第10話
外に出ると目の前に何人か死神が集まっていた
夜斗を見て黄色い歓声が飛ぶ中、来夏が手を打ち鳴らした
「全員、拠点に一度移動します。その後天使族を討滅し、この世界が崩壊する前に現世に渡ることにします。覚悟ができた者は神機を召喚しなさい」
全員が各々の神機を召喚し、上へと掲げた
久遠と澪も、自身の神機でえる鳴雷を帯刀し、膝をつき夜斗と来夏を見上げる
「さて、そろそろくるぞ」
「悪い遅くなった!って、こいつらがこっちの第零機関か。じゃあ俺もいんのか?」
合流してきたのは一樹だ
唯利と共に行動していたのだが、夜斗に呼ばれてここにきた
唯利は混ざるわけにはいかないためひとまず電車に戻っている
そして一樹は神機を出し、久遠たちと同じように膝をついた
「よし。いくか、来夏」
「はい」
夜斗と来夏は手を空へと向けた
黒い風が夜斗に、白い風が来夏に集まっていく
「「夜刀神!!」」
風に見えたのは霊力だ
濃密なそれがサバイバルナイフを象り、2人の手に収まる
「出撃します」
来夏の声に合わせて全員が走り出した
久遠は片翼を出して空を飛び、一樹含む残りは本当にただ走る
「…久遠さんにとっては同族殺しになりますが」
「いいよ別に。どうせ私の世界での天使はほぼ全滅してるし、私を嫌悪してるから。結局同罪だよ」
「問題があるとすりゃ、霊斗だな。崩壊世界の霊斗は女だし、なんなら天使だ」
「それは私がなんとかします。あれでも友人ですから」
「じゃあ私たちはなんの躊躇いもなく駆逐するからよろしくね」
「一樹は主に他の死神のバックアップだ」
「おう」
移動しながらの作戦会議を終え、到着したのは1つの屋敷だ
表には天使…のような格好をした人形が置かれている
模造天使と呼ばれるそれは、自由意志を持たないものの、天使の力を使う
「…人形は俺が相手しよう。夜刀神、解放」
夜斗が飛び出し人形一体に斬りかかる
すると裏に隠れていたものを含めて七体が夜斗を取り囲んだ
それらを引き連れて少し離れたところへ移動を始める夜斗を横目に、来夏は部隊を進める
「あれは…獣人…?」
「そのようですね。どうやら、天使と結託して私たちを倒そうとしてるみたいですが」
「なら俺の出番だ。狂い鳴け!」
鎌に変わった神機を手に死神化した一樹が10人を相手取り、屋敷の壁を壊して外に追い出した
久遠•澪は神機を腰につけたまま進んでいく
「…っ!あれに見えるのは天使の雑兵ですね…。さすがの私でも、あの量は厳しいところがありますけど…」
「我々にお任せください!全員突撃します!」
後ろで控えていた死神たちが、雑兵と言った天使を外へ連れ出し離れていく
雑兵とはいえ彼らにとってはかなり重荷だ。それをわかっていて来夏を進めるため犠牲となる
「…あの部屋がおそらく、あなた方の言う霊斗がいる場所です。
「なるほどね。なら、私も本気を出そうかな」
「…澪と同じ力を持つならやめていただきたいところですが、この際仕方ありませんね」
苦笑する来夏を横目に、ドアを蹴破る夜斗
目の前の椅子に座っていたのは、ゴスロリに身を包んだ少女
少し前に久遠が戦ったメリーさんと似た背格好をしている
「…無礼が過ぎると思いませんか、来夏」
「貴女に言われる筋合いはありません。天使を率いて死神を奇襲した貴女には」
「思いやりを無下にされると、少々腹正しいところですが…。構いません、相手して差し上げましょう」
紗羅が椅子から立ち上がり、脇に控えていた天使2体を一歩踏み出させた
と同時に、その2体の上半身が下半身から落ちて倒れる
「悪いけど、手加減してあげられないよ。霊斗に該当するなら、私が2人いても勝てるかわからないし」
久遠は居合い抜きの姿勢のまま言い放った
一瞬驚きを隠せなかった紗羅と来夏だったが、すぐに平静を取り戻した
紗羅は翼を展開し、来夏は神機を解放•太刀へと姿を変えさせた
「紗羅…。貴女を止められるのはただ1人…」
「来夏。貴女を討ち、助けられるのはただ1人」
「「私です!!」」
紗羅はいつの間にか取り出した刀で来夏の夜刀神と切り結んだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます