こちらの物語は産業革命時代のイギリスを連想させる、魔法が存在するスチームパンクの世界観の中で、主人公の探偵であるかわいらしい女の子が次々に様々な事件を解決していくミステリー作品です。
そして物語の語り口は相棒とも言える母である猫、という面白い構成となっています。とある事情により、「猫」のかわいらしい姿になっているのですが、いつでも娘をとても溺愛し、心配するその地の文の様子から母性愛が強く垣間見える作品でもあります。
話の流れは章を追うごとに一つずつ事件を解決していく短編のような区切りとなっており、読み進めていくなかで「こやつ怪しいな……」と、登場人物達と一緒に読者も推理して楽しめるという作品です。
2章の「蠢く人形館」からは主人公の恋のお相手になりそうな少年騎士も登場し、主人公のそれまでの機敏あふれる言動が急に正常に機能しなくなり、その様子は読んでいてめちゃくちゃ面白いです(笑)ますます目が離せなくなっていきます。
3章の「女王石」からはこの世界の壮大な歴史が語られ、作者さまの力量にとても驚かされました。かなり色んな知識を駆使しないとこのような世界観は決して作ることは出来ないだろうなと思います。
またこの世界での闇魔法の扱いの事柄や、騎士という職種の細かな配慮も、かなり深く練り込まれ、論理的にもとても作り込まれていてすごくワクワクします。
架空であるはずのファンタジーがすごくリアルに感じられ、そこに合わさる推理小説の展開にゾクゾクもします……!
どのようなラストを迎えるのか今からとても楽しみな作品です。
ファンタジー×推理小説の読み応え抜群なロジカルファンタジー!!
皆様にも楽しんでもらえたら嬉しいです。