第19話 この世界に無い職業

国王「...その紋章は?」


国王は驚く、それは女神によって選ばれた者にしか現れない紋章を俺達が出したからだ。


王妃は唖然とし宰相はありえないと言っていた。


英雄、それはこの世界にはまだ存在しない職業だからだ。


しかし、実在もする。


矛盾するかもしれないが、事実であり"英雄という職業はないが""英雄は実在する"


例えるとするならば、魔王軍の侵攻で町が崩壊し、ある冒険者の戦士が自分の家族を守るときにその力を発動している。


また、ある所では、恋人が別の男(又は女)に奪われ、奪い返そうとするが、逆に死ぬ寸前まで、追い詰められたときにその力が発動し、救われている。


このように英雄は極限状態のときにのみ、その力を発動しそして元の職業に戻る。


そのため、英雄はこの世界では職業としては存在せず、各地で語られる者達として実在している。


それ故に、今目の前にいる2人は、

ありえないのだ。


宰相「それは本物ですか?」


フローズ「サイス?」


宰相(サイス)「その左手にあるのは本物なのですか?偽物ではないのですか?」


疑うのは当然だ、女神に選ばれた4人しか現れない紋章を俺達が出しているのだ、偽装したと思っても不思議ではない。


フローズ「では証明すればよろしいのですね?」


宰相「はい、その紋章が本物である事を国王や王妃のいる目の前で証明してください。」


もしこれが偽物なら、フローズは兎に角俺は王女様をたぶらかした者として確実に殺されるな、まぁ平気なのだが。


フローズ「わかりました」


国王「本当に大丈夫なのか、今なら私たちのことを思っての行動としてその者を許すぞ」


王妃「ええ、特別に、ですよ?」


完全に信じてないな、まぁ当然だけど。


そうして俺達は顔を見合って頷き、


クロス.フローズ

「 」


その証拠を見せる


————————————————————

国王「成る程、まさか本当に実在するとは」


王妃「先程は疑ってごめんなさいね」


宰相「ああ、君にも随分ひどい態度をとってしまった、すまない。」


クロス「いえ、普通の人ならばここまで話を聞いてくれません、信じてくださりありがとうございます。」


そう言って頭を下げる、ここまでは順調だ、後は彼らが賛同してくれればいい。


フローズ「では、お父様、お母様、私達の計画に参加してくださいますか?」


ここで承諾してくれれば、計画は更に進む。


国王「ああ、勿論だとも可愛い娘の頼みでもあるからな、それにあの勇者に一泡吹かせられるとなれば、尚更いい。」


フローズ「では!」


国王「ああ、君達の婚約を許そう、これは特例中の特例だが、あんな奴よりも君の方が何万倍もいい。」


フローズ.クロス

「!ありがとうございます!!!!」


やったぞ!ついにここまできたぞ!

そう内心喜んでいると不意に王妃様に話しかけられる。


王妃「クロスさん、貴方とフローズとの関係はよく分かりました。だからこそ認めるのです、もし貴方もあんな者と同じことをすれば......」


笑顔を見せながらこちらを見ている目が笑ってないけど


国王「ひぃ!」


宰相「 」白目


これ程の殺気、本当に裏切ったらどうなるかわからないな、けど


クロス「安心してください王妃様例えどうなことがあろうとも私は彼女の元を離れることはありません。」


当たり前だ、愛する人がいるのに裏切るなんて事、出来るはずがない。


王妃「それを聞いて安心しました。では娘のことは頼みましたよ?」


クロス「は!この命にかえましても!」


そう言って俺達は執務室から立ち去る。


————————————————————


それを見計らって王妃は夫に話しかける


王妃「それで、本当に彼との婚約を認めるのですか?」


そう特例と言っても貴族と村人、今回の計画があるにしろ、本来ならあり得ないのだ。


国王「ああ、彼らの覚悟はその目でわかる。」


国王は2人が計画を話すときにその姿を目を見ていた、彼らはこれから先どうなろうと決して離れず最後まで共にいようとする覚悟が見えた。


国王自身も世界を知る為に冒険していた頃は裏社会の闇を痛いほど知った、

だからこそ、わかる、フローズは何故かわからないが、2人があれ程までの覚悟を見せたのは生涯見た中で1番だった、だから信じたのだ。


国王「本当に甘いな私も」


でもやはり1番は、やはり

"可愛い娘の頼み"だからだ、

彼女は何もしなければ勇者の婚約者になってしまう。


そうなって欲しくない、そして出来れば心から愛している者と結ばれて欲しい。


彼からは欲望が見えない、宰相もそういうことにはプロだが、その宰相も認めたのだ、彼なら必ず娘を幸せに出来る。


幸せにしなければ地獄を見せるそう覚悟を決める国王であった。


————————————————————


2人は長い廊下を歩きながらこれからのことを話す。


フローズ「ここまでは本当に順調ね」


ここまでの計画、フローズとの婚約条件を破り行った不倫の事だ


後はこちら側の3人が言えば、完全にいける。


クロス「一応、聞くが、俺の婚約者になっているあいつらは今、どうなっている?」


そう一応証拠はあるが、見てはいない大事なのは俺が見たという事実が必要だ。


フローズ「私も見たわけではないけど、噂や調査に行った者達によるとヤル事は済ませたらしいわよ?」


さすがにそれは見たくないだろう、聞きはしたがその証拠は見なかったらしい。


でもいい、証拠があればそれでいい、そして俺が村人という状態もフローズとの正式な婚約で、OKになった。


クロス「わかった、ありがとう」


そう言って笑みを向ける、彼女もお返しと笑った、この笑顔を守りたいそう固く誓い、その時を待った。


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補足


クロスは婚約者いるのに、フローズと婚約していいの?


話の展開的にはまだ勇者が彼女達と共に村に行くまでの間のストーリーで、後に婚約破棄されます。

それから、正式に婚約者になります。

一応認めてもらっていますが公に発表していないので、国王達しか知りません。

なので、今のところは、彼らは正式な婚約関係とは言えません。


クロスの事を屑キャラと言う人がいますが、まぁ否定はしません、しかしもし自分が24時間365日朝から晩まで全て監視されてもそんな事が言えますか?

食事もお風呂、トイレも、人に言えない事も全て見られる、それでも良いと言う人なら何も言いませんが。

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