第21話 勇者の能力と英雄の能力

マンル「勇者対英雄?」


フローズ「はい、そうです。」


マンルはぽかんとしていた、

それはそうだろう、いきなり親善試合をしかも、勇者対英雄とか、それとこれになんの関係があるのかわからない筈だ。


フローズ「貴方は女神によって選ばれた勇者、そうですよね?」


マンル「あ、ああそうだが、英雄ってどういう意味なんだい?」


時折殴られた痛みで顔が歪んでいるが、少しずつ収まって来ているようだ。


今では普通に立てている。


フローズ「そして私達は、その対となる存在、英雄なのです。」


その言葉を聞いてマンルは驚く


マンル「君"達"だと?」


マンル「フローズとそこの村人風情が英雄だと!?」


フローズ「はい、そうです、そしてその村人風情は私が心から愛する人は私の」


そう言って少し間を置き、満面の笑みでこう言う


フローズ「婚約者です♪」


マンル「へ?」


クロス「おい、まだ確定はしてないだろ?」


フローズ「ええ、ですがもう決まったようなものですし、別に良いではありませんか♪」


そうやって2人は楽しそうに話をしている、マンルはその姿を見て怒りに満ちていた


こんな奴が僕の婚約者を寝取っただと!?

ふざけるな!彼女は僕と言うこの世で1番イケメンで、金持ちで、権力者で、勇者なんだぞ!

他の女性達は僕のためにわざわざ仮初の恋人と別れて来ているのに、

こいつはそんなこともせずに目の前で浮気だと!

許せない、絶対に後悔させてやる!!!


マンル「フローズ!!!!!」


唐突にマンルは叫ぶ、2人は静かな目でマンルを見る。


マンル「君は僕と言う男がいながら、そんな塵みたいな人間と恋愛ごっこしているなんて、滑稽だよ、今ならまだ特別にそいつを半殺しにして僕から婚約者であるフローズ、君を奪った事を国王達の前で罪を償わせる事で見逃してあげるよ。」


マンル「だからほら、僕の胸の中に来て?」


そしてマンルは眼を輝かせる。


多分過去最高の力を使っているのだろう、しかし無意味だ何故なら、

英雄は"2人で1人"の英雄だからだ。


マンルはクロスの顔を見てニヤける、どうやらまた絶望した顔が見たいのだろう、その姿がとても滑稽だ。


フローズ「..........黙れよ」


クロス「ん?」


マンル「え?」


クロスがフローズの方を見るととてもいい笑顔でマンルを見ている、目が笑ってないけど。


マンルは自分の所に来ないことに困惑しながらフローズを見る。


フローズ「黙れと言っているのがわからない?とんだ無能ねぇ、ねぇ、なんで貴方が私の婚約者になっているの?約束したよね?他の女を作らないと、言いましたよね?」


口調が少し変になりながらもフローズはマンルに話しかけている


マンル「あ、ああ!言ったとも、だからほら誰もつ「クロスの元婚約者」へ?」


フローズ「クロスの元婚約者と身体の関係を作りあまつさえ、貴方と結婚するらしいですよね?他にも調べさせていただきましたが、約50人もの人達とそう言う関係ですよね?」


