第9話
来夏の背に見えたのは傷ではない
如月理論で言うところの精神構造体へのダメージだ
死神はそれを視覚的に認識することができる
そしてそのダメージを治すためには、天使が根源を除去し、死神が縫合のようなことをしなければならない
「んっ…」
「…変な声出さないでよ」
「も、申し訳ありません…。なんというか、つい出てしまって…」
「まぁ、死神は精神構造体が性感帯みたいなものらしいからね。天使に触られると性的な快感になるらしいよ」
「それは僕でも知りませんでした」
「私も…」
苦笑する澪と凪
久遠は至って真面目に、まずは神力で根源である神力を取り除いていく
人間に例えると弾丸の摘出に近い。そのため、麻酔のようなものがなければとてつもない刺激だ
それを死神の霊力で再現しながら、ゆっくり摘出する
その後、霊力を糸のように紡いで精神構造体を縫合し、仮処置を完了した
「こんな感じかな。どう?」
「…これは…。新しい扉が開きそうです」
「そっちじゃなくて、力は使える?」
「はい。神機との連絡もできました。夜刀神!」
起き上がった来夏のでに現れたのは、夜斗が使う神機と全く同じもの
刀身の中央に赤いラインが入った大型サバイバルナイフだ
「凪、今すぐ他の死神に回復を伝えてください。それと同時に、拠点の封印を解除。再度攻めます」
「まぁ待ってよ。どうせまた同じことになるでしょ」
「…それは…」
「1人より2人だよ。ねぇ、夜斗?」
「…気づいてたのか」
カーテンの裏から現れた夜斗が、夜刀神を手に来夏に手を差し出す
それを掴んで立ち上がった来夏は、夜斗を見て微笑んだ
「お久しぶりです、夜斗」
「久しぶりだな、来夏」
「ご健勝そうで何よりです」
「お前は…もう少し自分を大切にするべきだな」
「それは…そうかもしれませんけど、今は貴方が大切にしてくださるのでしょう?」
「…仕方ないな。共闘といこうじゃねぇか」
久遠は夜斗を見て少し笑い、澪に体ごと向き直った
「澪も神機あるんでしょ?」
「え?あ、あるよ。それがどうかしたの?」
「なら、これでいい感じに戦力集まったね」
「待ってください。澪は…」
「1人だけリスクゼロっていうのはナシだよ。澪だって、君を守るために神機を握ってるんだから」
頷く澪を見てため息をつき神機を影に入れた来夏
笑みを浮かべながら神機を影の中にしまう夜斗
2人は顔を見合わせて、同時に言い放った
「行くぞ、久遠」「行きますよ、澪」
「「はい!」」
ここでようやく、久遠と澪は笑うことができた
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