第12話


「三人共お疲れ様でした。怪我はあったみたいですが、生きててくれて私は嬉しいです、それにしても切り傷に腹部の打撲なんて不思議ですね、何があったんですか?」


「恥ずかしながらスライム相手に慌ててただけです」


「私もうっかり、転んでしまいその時に切っちゃって‥」


「そうでしたか、一つ間違えば命に関わっていた事は間違い無いので、次からはもっと気をつけてくださいね」


「はい」

「ありがとうございます」

「ぅっす」


「これがスライム3匹の魔核の売却報酬です、合わせて銅貨6枚になります」


(ひとり銅貨2枚だとして、20円か…しょぼいな‥)


「次からはスライムから取れる液体や、身体の元になっていたゼリー状の物体があると更に上乗せされるので取ってくる事をおすすめしますよ」


「はい、頑張ります」


「まぁ無理だ―」

「トガリうるさい」


「はい」


「仲がよろしいですね、ではお疲れ様でした」


 トガリが余計な事を言う前にユアが引きずりながら出入り口に向かい、明桜がそれに続き三人は早足で隣の宿に向かった。


「ねぇアオ、アオは‥‥これからも私達とパーティーを組んでくれるの?」


 自然と明桜の部屋に三人で入り、明桜とトガリが地面に腰を下ろしたタイミングで、未だ座ろうとしないユアからそんな言葉が明桜に投げかけられた。


「逆に聞くけど、二人は俺がこのまま居て良いと思ってるのか?」


「俺は良いぜ。さっき殴ったから全部チャラだ」


「‥‥私も、別に気にしてないし、アオは逃げないで助かる道を私達にくれた、だから感謝してるのはほんと」


「ならそれでこの話は終わりだ、俺は抜けるつもりは無いよ、抜けたらスライムと走る奴を探さないといけないしな」


「また俺か!?」


「当たり前だろ」


「ぬぅぉぉおぉぉおおぉぉ」


「そういえば二人ともLvが上がったんだよな?」


「あ、そうだったっぜ」

「すっかり忘れてたわね」


「考えたんだけどさ、もう少し対人戦闘も想定しないか?」


「人と戦う、って事?」


「さっきユアも言ってたけど、今日あって明日も無いとは絶対に言い切れなくなった、それなら襲われる前提でこれからはやって行く方が俺は良いと思う」


「けど具体的にどうすんだよ、Lvが高い奴には勝てないぜ?」


「面と向かって勝つ必要は無いよ」


「ならどうすんだよ、逃げるのか?」


「そう正解」


「マジかよ」


「大真面目さ、トガリが言ってたけどLvが高い奴には勝てないって言ってただろ、それは何故だ?」


「そんなの向こうの方がSTRとかVITが高くて、こっちの攻撃は当たってもダメージが少ないのに、こっちは一撃で死にかけるんだ、当たり前じゃないか」


「まぁそういう事だ。相手がSTRとかVITに高く振っていたとして、俺達も同じ様に振っていたらそりゃLvが高い方が有利だ。それならAGIに振って逃げた方が生存確率は高い。それにこれは俺の勝手な予想何だがAGIにステータスを振ってる人はごく少数だと思う」


「どうしてそう思うんだよ、そんなの分かんねぇだろ」


「だってAGIが異常に早い奴が1人居てもパーティーの移動速度は変わらないし、常に走って魔物を倒し続ける人何て聞いた事無いだろ?それに人はAGIに振らなくても戦闘出来るし生活出来るからな。だからもし俺達がAGIにステータスを振って、追いついて来る奴が居たらそいつはAGIを主軸にした斥候とかだと思うが、そういう奴は戦闘力が低いから3人で相手すらば勝てるだろう」


「確かに、アオの言う通りかも」


「でもそれじゃ、魔物を倒しづらくなるだろ」


「トガリ、別にアオは極端にAGIに振れって言ってる訳じゃないのよ、VITに回して分を半分ぐらいと、STRにとかに回してた分を3回に一回ぐらいの量を回せば大丈夫だと思ってるわ」


「そういう事だ、不意打ちで死なない程度の防御力は必要だけど、移動速度が早ければ避けられる攻撃も増えるからな、喰らわなければ関係ないって事だ!」


「攻撃喰らわないのか!?そりゃ良いな」


「だろ?」


「おお!面白そうだぜっ!」


「それに俺とか、ユアは元々装備が軽いから走るのはそこまで苦じゃない、だからどちらかと言うとトガリが付いてこれる範囲で俺とユアは上げて行けば良いんだ」


「なら、トガリは今回の分AGIに振っちゃって良いわよ、トガリに合わせて次から私も変えていくから」


「おう、ステータス」

「ステータス」


「ステータス」


 明桜は二人が声を出してステータスを開いた為、慌てて同じ様に声に出してステータスを開いた。


(あれ、まさか声に出さないと普通は出ないの?まぁ気にしても仕方無いな)


――ステータス――

【文元 明桜】Lv3

【言魔士】Lv1


【H P】:19/44

【M P】:6/10

【STR】:1

【VIT】:7

【INT】:1

【RES】:1

【AGI】:1

【DEX】:1


スキル

【言魔法】Lv1

【言魔法対象】Lv1

【言魔法効果範囲】Lv1

【言魔法持続時間】Lv2


【言霊魔法】Lv1

【言霊魔法対象】Lv1

【言霊魔法効果範囲】Lv1

【言霊魔法持続時間】Lv2


パッシブスキル

【HP自動回復】Lv1

【MP自動回復】Lv5


『STP・1』『SP・9』『PSP・5』



(それにしたってHPはあれから1しか回復して無いのか。やっぱりHP自動回復に少し振ろうかな、じゃないと明日になってもHPが満タンにはならなさそうだ)


≪HP自動回復がLv2になりました≫

≪HP自動回復がLv3になりました≫


(さて俺の場合、問題はこのスキルだ。出来る事と出来ない事すら分からない、こういう時は大元のLvを上げたらどうにかなるか?)


≪SPが1不足しています≫

≪言魔法のLvは上げられません≫


(Lv1上げるのに10SPって壊れてるだろ、まぁ良いやそれなら次のLvアップまで待つとしよう)


「そろそろご飯でも食べに行こうぜ!」


「そうだな、俺も腹減った」


「私も~」


「なら早く行こうぜ」


 トガリに連れて三人は一階に行き、今日からパーティーを組んでるとは、傍目からは絶対に分からない程に和気あいあいと楽しそうに食事をとるのだった。


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