それを聞いて少したじろいたが、すぐに笑って


マンル「それは安心してそれは浮気ではないよ、それは僕と言う本当に結ばれる相手が50人いるだけだよ!」


と、あくまで自分は悪くないと言いたいのだろう、フローズは最早、塵を見るかのように軽蔑の目を向けている。


はあ、とデカいため息をついて


フローズ「もういいです。」


と口にこぼした。


それを聞いてマンルは、ぱあと明るくなり


マンル「わかってくれたのかい!」


フローズ「ええ、貴方とは一生分かり合えないと言う事実が、ですがね。」


マンルは驚く、それはそうだろう能力もフルで使い、しかも(マンルにとって)当たり前の事を言っても理解出来ないと、初めて言われたのだから。


フローズ「ああ、そういえば親善試合のことですが」


ふと思い出したかのように、フローズは言う


フローズ「貴方と話すのも苦痛なので後日、貴方の屋敷に手紙を送ります、それで理解して、親善試合の場所まで来てください、では、これで」


そう言って頭を下げ、クロスに「行きましょ?」と言って去ろうとする、が


クロス「ちょっと待ってくれ。」


フローズ「?」


足を止めて、クロスはマンルを見る、マンルは呆然としており、クロスが

「おい!」というと、こちらを見た


マンル「なんだよ」


ぶっきらぼうに答えると、クロスは


クロス「なんで君の能力が効かないか、知りたいか?」


マンル「!?」


マンルは目を見開いて、こちらを見る。


クロス「君のその眼からでる光、それは、女性にのみ使える能力"魅了"だろ?」


マンル「な、何故それを!?」


驚きながらこちらを見る


クロス「てことは、本当なんだな?」


マンル「だったらなんだっていうんだよ!」


クロスがその先を言おうすると


マンル「まさかフローズ!君は”男”だっというのか!?」


と、確かにありえそうだけど、全く違う返答が来た。


マンルは恐怖し、クロスは体を震えさせながら笑いを堪え、フローズは


フローズ「こいつ殺す」


と、今本気で殺ろうとしていたので止める。


クロス「いや、違う彼女はれっきとした女性だよ。」


笑いを必死に堪えながら、そう答える。


マンル「じゃあ、なんでなんだよ!?」


マンルは焦っている、それはそうだ、

こんなことになったことなんて1度もない彼にとって、これは最悪の展開だろう。


フローズ「それはこれよ」


そう言ってフローズは左手を見せる、そして紋章が現れるが


マンル「半分?」


クロス「そうだ半分だ。」


クロスも紋章を見せる。


フローズ「元々英雄の力は2つだった」


クロス「しかし、俺達は、互いを想いやり、互いに守る力が欲しかった」


そう、前世の世界は俺達にとっては地獄だった、だからこそ互いに互いを守る力が欲しかった。


そして2人に紋章が現れた、この時は2人とも紋章が半分になっておらず、1つの紋章だった、最初、彼らはこれで喜んでいたが、何かが足りなかった。


前世のクロスとフローズはそれまでの

人生で愛を知らなかった為、どうしても繋がりが欲しかった。


共依存にも等しい程、依存度が高く、

そのために2人はこの紋章の力である事をした。


それは、自分の紋章の力を半分、相手に渡すと言う事だ、そして2人はそれを行い、自分の紋章と相手の紋章が重なるようにした。


これにより1人の英雄分の力が使え、

そして互いに繋がりあうものとなり


そうして出来たのが今の紋章だつまり


フローズ「互いを想いやる、いや共鳴するこの力は」


クロス「まるで呪いのように俺達に絡みつく」


フローズ「故にこそ、」


クロス「互いを想いやる限り」


クロス、フローズ

「如何なる引き裂く運命にも抗える能力となる」


だからこそ2人はこの紋章がある限り、互いに互いを想いやる限り、一生添い遂げることができる。


マンル「な、なんなんだよそれ、てこはつまり最初っから」


フローズ「ええ、効いていませんでしたよ?」


嘘だろ?と膝をつきそのまま固まってしまったマンルにクロスは


クロス「じゃあ、俺達は国王様のところに行く、親善試合楽しみにしているよ」


そう言って立ち去って行った。


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補足


勇者(マンル)が村人(クロス)に殴られて痛がっていたが、勇者が弱いのか?


 一応勇者だが、この時既に英雄の力が目覚めていたのでその力で殴っていた。


魅了って単語、話の中で出てこなかった?


 出てきていません、"能力"や"力"と言っていただけで、本編でも一回も"魅了"というと言葉を私は言っていません。


英雄の能力(クロスとフローズの場合)


 他にも能力はありますが、前世の2人は共依存関係でしかも結構重症だったため、どうにかして繋がりが欲しかった2人は

1 自身の能力(紋章の力の半分)を相手にする渡す


2 自身の紋章と相手の紋章が重なるようにする


3 そうすると、紋章同士が繋がるため、以心伝心のような関係となる。


4 そのため、他の魅了や誘惑と言った能力が効かなくなる。

(互いに互いがかかっているような感じだから)


勇者の能力(魅了)


本来であればそれは、魔王討伐に置いて仲間が裏切らないように信頼関係が強くなる能力だった、

しかし、何があったか異性が己に対して好意を抱く、魅了能力に変わりマンルがそれを悪用している。



————————————————————

 続く







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