第11話 なんでいるの!?

東進は、駅の近くの公園で座っていた。子供が遊んでるのをぼーっと眺めていた。東進に声をかけ、合流し、今に至る


『東進は知ってた?夏美、さらにもう一段階上の計画を立ててたんだよ。すごくない?』


『え、あーそれ知ってたよ。』


『え!東進も知ってたの?まじかー』


『ごめんなー。なにせ加代陸は演技力がないから。教えられなかったんだ』


そう言って東進はププッと笑った


『笑うなよ!俺まぁまぁショックだったんだからな!』


『ごめんごめんて、しっかしすごいよなぁ。今頃あいつらは満足した様子でデート中だぞ。』


由香と健二がデート中だと聞いても心は痛まなかった。むしろ心が痛まなかった心に自分で驚いた


『すごいよなぁ。本当の嘘つきは騙されたことにも気が付かせないってことなのか…』


『ちょっとーその言い方やめてーあなた達が馬鹿なだけなのよ』


『これでも俺たちもまぁまぁ頭いい方なんだけどな』


『井の中の蛙ね。大丈夫、加代陸はいくら頭が悪くても私が養ってあげるから』


夏美は照れながら勇気を出して言ったのだが加代陸の耳には届かなかった。


『え?』


『お前さ、そう言う時だけ耳悪くなるのやめろよ』


見かねた東進が加代陸に言う。が、またしても耳には届かない


『……え?』


『お前…もういいわ』


『ごめんって!本当になんて言ったの?』



『もういい!』


加代陸が訪ねと、夏美は頬を膨らませて怒ってしまった。


『そっか…そういえばさ、東進、山岸桃についてどう思う?』


『あの子?んーなんだがガツガツしてて嫌な感じだなぁ』


『そう思うか…なんだが俺たちの学力に食いついてるみたいな感じだよな…』


『わかるなぁ…』


『東進はあの子とは、デートしないのか?』


『いやぁ無いな。っていうか俺最近モテ指数すげぇ下がってるんだけど。これじゃ上半期モテボーイビルボーダーチャートに乗れねぇよ』


『そのモテポーイビルボードチャートってなんなの?』


夏美が聞く


『全校生徒の中でモテ指数が高い男を発表すんだよ。それに載るには最低でも150は必要だって言われてるね』


『そうなんだ…まぁ私はモテなくてもいいんだけど、2人はモテたいの?』


『そりゃあ!そうだろ!』


僕と東進は声を揃えていった


『男の永遠の望みだぞ』


『数ある欲求の中で1番強い欲求だ。いや!むしろそれさえ叶えていれば死んでもいい!』


『そんなに…』少し夏美が引いている。これ以上はまずそうだ。


『それがあればハーレムを築けるからな!』


『東進、そのセリフはまずいんじゃ…』


『最低…結局女を垂らしたいだけじゃん』


『いや、そんなことないこともないけど…』


東進は弱気になってしまった。いつもならチャラい男の雰囲気で返事をするんだけどな。


仕方ない、励ましてあげるか


『今、モテモテ計画を思いついた。今度話すからボーダーチャートに一緒に載ろうぜ』


夏美に聞こえないように耳打ちした。計画があるのは嘘である。


『期待してるぞ?』


東進がニヤッと笑った。気を取り直したようだ。単純なのは長所だ。



『それよりこのつけ髭、見てみろよ意外と俺に似合ってるだろ?』


『うん、あの時は本当に老人に見えた』


『東進の演技も上手だった{死ね}』


夏美がしねの部分だけ死ねのイントネーションで言ったどうやらさっきの発言をまだ根に持ってるようだ


『やっぱりそうだろ?』


東進はそれに気づかず調子に乗ったそして

夏美に褒められて二へっと笑う


『このつけ髭つけ心地いいんだよなぁふわふわしててなんだがいい感じだ』


そう言ってつけ髭をつける


『あれ?お前こんなところで何やってんだ?さっきの爺さんと…さっきの警官も一緒じゃねぇか』


由香とデートをしている健二が現れた


くそっこいつエンカウント率高すぎだろ。なんで公園でデートしようなんて思うんだよ。水族館でもいってろよ!心の中で叫ぶ。神様に状況を嘆いても何も変わるわけではない。


