第24話 後方支援での攻防!

夜の内に誰にも気付かれぬ様に馬車とテントを移動し朝早くから店を開けられる様に準備をして置いた。

私たちにとって誰にも気付かれず夜中の内に行動するの造作もない事。


「あの女セリナが朝起きたら驚くわよ。

今日は逆にギャフンと云わせてやる。

向こうが女を武器にするなら私達だって。」


この日用意したのがミニのスカートにへそ出しルックに胸は・・・え~い忘れろ!

しかしこちらは美女3人、まっ向こうもルックスは悪く無いけど3対1!

これで此方にお客さんが此方に流れない筈が無い。


当然なが元々この服を持っている訳もなく

持っている布を利用して3人で縫い上げた物。

その為デザインは同じながら色や柄が3人共違う。


私は黒地に金の刺繍、シェリスは白地にピンクの模様の入った物、

クリアは布が足らず私の生地とシェリスの生地を合わせた物になっているけれど

これはこれで中々可愛らしい物になっている。


しかも彼女の店よりも先に私達の店に目が行く様に

ワザワザ前線側、傭兵宿舎側に移動しての開店。

無駄に胸がデカいからってなんだ!

我が手腕を解くと見るが良い!


「だけどミント、ちょっとこれ恥ずかしくない?」


シェリスが私がデザインした服を見て顔を赤くしている。


「大丈夫シェリスとても可愛いわよ。それにクリアを見て見なさいよ平然としてるじゃない。」


そうクリアは初めてのミニスカートの筈なのに平然と振舞って居る。


「はい、この位ミントお嬢様の悪戯書きに比べれば何とも有りません。」


「悪戯書き?」


「あっ!シェリス気にしなくても良いわよ。忘れて!」


シェリスは興味津々の様子でクリアを見て居るけれど元はと云えばあれはクリアが悪い。

そう以前私が寝て居る間にクリアが私の顔に悪戯書きをした時

仕返しとばかりにクリアの顔にも私が悪戯書きをして一日そのままで居る様に云った事が有る。


元はと云えばクリアが悪いのに何故私が悪者になる?


「でも、クリアあれは元はと云えば貴女が私に悪戯書きしたのが原因でしょ。」


「ハイ。とても楽しかったです。」


にこやかに答えるクリア。

どうやら彼女は反省と云う物をどこかに置き忘れて来たらしい。

うん、後でしっかり話し合わねばならないかも知れないな。


そしてシェリスは私とクリアを交互に見て似たり寄ったりみたいな視線を送って来るけど

おそらくシェリスも私達と同類の筈。

今度試して見ようか?


まあ話は逸れたけれど今回もう一つ秘密兵器が有る。


今迄回復効果の有るお茶だけを出して居たけれど

今日は手の平大の小瓶に入れた回復液を販売する予定。

正直言えばこの回復液は数が少なく100個ちょっとしかない。


1日売れば無くなってしまう数なのだけれどこの際仕方ないので

1日の販売個数限定で販売する事にした。


本当ならもっと数を揃えてから販売した方が良いのは判って居るけれど

今回は仕方ない。


これは回復液は兎も角この小瓶が思いの外手に入らずそれが今後の課題になって居た物。

値段は安いけれど今迄それ程売れなかったのか何処へ行っても数が揃わないのよね。

これより二回り大きな物は結構有るけれど値段も上がるし

薬は量が多ければ良い訳じゃない適量が大事


そう云う訳でここ数日間を目安にその薬を売り尽くすつもりで勝負をかける。

そしてその日の朝あのセリナがテントから出て来た。

私達は既に開店準備を終え何時でも店を開けられる状態に有る事を見た彼女は

そんな私達を見て一瞬動きを止める。


この時点で私はこの日の勝利を確信した。


『ふっ勝った。』


そう今日は・・


昨日と同じように私達とセリナ達の店の前に行列が出来る。

傭兵とはいえ何時も暇ではなくそれぞれ休みの日が設けられて居るので

昨日とは違うお客さんが殆ど。


ただ何故か見学者が多い・・・・謎だ・・・

開店と同時に私達の店とセリナの店の間には人垣が出来始め

開店から2時間後には相手の店の様子が見えなくなってしまっていた。


ただ時々聞こえるあの歓声だけが耳に入るのが気に障る。

こちらだって私達が馬車の段差を降りる時や風が舞う時等

そしてシェリスが恥ずかしそうにスカートに手を添える時等

結構な歓声が巻き起こるのだからおあいこと云えばそうなのだけれど

今日は負けてはいられない。


絶対勝つ!


「クリア!向こうの様子を見て来て。」


そう言ってクリアを向こうの偵察に向かわせると

途中で見覚えのある女の子と話をしている・・・?


