら貸し切りにしないのだけど、四人ともなれば流石にね。それに男性の人と一緒にいられる所も見られたくないし」
「それだとジムの人が密告したら終わりなのでは?それに四人って… あと二人いるの?」
「密告って… (笑) まぁ、それは大丈夫だと思うけどね。それと残り二人っていうのが——— 」
そう言うと、綾佳は指を差した。
彼女が差した方向に視線を向けると目的地のジムがあり、入り口の前には二人の女性がいた。
一人目が、上品な服装で手を振る佐倉レイナ。
二人目が、上下黒の服装で暑そうな神山麗音。
「綾佳さん、海里さん、こんにちは」
「二人とも久しぶりだな!」
彼女たちは二人が目の前に来たタイミングで挨拶をした。
「レイナさんとは撮影以来ですね。麗音さんは元気そうでよかったです」
「そうですわね。献本の表紙とてもよかったですよ」
「私も見たが、海里なかなかやるな」
「ありがとうございます… あはは… 」
撮影は自分と綾佳とレイナの三人でやったので、レイナが献本を持っていてもおかしくはない。
だけど、それを麗音に見せていたとは思わなかった。
(まぁ、全国発売だしこれくらいでひよっていたらダメだよな)
次は綾佳が口を開いた。
「レイナちゃん、麗音ちゃん急な連絡だったのに、予定合わせてくれてありがとう!」
「私も次の撮影に向けてトレーニングする予定だったからタイミングはバッチリだな」
「えぇ、貸し切りも完璧に出来ましたし、何も問題はありませんよ」
綾佳、麗音、レイナの三人は微笑しながら話をしていた。
その話の中で「貸し切り」という言葉が出てきたので、海里はレイナに聞くことにした。
「レイナさん、貸し切りってどうゆうことですか?それにお金も掛かりますよね?」
「確かに貸し切りにする場合は普通お金が掛かりますね。ですが、佐倉ホールディングスが運営するジムならタダで出来るのです。何故なら、愛娘である私がお願いしたので!」
「レイナさんって社長令嬢なの?!」
「あれ?言っていませんでしたっけ?」
初耳なんですけど。
だけど、佐倉ホールディングスはかなり有名な会社なので、海里も一度は聞いたことある。
「レイナちゃんの家凄い大きいんだよ!!紅茶も高級だったし、また行きたいな〜!」
「そうですわね。今度は海里さんも是非うちに遊びに来てください」
「是非!お願いします!」
レイナの運営するジムなら、密告とかもなさそうだし安心だと思った。なので、色々と気になることも多いが、とりあえず今日のところは考えるのをやめた。
「それよりさ、中に入らないか?スタッフの人たちもソワソワしているし」
麗音は中を指差しながら言ってきた。
中を見ると、海里たちの姿が見えてからずっと入り口付近にてニコニコしながら立っている。
「そうですわね。では、皆さん入りましょうか」
「賛成!」
「どんな感じなのか楽しみだな」
レイナを先頭に麗音、綾佳、海里の順にジムへと入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます