第14話 現場
「おはようございます」
現場に着くと、綾佳がスタッフ全員に聴こえる声で挨拶をした。
それに合わせて、スタッフ達は綾佳の方に振り向き同じく挨拶をする。
「寺本さん、私について来てください。瀬倉さんはメイクさん達の所へ」
「海里くん、また後でね」
綾佳は手を振りながらメイクルームへ向かい、海里は北島の後ろを着いていった。
着いた先はプロデューサー室と書いてあり、今回の撮影の監督やカメラマンがいる場所だった。
「寺本さん、準備はいいですか?」
「はい…大丈夫です」
固唾をのんで、北島がドアを開けるのを見守る。
「失礼します。瀬倉のマネージャー北島です。今日は一人、新人マネージャーを連れて来てので挨拶に参りました」
「初めまして、寺本海里と言います。まだまだ未熟者ですが、今後ともよろしくお願いします」
北島の挨拶の後に海里が続けて挨拶をした。
挨拶が終わると、一人の男が顔を海里達の方に向けて口を開いた。
「これは、北島さん。今日は急に撮影を入れてしまいごめんなさいね」
「いえ、こちらとしても新人マネを紹介できるのでタイミング的には助かりました」
「そう言ってもらえると助かるよ。で、そっちの子が新人の子だね。えっと、寺本さんだったかな?」
「はい。よろしくお願いします」
海里は今一度挨拶をして、自分の事を覚えてもらうようにした。
「私はこの撮影指揮をする鹿島だ。今後、他の仕事現場であった際よろしくね」
鹿島はそう言って、現場の方へと行った。
横を通る時に海里は深くお辞儀をして、挨拶をした。
「寺本さん、今のがプロデューサーの鹿島さんです。瀬倉の撮影の時によくお世話になっているので、これから現場行く時は必ず挨拶に行ってください」
「分かりました」
「では、私達も現場に戻り瀬倉を待ちましょうか」
「はい」
そして海里はまた北島の後ろに着いて行き、最初の場所に戻った。
「やっと戻って来たねー!どう、私の今回の衣装は?」
撮影現場に戻ると、綾佳が椅子に座って海里達を待っていた。
そして海里達が見えると、立ち上がり衣装を見せて来た。
衣装は今回の撮影のタイトルである『学校生活』と言うことで、オリジナル制服を着ていた。
「あぁ、とても似合ってて可愛いと思うぞ」
海里がそう言うと、綾佳が急に頬を赤らめた。
「急に頬を赤くしてどうしたんだ?」
「だって…海里くんがそんな事言うなんて思わなかったから…」
「俺は素直な感想を言ったんだがな」
「それが反則なんだよ!!!」
綾佳は海里の方に近寄って、ポカポカと叩いてきた。
そんな綾佳を見ながら、海里は両手を上げて斜め上を向きながら攻撃が止むのを待った。
「瀬倉さん、いつまでそうしてるのですか?そろそろ始まるますよ」
数分間と続いた攻撃は、北島の一言で終わる。
「分かりました。海里くん、私の姿をちゃんと目に焼き付けなさいよ!」
「あぁ、この目できっちりと焼き付けとく」
すると綾佳はまた頬が赤くなり、海里の脛を蹴ってからカメラの前に向かった。
「くっ…綾佳、後で覚えとけよ」
そんな事を呟きながら、海里は膝をつきながら脛をさすりながら痛みを抑えていた
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