「へっ?シェリス、あの子確か・・・」


「あの子確かセリナさんの弟子の女の子で確かファステアーナてっ言っていた様な。」


「そうよね。その子がなぜクリアと親しげに話してるのかな?」


「さあ~?」


そう、私たちが見たのはちょうど私達とセリナの店の間でセリナの弟子と云っていた

ファステアーナという女の子とクリアが親しげに話しをしている姿。


そのクリアがその子と話し終わると嬉しそうに私達の元へ駆け寄り。


「ミントお嬢様、調べて来ました。」


「うん・・それは良いけど。クリアあの弟子の子と知り合いなの?」



「あっハイ。昨日セリナの事をあの子から聞いてきました。

素直で良い子ですよ。

まあ中には口止めされてるからと話してくれない事もありましたが。

ん・・?ミントお嬢様? 変な顔してどうなされました?」


それは私だって驚くわよ。

確かに調べるように云ったけれど直接本人の弟子に普通聞く?

師匠のセリナにバレバレじゃない!


「クリア、彼女に聞いたら私達が調べている事がバレるじゃない。

何でそんなことするのよ。」


するとクリアは不思議そうな表情をし始めた。


「ミントお嬢様、昨日私がセリナの店を調べに行く時丁度フ・ァ・ス・も


私達の事を調べるように云いつけられ出て来た所偶然ばったり出会ったんですよ。」


「だからって。」


「ミントお嬢様、向こうは私達の事を知りたい。私達は彼女たちの事を知りたい

お互い教えられる事を教え合えば良いじやありませんか、

そうすれば隠したい事を隠したまま教えて良い所だけ教える。

それは向こうも同じ。」


「だけど私達はその隠している事を知りたいのよ。」


「それは向こうも同じです。だから私とフ・ァ・ス・は

お互い教え合おうと決めたんです。

それに彼女とっても良い子でお友達になっちゃいましたから・・・。」


そう云ってうれしそうに微笑むクリアがクネクネと体を捩じらせた。


「でもそのままじゃ向こうの秘密にしている事は何もわからないじゃない。」


「ミントお嬢様向こうも同じと云ったじゃありませんか。

私達が無理に動けば向こうも同じように私達を調べようとします。

私達がヴァンパイアだと気づかれても良いのですか?」


「ウッ・・」


クリアにうまく丸込められた様にも感じるけれど・・・。

仕方ない。


「判ったわ。それで何が判ったの?」


「ハイ。昨夜私達が動くかも知れないとセリナ達も用心していたらしいのですが

気が付けば既に店を移動されていて本当に驚いていたとの事です。」


「うん、そうでしょう。」


それを聞いて私も嬉しくなる。

だってそれは私の思った通りだったからね。


「それからセリナの方は昨夜私達の行動を気にし過ぎて

なにも用意をしてなかった為ほぼ昨日と同じ内容の品揃えに同じ売り方だそうです。

そしてお客さんの数は見た所私達の方が3割程多いです。」


「よし!」


私は思わず握りこぶしを作った。


「それから真ん中に居る人達ですが昨日のセリナの噂を聞き付けた人達が

私達の姿を見てセリナ達と私達の様子を見て楽しんで居ると云う所でしょうか。」


「私達を見て楽しむ?」


「はい。何しろ娯楽の少ない所ですので久しぶりに見る女性の姿を見て楽しんで居ると。」


「すると私達は見世物になっているという事?」


「そういう事になりますね。」


「納得いかない・・」


薬を買ってくれる人は良いのよ別に、

その為の衣装だから。

でもせっかく頑張って着てくれるシェリスを

近くで無料で見られると云うのも・・・。


「それでも良いじゃありませんか。その方々も何方かの店を選んで薬を買ってくれると思いますよ。

今はその店を選んでくれていると考えれば」


「そうね、そう考える事にするわ。」


そしてこの日私達の店の方がお客さんが多くセリナの店が閉まってからも

まだ私達の店に訪れる人が居た。


『勝った!』


「どう?私達の力は!女は胸じゃないのよ。これで証明になったでしょ。」


私が嬉しそうに言うとシェリスは


「ミント~、恥ずかしかったよ~、見られてないかな?」


「大丈夫よ。見えそうで見えないのがそのスカートの良い所なんだから。

でもゴメンね後数日頑張ってもらえればあの女も自分の身の程をわきまえると思うから

もう少し我慢して。」


「ミントがそう云うなら頑張る。でも本当に後数日よね。」


「約束する。」


そしてその夜あのセリスが私達の様に店を移動しないか夜中から明け方まで

彼女のテントを見張り動きのないことを確認すると今日の店の準備を始めた。


そしてテントから薬を馬車に並べようと出て来た時私はそれを見て思わず

手に持っていた薬をバラバラと落としてしまった。


「はぁ?なっなんでこうなるのよ!」

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