IF 2話 もう一つのエンディング

クロスは悩んでいた、1年前、彼の村でクロスの幼馴染みであるミク

義姉のメミル

義妹のセシル

が剣聖、聖女、賢者になった。

彼女達が村を出るとき、クロスは指輪を渡していた、彼女達はそれがクロスの作戦だと知らずに涙を流しながらもらっていた。


それからクロスはフローズと共にこの状況を打開する策を考えた、しかし、ミク達の様子が変わることはなく、その後も手紙のやり取りは続いたが、彼女達のクロスに対する想いは変わることはなかった。


クロス「........はぁ」


いつもの湖でクロスはため息をこぼす、これ程までに絶望を感じたことがない。


このままだと魔王討伐の後あの地獄が待ってる、自由のない束縛の世界に、そう思うと気が重くなる。


隣にいる前世の頃からの恋人フローズも、同じようにため息をこぼしていた。


フローズは勇者マンルに求婚されており、結婚条件として

1.魔王を討伐すること

2.今まで彼女は愚か肉体関係がないこと

3.それを踏まえてフローズ自身が彼を好きでいること

この3つだ

既に2を破っているためもう婚約もクソもないが、相手はもう結婚した気でいて、しつこく、人々の人生を壊す屑野郎のため、嫌いだった。


そのまま進展のないまま1年が過ぎ、彼女達と勇者が魔王討伐に行くことが決まったので、最後にクロスに会いたいとのことで村に来た。


門で待っていると騎士団と馬に乗っている彼女達、その姿は村娘の頃と違い世界を救う立派な姿だった。


クロス「.....皆んなお帰り」


そう言うと彼女達は馬から降りてこちらに向かい抱きついて泣きながら言ってきた。


"ただいま"と


マンル「........チッ」


マンルは苛立ちながらこちらを見た、彼の能力は既にフローズの事もあって知っていた、"魅了"相手を魅了し自分の物に出来る、屑のマンルに相応しい能力


しかし、それはフローズには効かず、そしてミク達も効かないようだ。


フローズはわかるが、ミク達はなんでだろうか?


そんな事を考えているとミク達が


ミク「ねぇねぇ、私達がいるのに考え事?」


クロス「ん...ああごめんな、もしかしたらこれが最後かもしれないって考えてしまって」


咄嗟に言う、これは本当に考えていた事だ、例えどんなに嫌でも、長年一緒に暮らしてきた家族だ不安にはなる。


メミル「んもう!私達の職業知ってるでしょ!そんな簡単に死なないわよ!」


セシル「.....義兄さん、心配してくれてありがとう、大好き」


そう言ってさらに抱きつく、身体が震えている、本当に心細かったんだろう。


いきなり何も知らない所に行き、頼れるのは自分も含めて3人だけ、そんな中でもクロスの事を一途に想っていると考えると"性格"さえ良ければ惹かれると思うだろう。

"性格"さえ良ければね。


マンル「おい、そこの農民、さっさと案内しろ、....君達もこんな奴なんかほって置いて行くよ。」


ずっとそこで待っていたマンルは苛立ちながら話しかけてきた。


そして彼女達を見ると


ミク.メミル.セシル

「.........................」

ハイライトオフ


...まじかよ


本当に魅了されていないなんて、でもなんか違和感がある......なんだろう


そう思いながら、ずっと待ってくれている"騎士団"の為に村を案内した。

————————————————————

村の中央広場


村長「ようこそ来てくださいました、勇者マンル様そして騎士団の方々、後、お帰りミク、メミル、セシル」


マンル「僕達の為にわざわざこんな事をしてくれてありがとう今日はゆっくりと休むとするよ」


ぶっきらぼうに答えるマンル


騎士団もやれやれとため息をこぼし、後で謝罪しに行こうと考えていた。


広場ではクロスの周りにミク、メミル、セシルがくっつき、色々と話をしていた。


王国の事、騎士団や魔術師達の事、村の事など、話は尽きない。


だが、そのおかげで彼女達の違和感に気づいた、確かに彼女達はいつもみたいにくっついているが、他の女性と話しても嫉妬しないのだ、昔ならこんな些細な事でも暴走していたのに、何もしない、気にしていないのだ。


クロス「..........」


メミル「ん?どうしたの?クロス」


何かに感づいたのかメミルが話しかけてくる。


クロス「....いや、変わったなぁと思って」


つい本音が出てしまった。

しかしそんな程度なら、気づかないだろう、そう思っていたら


セシル「もしかして、私達の性格の事?」


クロス「!?」


セシル「.....やっぱり」


つい反応してしまう、今日は驚き過ぎている。


ミク「.......気になる?」


ここまで来て嘘は無理だろう正直に言う


クロス「ああ、昔のお前達なら、さっき水を貰う時に話した女性だけでもおかしくなったのに、どうしたんだ?」


メミル「.......それわね」


セシル「知ったのよ、私達がどんだけ酷い事をしたのかを」


クロス「誰に?」


ミク「貴方と同じ”英雄”フローズ様に」


クロス「え!?」


————————————————————

一方その頃マンルは


マンル「..........」イライライライライライライライライライライライライライラ


「あの.....勇者様?」


マンル「ああ!?」


「ひっ...し...失礼しました!」


マンル「.....チッ」


マンルは怒っていた、それは何故か簡単だ、自分の思い通りにいかないからだ

いつもは自分の思い通りになっていた、

欲しいものは他人の物でも手に入る

それは婚約者も同様。


勿論奪い返そうとするが、マンルはそれを蹴散らし、目の前で地獄を見せる。


そんな事をして喜ぶ真の屑だ


そんなマンルが、今ある女達のせいで上手くいかなくなっている。


ベンディ王国王女 フローズ

剣聖 ミク

聖女 メミル

賢者 セシル


この4人だ、この4人は何故か魅了が効かない。

そのせいでこちらがどんなに近寄っても嫌な顔をされるのだ。

その効力も強い筈なのに、そんな女達が目の前で別の男とイチャコラしているのだ。

マンルの頭の中ではミク達はもう自分の物と考えているため、この光景は


マンル(僕と言う男がいながら浮気なんて....恥を知れ!)


こう考えてしまうのだ。


この前もマンルは食事会と称してクロスの浮気(偽造)を見せて、失意の中を救い自分の物にする作戦も


ミク「....クロスはこんな事をしないわ」


メミル「てか、勝手に入ってる時点で貴方達の嘘がバレバレ」


セシル「騙すならもう少しまとものを作って」


そう言って、彼女達は帰っていった。


マンル「クソガッ!」


マンルの苛立ちは最高潮に達した、もうどうでもいい、邪魔なものは消せばいい、


僕は勇者、勇者マンルだ!つまり何をやっていい!


あの男を殺せば皆んな正気に戻って僕の所に来る.....ではどうやって殺そうか?


そう考えてニヤつくマンル


周りにいた騎士団ですら引くほど、不気味な笑みを浮かべながら、これからの事を考えた。


————————————————————

人には目には見えない様々な分岐点があり

幾千天田の分岐点の中、その一つがこの物語

これは本来の歴史にはなかった、もう一つの結末、様々な意見がありますが、ぜひ読んでみてください。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る