第20話 我儘勇者の逆鱗

それからしばらくして、幼馴染であるミクと義姉妹のメミル、セシル、

そして勇者マンルが村に来た。


村の中でも、常に彼女らを見張りその時を待った。


魔道具であり、録画機能がある水晶、それを渡され、今現在も持っている。


そして確実な証拠を掴んだ、彼女達の口から婚約破棄を言われ、マンルと婚約すると確かに言ったのだ。(その前に殴ってしまったが)


その次の日に、俺のショックな姿を見て満足したマンルは彼女達と共に王国に帰っていった。


そのあと俺はフローズのいる森に行き、第1作戦の成功を喜んだ。


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~勇者マンル サイド~


1ヶ月前、僕は、本当に結ばれる相手をあの屑から救い出す為、村に行った。


僕は選ばれし者、僕こそが正しい、なのに周りは理解しない、だから僕はこの選ばれし者に相応しい力で皆んなを正した。


そして今回は勇者としてその仲間達が僕との婚約を断った原因である、あの村の男に話に行った、

全く彼は本当に野蛮な人間だった、

何せこんな村まで来てやったのに僕のことを殴ったからね、まぁ彼女達が助けてくれたし、それに彼のあの姿を見てとてもスッキリしたから許してあげたけどね。


ああ、なんで僕は優しいのだろう、僕と結ばれる者達の為に動けるなんて、だから女神様は僕を選んだに違いない。


後は国王の娘をどうにかして気づいてもらわないとね、本当に結ばれるべき相手は僕だって。


そう思って今日も行く、ああ、早く会いたいなぁ、もうすぐ僕は魔王討伐の旅に行かなくちゃならない。


その前に他の男と結ばれないようにしないとね、


まぁでも、そんな男がいたら、僕の力を使って本当の愛を教えてあの男に罰を与えるけどね。


そう言って彼は自分の屋敷からフローズのいる王城に向かう


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マンルが王城に向かっていると、ふと、馬に乗っている2人に目がいく、


王城の手前、門の前でこっそりと覗いてみる


2人は門番の前で降りて、何やら話をしている、門番が敬礼して門を開けるどうやら用があるようだ。


その姿を見てふと気づく、服装が違っていたがあれは、マンルの(が、勝手に思い込んでいる)婚約者 フローズと


似たような服装の男、あれは4職の職業集めで出会った女達の元婚約者、名前は覚えていないが。


マンルは怪しいと睨み門番を気絶させバレないように尾行する、その姿を見るたびにイライラが止まらない。


馬を馬小屋に入れてから2人は手を繋ぎながら幸せそうに話している、僕の時は照れ隠しをしていたのかと思ったが、まさか"浮気"していたなんてね。


彼には前に殴られた事がある、いつもなら丁寧に女性に話して本当に愛するべき人は僕なんだとわからせてから、男に罰を与えていたが


彼は勇者であるこの僕に暴力を振るった、今ここで殺しても、僕は、悪くない!


そう思い剣を抜き、彼の後ろに近づく、彼の絶望した顔を見る事が出来なくて残念だが、浮気した彼女にたっぷりと身体で教える事ができるから良しとしよう。


マンルは駆け足で2人に近づく、足音はない、だから2人は気づかない


そして目にも止まらぬ速さで上から下へ剣を下ろす、普通の人間なら即死だ。















..........しかし


マンル「え?」


それは男の紅い剣で止められた。


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クロス.フローズ視点


国王達に作戦の第1段階が終わったことを伝えにフローズの馬で行く、こっそりと作った抜け道を通り、本来なら更に抜け道を使いが今回は門の手前で止まる

この前彼を門番に伝えずに通ったら、

曲者として捕まりそうになったので、

国王様も公認してくださっているので、一応確認のため門番と話す。


門番「話は伺っております、先日の無礼お許しください。」


そう言って頭を下げ、その後すぐ敬礼して門を開ける


門番「どうぞお通りください。」


そう言って道を開ける、ここで長話すると、いざという時に大変なのでここは

すぐに通る。


馬を馬小屋に置き、フローズと話をするとても楽しくついつい笑みが溢れる。


しかし


クロス(さっきから後ろにいるのは勇者のマンルか?)


