一章 2人の過去

第16話 夢

???


ここは何処だ?俺は確かフローズと作戦の話し合いをして、その後、つい寝てしまったのか?


辺りを見回すと喉かな草原が広がっていた、今いる場所は丁度木が生えており、その場所にフローズが寝ていた。


クロス「フローズ?」


確かにフローズなのだが、何か違和感を感じる、でも今寝ている彼女もフローズだ。


ん、"彼女も"?


頭が混乱する、俺は一体何を言っている?


そう考えているとフローズが目を覚ます。


フローズは最初は気がつかなかったが、俺が少し考えていると、辺りを見回し、彼女も何か考える。


そして何かに気づいたのか、俺に話しかけてくる。


フローズ「ねぇ、クロス」


クロス「ん?」


おずおずと言う。


フローズ「ここって何処か見覚えない?」


クロス「.......君もか」


どうやらフローズも何かを感じ取ったらしい。


フローズ「君もかってことは、貴方も」


クロス「ああ、初めてくる場所なのに、"知っている"何故?」


そう2人とも何故か知っているのだ、この場所を、確か此処で俺達は


クロス「俺達は.......?」


フローズ「なんだっけ......?」


後少しでわかるはずなのに、その少しがわからない、まるで何かを言おうとしてふと他のことを考えてしまい、何を言おうとしていたのか、忘れてしまったかのようなそんな感覚だ。


そうやって考えているとふとあることに気づく


クロス「なぁ、フローズ」


フローズ「何?クロス」


クロス「俺達のこの服」


フローズ「あ!?」


そう"違う"のだいつも着ていたものと全く違うものを着ていた、これは確か


ズキッ


クロス「ぐっ」ガクッ


フローズ「あがっ」ドサッ


何かを思い出そうとすると激しく頭痛がする。


あたまがわれそうだ!!!!


フローズ「ああ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


苦しんでいる彼女を見て咄嗟に叫ぶ


クロス「 !!!!」


フローズ「!......... ?」


そして誰かの言葉を聞いた。


"木の下を見て"


そして2人は気を失った


————————————————————

 2人の秘密の森


そこで目が覚める。


汗が止まらない、心臓がバクバクしている。


しばらくの間2人の激しい呼吸音だけが響いた。


そしてしばらくして、


クロス「今の夢は一体?」


フローズ「まさかクロスと全く同じ夢を見るなんて、でも」


なんの夢か思い出せない。


夢を見ていたその記憶はある、しかし、目を覚ました瞬間その内容を忘れてしまった。


何かとても懐かしい場所にいた気がする、そこは   と一緒にいた大切な....あれ?


クロス「名前、が、あれ?」


フローズ「大切な、愛しい貴方の名前、あれ?」


どうしても思い出せない。


最後の方に誰かが何か言っていたような、なんだっけ?


そう考えていると月の光が湖に反射してとても幻想的な風景が見えた、虫達の声が遠くから聞こえ、風が心地よい。


そうやって2人で眺めているとふと思い出したかのようにフローズが笑みを浮かべながら固まる


一体どうし.....あ


フローズ「..................」


クロス「今日は俺は婚約破棄されて失意の中にいる設定だからいいけど。」


フローズは何も言い訳が無い。


フローズ「..........今日此処に泊まろ?」


クロス「帰れ、俺が国王に殺される。」


フローズは不貞腐れながら帰っていった。


しかし、今回の夢は一体なんだったんだろうか?そうやって俺は村に帰った。


因みにフローズは今回は国王と王妃が仕事が多すぎて、バレずに済んだらしい。


————————————————————

それからは、特に変な夢は見ず、着々と計画は進んでいった。


此方は婚約者である3人が自分の婚約者であったことを証明するため、フローズのメイドである彼女と共に水晶で証言してもらい、紙を貰った。


そして彼女は彼が浮気している証拠をこれでもかと集め、汚職や被害にあった人達の情報を集めた。


これで材料は揃った。


自分達がしようとしているのは、慰謝料の支払いだ


まずは、勇者が俺に慰謝料


次にフローズが浮気はしないと言う約束を破ったことによる慰謝料


そして婚約者を寝とった数分の慰謝料を払わせる。


証拠もあるし、相手は上級貴族だが、此方は王族逆らえは一貫の終わりだ。


しかし問題点は俺が村人だと言うこと、フローズはこれでいいかもしれないが、俺は必ず報復を受けるその為には、何か策が必要だ。


フローズは

「私の新しい婚約者として王族になる」

ということだが、村人である俺が許されるはずがない。


証拠もあり、裁く力もある、だがその後俺の家族や村が被害に遭うのだけはなんとかしたい。


そんなことを考えて数日、彼らはまたいつものとこに行き、木の下に座り、手を繋ぎながら湖を見る。


はぁ、と2人して溜息をつく


クロス「まさか、俺の身分が仇になったとはな。」


フローズ「どうしましょう、このままだと彼らは出発してしまうわ。」 


そうなったら大変だ、なんとかしないと。


そんなことを考えて、上を見上げる、こんなにもいい天気なのに、此処は空気が重い。


まぁ重くしているのは俺もだけど。


そして下を向く、すると。


クロス「?」


その違和感にフローズも気付く


フローズ「どうしたのクロス?」


フローズも気付く、不思議そうに此方を見る


クロス「いや、今まで気づいていなかったが、此処、もしかして夢の中で出てきたか?」


フローズ「?.....いや、そういえば」


そう覚えていないとはいえ、忘れたわけではない、何故か見覚えがあるのだ。


そういえば何故此処を秘密の場所にしたのだ?


此処なら彼奴らにバレないから?確かにそうだが、それが1番ではない。


.......”誰かに会えるから”?


誰に?彼女に?確かに彼女は見覚えがある、昔から知っている


"昔から"?


昔とはいつだ?いつ何処で   と出会った?


一つ一つのピースが重なるように、まるでこうなることがわかっていたかのように、少しずつ、少しずつ


思い出していく。


コレは、もしかして


フローズ「クロス」


彼女もそうなのだろう、お互いに見つめ合い笑みを溢す


クロス「まさか本当に会えるなんてな」


フローズ「ええ、これこそ本当に運命ね」


今まで持っていた違和感、それは昔の記憶






















前世の記憶だ。


————————————————————

どんどん人気になっていく…本当にありがとうございます😊

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