ダニエル船長のその後と、木星よりもっと興味深い星
「私にははっきりと見えた、その大きな魔物が我々を食おうとしているところを」
これは地球に帰還したダニエル船長の言葉である。その後ダニエル一行を乗せた宇宙船はなんとか木星から離れ、その後半年間かけて地球に到着した。6名いた乗組員のうち1人は頭部打撲が原因とされる怪我で命を失った。本来なら保存カプセルに入れて帰還させるところだが、木星接近時の故障で動かなくなってしまったため、やむなくマニュアル通り宇宙にその遺体を返した。人類史上最も地球から離れた場所での宇宙葬だった。
ダニエルは「人類で最も巨大な
木星に着くって大変ですね。
地球外生命体についてよく取り沙汰されますが、お近くの木星ですらその内部は誰も見たことがないのです。大長編ドラえもんの世界のようになんらかの文明が実は知られないまま進んでいる、なんてこともあるかもしれません。現在の科学ではおそらくないことになっていますが、見たことがない以上、確認もできませんね。
と、ここまで木星について話してきましたが、実は(おそらく私が推測するに)この木星以上に科学者たちにとって興味深い星がなんとその近くにあったのです。命をかけて木星に近づくくらいなら、こちらの星を調べた方が人類にとってはるかに有益だと思わる、そんな星です。
その星の名はエウロパ、木星を取り囲む衛星の一つです。
衛星といえば、地球は1つで月、火星には2つフォボスとダイモスがあります。では木星はどうでしょうか。ガリレオガリレイの時代の望遠鏡で見つけることのできた「ガリレオ衛星」と呼ばれる衛星が4つあります。それがガニメデ、エウロパ、カリスト、イオです。これらは衛星と言いながら、とても巨大で、一番大きなガニメデは惑星である水星より大きいのです。また今はそれ以外にもおよそ70個以上の衛星があると言われています。
なぜこの中でエウロパが注目されているのか? それはこの星が厚い氷に囲まれて、その下には水があると言われているからです。この「水」がある、というだけでなぜここまで注目されているのか? それはこの水という物質が多々ある分子の中で突出して奇怪な性質を持っているからなのです。
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