由香はさっき売った犬をリードに繋いで連れている。犬は腹のあたりから出血していた。


そんな…さっきはあんな傷なかったのに。由香は動物が好きだから守ってくれると思ったが、変わってしまったのだろうか…あのままではかわいそうだし、犬に申し訳ない



『あーそう言うことか。警官もお前らのグルだったんだな。お前これどうやって償うんだ?』


『高校に入ってからもお小遣いもらってるでしょ?健二に渡した方が痛い目見なくて済むよ、もちろん15万も返してね』


『お、おいこいつらなんでいるんだよ』


東進はこのゴツい男に敵意を向けられて相当ビビっている


『あ?俺らがここにいて何が悪いんだ?』


健二が東進の目を見て圧力をかける


『い、いや、』


あっけなく東進の方から目を逸らしてしまった


『あなた、もしかして夏美?』


由香が警官の正体に気づいた。そういえば夏美も同じ中学だったな


『ええ、それが何か』


夏美は全く怖気付かない


『由香、こいつのこと知ってんのか?』


『うん。同じ中学だよ。覚えてないの?』


『こいつのことは知らねぇ。まぁいい、加代陸お前ちょっとこっちにこい』


いきなり僕の腹を蹴り、後ろに吹っ飛んだ


蹴り飛ばしてたらそっちに行けないんですけど?


『お前は相変わらず弱っちい体してんな。』


そう言って近づいてくる

お前がこっちに来んのかい


とにかく、逃げないと!そう言って立ち上がろうとすると健二が肩にガシッと置いて耳元でこう言った


『お前の大好きな由香、もう一発やっちまったよ。最高な味だったぜ』


こいつクソ野郎だ。でも何も言えない。俺を蹴り飛ばしたのも由香に聞こえない距離にするためだろう。


せめて能力を使えたら、こんなやつ倒せるんだが、もう5分ちょうど使ってしまっているあとで来る体へのダメージを考えると使えない。



『おい、なんとか言ってみろよ!悔しいだろ?クハハハハハハハハハハ!!』


相変わらずの悪役の笑い声で僕を罵倒した


『うるせぇなお前なんか。死んじまえ』


『お?言うじゃねぇか。これを食らってもその勢いでいられるかな!?』


僕の顔面を殴った。ゴンっと鈍い音が響く


それを見て夏美が顔をを覆う。東進は足が動かないようだ。その方がいい友達を巻き込むわけにはいかないしな。まぁそれにしても東進こいつ、最初の計画では健二をボコボコにする予定だったじゃねぇか!


そう思った直後夏美がこちらに向かってきた。

僕を助けるつもりなのだろうか。無理だ。やめてくれ


『くるな、夏美!』


そう叫ぶと夏美は泣き出してしまった。これでは夏美は逃げ出す精神状態になくなってしまった。あとの頼りは東進しかいない。


『東進!夏美を連れて逃げてくれ』


地面に倒れ込んだ姿勢のまま叫んだ。健二は東進の方を向いて言った。


『おいおいお前ら逃げる気か?あんな悪いことをして逃げるなんてよくねぇなぁ』


東進の肩を掴んだ


『お、おいやめろ』


東進はビビりながらそう言った


これはまずい、あいつを挑発してこちらに注意を引かせよう


『そいつは関係ないだろ!手を離してやれよ!デブ!』


『いーやそう言うわけにはいかねぇなしっかりこいつからもちゃんと金を徴収しないとなぁ』


健二が拳を振り上げた。


まずい、このままでは東進が殴られる


後遺症なんて気にせず能力を使うべきなのかもしれない


健二が拳を振り下ろす


東進は目を瞑った殴られる覚悟を持ったようだ


『やめろつってんだろうが!!!!!!!!』


周囲に声が響く

健二の腕がピタリと止まった



『お前…今なんつった?』


『やめろつったんだよ。雑魚』


『お前…調子に乗りすぎたな。』


そう言って健二が加代陸の方へズンズン歩いていった。


加代陸の目は真っ赤に染まっている


————————————-


星くれー

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