フローズ(ええそうね、でも、あれで隠れているつもりかしら?)


2人は殺気を隠さず、ずっとついて来ているマンルにバレないように目線で見合う。


フローズとは魔王を倒し、フローズが認めれば結婚出来と話しており、更に他に女を作らないと約束した、

なのにもう婚約者面しているらしい。


多分それで、婚約者と楽しそうに話している俺が許せないのだろう。


村での件もあるし


そう考えていると一気に近づいて来た、どうやら本気で殺すらしい。


しかし、流石わ坊ちゃん、ただ単に上から下へ剣を下ろしただけだ、

多分勇者補正でなんとかなっていたのだろう。


確かに速い、けど


マンル「え?」


まだまだ甘いな


そしてクロスは紅い剣を"何もない所から"出し、マンルの剣を止めた。


そして


フローズ「ふん!!!」


ガラ空きとなった体に右手に紅き炎のようなものを表しながら、マンルを殴った


マンル「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」


下から上に向かって殴った為、後ろに吹き飛ぶことなくその場に崩れ落ちた。


マンル「ああ、あ、かはっ」


あまりの痛さに言葉が出ないのだろう。


しばらくは"ああ"や"なんで僕がこんな目に"と言っていたが


小さな声で何かを連続で呟き始めた


マンル「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」


どうやらここまでやられた事がないのだろう。


目から涙を流しながらこちらを睨み、

よろよろと立ち上がりながら、右手で腹を押さえて、左手でこちらを指差して


マンル「お前を殺す!はぁはぁ、この場ではなく、皆んなの前で!はぁはぁ、惨めに殺してやる!はぁはぁ、決闘だ!」


決闘

貴族が互いの意見で食い違いがあり、話し合って平行線を通る場合、代表者同士で闘う、貴族同士が昔行っていた者


昔は正々堂々とやっていたが、これのために、金で冒険者や暗殺者等を雇い始め、不利な戦いや卑怯な事が行われ始め禁止となった。


国同士の戦争ではなく、その国の貴族同士の戦争としても知られている。


つまり、そんな事はできないが、


マンル「フフフッ僕は選ばれし勇者、そしてパパとママは上位貴族、なんでも出来るのさ!」


なるほど、コネか。


けど、ちょうどいい


マンル「さあ、どうするぼ「いいよ(わ)」え?」


マンルは驚く、確かに聞こえた

「いい」と


マンル「君はわかる、けどフローズ!君は関係ないだろ!」


フローズ「いいえ、ありますわ。」


そう言って説明する


フローズ「決闘は貴方の父上や聖教会でも世界で禁止されているものそれを破れば、ここの聖教会も貴方の父上も立場はなくなるでしょう」


そう、例えどんなにこいつが勇者でも

上位貴族でも人としての行動はしなければならない、

勇者というのは魔王を倒すためにいる。


そして国が援助するのも魔王を倒してくれるからというのもある

それもなく自分勝手に行動してしまえば、

いくら聖教会でも権力があっても人材も装備も国の物、勝手使えば国家叛逆罪もある。


つまり言えば、勇者だから何をやっても良いわけではなく、魔王がいるから目を瞑っているだけで、いなければその後が危ない。


それに勇者がそれを理由に動かなければ、援助はなくなり、行かざるをえなくなる。


だからこそ、決闘が出来る正当な理由が必要だ


そこでフローズは決闘ではなくあるものを持ちかけた


フローズ「なので、親善試合としましょう。」


マンル「親善試合?」


フローズ「そうです」


マンルはまだ理解出来ていない、まぁ出来るはずもないが。


つまりは


フローズ「勇者対英雄の闘いですよ。」


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多分、後2.3話あたりで1章が終わります。




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