第15話 一緒に食べよう!

 一旦撮影が終わり、昼休憩になった。

 海里はというと、新人マネの仕事として綾佳達の飲み物を買ってきたり、雑用の仕事を手伝っていた。

 そして海里も一息ついた時、綾佳が側に寄ってきた。


「ねぇねぇ、私の撮影初めて見てどうだった?」


「途中抜けてたけど、普段の姿と全然違くて驚いたよ」


「それは、いい姿を見せれたって事かな?」


 その言葉に海里は首を縦に振って、肯定した。


「それなら、よかった!さぁ、お昼食べようか」


「えっ、でも俺は一緒に食べる事は出来ないんじゃないの?」


「私に任せなさい!」


 綾佳はそのまま北島の元へ行き、何かを話し始めた。その様子を見ていると綾佳が何かを提案したような仕草をすると、北島は額に手を置きながら溜息をついて勝手にしなさいって感じに手をひらひらしていた。


「海里くん、許可は取れました!さぁ、私の控室に行こ!!」


「一体何を言ったら、許可出して貰えたんだよ。北島さんを困らせて…」


「えっ?普通に伝えただけなんだけどなぁ〜」


「綾佳が段々変わり者に見えてきたよ」


 海里の言葉に何故か笑顔になる綾佳。

 それを見た海里は「俺のせいで綾佳が変わってきたのか…?」と思いながら、綾佳に手を引っ張られ控室に向かった。



「ようこそ!私の控室へ!さっきは別々だったから見せられなかったから、やっと見れたね」


 控室に着くなりドアを勢いよく開けて、歓迎してきた。


「控室にそんな演出いるか?」


「こーゆうのは雰囲気が大事なのです!雰囲気が!」


 なんで二回言ったんだと思いながら、海里は中へと入っていった。


「それにしても、控室だから何も無いのは当たり前だよな」


「あるのは、昼のお弁当と私の荷物くらいだね。貴重品とかはマネージャーに預けてるんだけど、海里くんにはまだできない事だね」


「新人マネ、しかもバイトだからそれは無いのは当たり前。知らぬ間に盗まれてました〜ってなるぞ」


「えっ、海里くんそんな事考えていたの…?」


「なんでそうなるんだよ!!仮にだよ、仮!!」


 海里は慌てて弁解をする。

 慌てた海里を見て、綾佳は「冗談だよ〜」と笑いながら楽しんでいた。

  

「はぁ〜落ち着いた。じゃあ、お弁当を食べようか」


「そうだな。ゆっくりしてられないし」


 撮影に遅れる事はできない。

 もし、遅れるような事があったら…と、海里は部屋の中にある時計をチラチラ見ていた。


「海里くんさ、時間気にするのは分かるけど、とりあえずお弁当食べよう」


「ごめん。そうだな、今はお弁当を食べるのが先だな」


「そうこなくちゃ!」


 綾佳は鮭弁当を海里はのり弁を貰い、雑談をしながら美味しく頂いた。

 

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