第130話 約束のご褒美は早かった
プリクラコーナーへと着いた四人は、早速一台のプリ機の中へと入った。
どうやら楓のオススメのプリ機らしく、慣れた手つきで設定を終わらせていた。
「という訳で、海里さん、綾佳さん、あと三秒で撮影が始まりますのでポーズをしてください。颯斗もちゃんとポーズをしてね」
「ポーズか… やはり、イケメンに撮りたいな」
「えっと… 最初は好きなポーズでいいんだよね?」
「そうだよ!海里くん、ちゃんと聞いてた?」
「あっ!シャッターが押されます!」
楓がそう伝えると———
———カシャ
『次は猫のポーズで撮ろう!』
シャッター音が鳴り、次はポーズを指示してきた。
「皆さん、次は猫ですよ!!招き猫の真似をしますよ!!」
テンション高めな楓は、お手本を見せるように招き猫のポーズをした。
それに合わせて綾佳、海里は、後に続いてポーズを取った。
「ほら、颯斗も!!あー、残り一秒に…」
———カシャ
シャッターが押された。
海里、綾佳、楓はちゃんと招き猫ポーズをしたので可愛い猫になっていたが、颯斗は…
「なんで、うさぎのポーズなの!!」
「ここはさ、一人だけ違うのが面白いじゃん」
「みんなで合わせて撮りたかったのに…」
楓は涙目になりながら呟いた。
綾佳は楓の背中を摩って、「落書きで颯斗くんの場所に色々描いちゃお!」と悪巧みを伝えていた。
「そうですね。では、最後の写真も手取り早く撮りましょう」
気を取り直した楓は、すぐにカメラ目線になりシャッターを押されるのを待った。
ちなみに、最後のポーズは自由だったので、各々好きなポーズをしていた。
「それじゃあ、私と楓ちゃんは落書きをしてくるから、海里くんと颯斗くんは外で待っててね!」
「分かった」
綾佳は楓と共に、反対側の落書きできる場所へと移動した。
その間、海里と颯斗は無言の時間を過ごした。
———数分後。
「お待たせ!これが海里くんので、こっちが颯斗くんのね!」
綾佳が取り出し口から写真を取り、それぞれ渡していった。
楓も綾佳から受け取り、写真を見てニヤニヤしていた。
「おい、この写真の落書きって?!」
颯斗が突然騒ぎ出したので、海里は彼が指を指した写真を見た。
その写真は、颯斗がうさぎのポーズをしたやつだったが、落書きにより歯が出っ歯にされていた。
もちろん、自分の所にもあったが、ヒゲや丸鼻に変わってたくらいで可愛くなっていた。
「何か問題でもありますか?」
「いや、問題はないが…」
「それなら大丈夫ですね!海里さんも気に入ってもらえましたか?」
楓は海里の方を向き尋ねてきた。
「はい。とても可愛くなってますね!」
「うふふ… それをしたのは綾佳さんです。綾佳さんに感謝をしてください」
「綾佳が落書きしたのか!最高に可愛い猫にしてくれてありがとな!」
「ううん… 海里くんが喜んでくれるかなって思いやっただけだから…」
綾佳は髪の毛をいじりながら呟いた。
そんな彼女を見て海里は
(えっ… 何その仕草!?可愛すぎるだろ!!!)
最近、自分の感情に歯止めが効かなくなってる気がする。
(俺はマネージャーだ… 俺はマネージャーだ…)
自己暗示をしながら、改めて綾佳の方を見た。
「大事にするね!」
「………ん。私も大事にするよ」
「颯斗、いいですか?これを貴方にもやってほしいのですが… 無理ですね」
楓は颯斗に理想のカップルを教えたが、すぐに駄目だなと思ったらしく諦めた目を向けた。
「俺さ、頑張るから。もっと楓に信頼してもらえるように」
「颯斗…」
「海里くん、これで信頼してないなんて嘘みたいだよね」
「あぁ、もはや信頼を超えていると思うのだが」
「綾佳さん!?」「海里!?」
突然言われて、二人とも驚いていた。
逆に、海里と綾佳は先程の仕返しみたいなことが出来たので、とても満足していた。
「あっ、そろそろ時間が来てしまいましたね」
楓が腕時計を確認すると、時刻は15時前だった。
「楓ちゃん、また今度遊ぼうね!!」
「はい!私、綾佳さんとまた遊べる日を楽しみにしています!!」
颯斗と楓は最後まで手を振りながら帰っていった。
「それじゃあ、私たちも帰りますか」
「だな」
海里と綾佳も帰路に着いた。
◇◆◇◆
自宅にて。
時刻は午後九時。
海里と綾佳は夕飯を終え、リビングでゆっくりしていた。
「海里くん、今日は楽しかったね」
「そうだな。楓ちゃんの新たな一面を見た気がするよ。颯斗があそこまで負けるとは…」
「やっぱり颯斗くんは、今後も楓ちゃんに尻に敷かれるのかもしれないね」
「頑張れ、颯斗。負けるな、颯斗」
心を込めて海里は、友人の颯斗を応援した。
その様子を、綾佳はニコニコしながら見つめていた。
「それじゃあ、海里くんに約束のひざ枕をしてあげましょう!」
綾佳は自分の太ももに手をトントンと軽く叩き、頭を乗せるように促してきた。
「と、当日の夜に?!」
「そっ!その日のうちにひざ枕をしてあげるよ!」
「………それじゃあ、お言葉に甘えて…」
海里は恥ずかしがりながら、綾佳の太ももに向けて頭を下ろした。
彼女の太ももに自分の頭が乗ると、なんだか柔らかい感触がした。それに、胸のドキドキが止まらない。
「それじゃあ、ここで耳かきをしてあげましょう」
綾佳は机の上に置いてあった耳かきを手に取り、海里の耳掃除を始めた。
「ふっ…ふふ… 綾佳、やめて…」
「やめないよ〜!ご褒美なんだから、我慢しなさい!」
「そんな〜!」
綾佳は耳かきの手を止めず、海里に快楽と名のご褒美を与え続けた。
そのご褒美は反対の耳も行い、その時に綾佳からいい匂いがして色んな意味でご褒美になった。
海里にとっては長い夜に感じた。
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