第12話 部屋ができました

「さてと、この物置にしてた部屋を海里くんの部屋へと変身させますか」


 家に着いてすぐに海里と綾佳は物置になっていた部屋に来ていた。

 今後、海里のプライベート空間になる為昨日から計画していたことの一つだった。


「綾佳さ、よくここまで荷物を溜められるね。しかも、開いてない箱まであるし」


「買ったのはいいんだけど、時間とかなくなってそのままにしちゃうんだよね」


「まぁ、分からなくもないけど。とりあえず、保留と捨てる物は分けないとだね」


「頑張ります…」


 そっぽを向きながら、綾佳は引き攣った顔をしていた。

 そんな綾佳を横に海里は、分別する為の場所を作っていた。


「綾佳、右が保留で左に捨てる物を入れてな」


「あの…全て残す物なんですけど…」


「ダメです。ちゃんと、数を減らしてください」


「じゃあ、開けるの手伝って欲しいかな〜」


 チラチラしながら、海里の方を見る。

 海里は仕方がないな〜と思いながら、近くにあった段ボールを開ける事にした。

 綾佳はそれを見て微笑み、自分の足元にあった段ボールから手をつけた。


「綾佳、このよく分からない筒はなんだ?」


「何だろう?私にも分からないから、捨ててもいいかな」


「おいおい、缶詰が大量に出てきたぞ。しかも、帆立と蟹が多いし…」


「あはは、一時ハマってて勢いで買ったんだけど、食べきれなくてしまってたんだった!そんな所にあったのか」


「他にもありそうな気がするんだけど…」


 開ければ開けるほど変わった物や缶詰などが出てくるので、食べ物関係は一旦リビングに置く事になった。

 そしてよく分からない物は保留にして、本当にいらない物は捨てる事にした。


「ふぅ…すっきりしたね〜」


「一時間半も掛かってたのか。それに、段ボールの数もやばいな」


「ゴミ捨て場に持って行こうか。私こっちの半分を持っていくね」


 海里も残り半分の段ボールを持ち、綾佳と共に一階のゴミ捨て場に行った。



 ゴミ捨てが終わり、次は部屋の模様替えをする。

 模様替えをするにしても、荷物がほとんどないので元からあった小さい机と本棚を譲り受けいい感じに配置した。


「因みに、この開かずの間みたいになってる扉の中にはタンスがあるから使っていいよ!」


「これ使っても大丈夫なのか?虫とか、カビ…」


「海里くんさ、時々忘れてると思うけど私アイドルだからね?空気の入れ替えとかはちゃんとやるからね。片付けは置いといてだけど…」


「忘れてはないけど、ちょっとね」


「もう何も買ってあげないよ!!」


「俺が悪かった。だから、お恵みを…」


 周囲から見たら親と子のやり取りだなと思いながら、海里は布団をしまう場所を考えていた。


「布団はどうしようかな」


「タンスの横にスペースがあるから、置けるんじゃない」


 そう言われて、布団と掛け布団を立て掛けると綺麗にしまう事ができた。

 

「やっぱりさ、ベットの骨組みでも今度買わない?布団しまう事もないし、そこのスペースあくし」


「まあ、おいおい買う可能性があるかもな」


「その時はちゃんと言ってね?私も一緒に見に行くんだから!」


「はいはい」


 また着いてくるのかと思いながら、海里は新しく出来た部屋を眺めて満足していた。

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