第13話 番外編 村人達の気持ち

あの日彼等は1人の子供を連れてきた。

まだ小さく、話しを聞いてみれば、魔物に襲われた村の生き残りだとか。


「!?」


言葉に出来ない、本当にまだ子供なのか?


目の瞳に光がない、まるで世界に絶望しているかのような、そんな感じだった。


こんな小さな子供が世界の理不尽さを知り、全てを失った。


聖教会は祈れば必ず報われる、神に祈りを捧げてば救いはあると言っていた、

なら、なぜ神はこんな小さな命にこんな残酷な運命を渡したのか?


彼等は誓った、この子供を幸せにしようと、何の罪なき子供に神はこんなことをしたのなら、自分達は救おう!と


それから彼等はその子供に名前をつけた

 "クロス"


クロスは最初は誰にも懐かなかった、どんなこちらが話しかけても感情がない、返事は返してくれるし、挨拶もする、でも、心がない、彼はまだ小さい子供だなのにあまりにも悲惨な出来事を目の当たりにして心がもう傷つかないように本能的に制御しているのだ。


彼等は辛抱強く待った、それは彼も頑張ろうと努力しているのを知っているから、変わろうと必死になっているのを。


そして1年後、彼は心を取り戻した。


その笑顔はとても眩しく、村人全員が見たかった姿をようやく見せてくれたのだ。


村の子供達とも仲が良く、これでようやく村の一員になれた、そんな気がしてならない。


このまま彼がすくすく育ち、この村で平和に暮らしていく、そう思うと、とても嬉しくこのまま幸せな時がずっと続くと思っていた、

4年後のあの日までは。


それから、彼の本当の笑顔を見せるのが少なくなっていた、原因はわかる。


彼女達だ、

幼馴染みのミク

義姉のメミル

義妹のセシル


あの日から彼女達はずっとそばにいた、他の村の子供達はあの日から彼と遊べなくなり、とても悲しそうだ。


しかし、子供達のいざこざに大人が入るわけにはいかない、子供達だけでなんとかして欲しい、

これが大きな間違いだった。


村人の1人の娘が行方不明になった。


それはとてつもなく嫌な予感がした。


まさか、彼女らが!?


いや、でもただの子供達がそこまでするはずがない、そう思って捜索すると少し離れた森の中で無残な死に方をしていた。


魔物に食われたのだろう顔はだらしなく舌を出し、お腹の部分は臓器がぐちゃぐちゃになりながら出ていた。


あまりの気持ち悪さに嘔吐するものがいた。


クロスは娘を見ていた。


彼女達は.......笑っていた。


それには村人達全員気づかなかった。


みんな娘のことで頭がいっぱいだったからだ。


それから村の子供達は怪我が多くなった。骨折や打撲など大小関係なく、怪我が増え子供達は自分の不注意だと言った。


多分彼女達だろう、彼の表情を見ればわかる、あの頃のような瞳に戻り始めている。


しかし問い詰め用としても子供達がやめてと言うし見ていてもそれらしい証拠がない。証拠がなければ、もし違ったら彼女達は無実の罪で罰してしまう。


嗚呼、神は本当にいるのか?いるのであれば彼にこの地獄を救うチャンスを与えて欲しい。


そう思って信じていない神に祈る、どうせ叶わぬ願いだと知っているから。


————————————————————


ところがある日、彼は1人でいる時間ができた、それは10年後の朝、彼が1人で村から出ていく様子を見た。


何事かと思ったらどうやら彼の父親がギックリ腰でやって動けなくなっているそうだ、今回はそれの代わりだろう。


しかしそれでも彼にとってはとても嬉しいことだろう、しかも何故か彼女達の姿がない、一体どういうことだろう?


そう考えていると、他の村の住民から話を聞いていたらしく、どうやら彼女達は彼のために嫁スキルとやらを上げるために色々やっていくらしい。


それにしても、義父には感謝しなきゃいけない、このような地獄を一時的にとは言え、解放できたのだから。


それからも彼は1人でいる時間出来、それを見計らってこっそりと話しかけにいく者が出始めた、

小さい頃から密かに恋心を抱いている者、友人、小さい頃にお世話になったおじさん、おばさんなど、密かに楽しむことができた。


義父のギックリ腰は治った。しかし


それからも彼は1人で薬草を取りに行っていた。


話を聞くとみんなに助けてもらった恩を返したいから、と昔見せてくれた笑みを少しだけ見ることができた。


もう少し、後もう少し、何かきっかけがあれば、彼女達ともなんとかなるのでは?


そう期待を込めながらしばらく時が過ぎ


この村に勇者が現れた。


どうやら勇者は自分と同じ選ばれた者を探していたらしく

皮肉にも彼女達が選ばれた、その次の日に、彼女達が出発する前に彼は彼女達に何か渡している、

それは結婚指輪らしい、しかも3つ。


理由を聞くと、彼女達がここまでするのは単純な理由で彼と結ばれたいから、


成る程、彼女達の束縛から解放される為に、1人ではなく皆んなと一緒に結婚する方法をとったらしい。

こうすれば他の人と浮気などしないと言えるな。


こうして彼女達はさり、彼もしばらくの間は平穏に暮らせるだろう。


何事もなければ、ね


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そしてその日が再び起きた


1年後、彼女達は変わった、帰ってきて驚いたのは指輪をつけておらず、何故か勇者にベッタリ、そして彼に話しかけようともせず、まるで汚物のような目で見ている。


そして最も驚いたのは、


婚約破棄


村から去った後彼から聞いた、どうやら彼女達は心変わりをしたらしく、彼から勇者に変わってしまったようだ。


彼は悲しそうな顔をしているが、小さい頃から彼を知っている者は気づく、


"笑っていると"


まるで計画通りにことが進んだように彼は笑っていたのだ。


この後彼は1人になりたいと言って何処かに行ってしまった。


そして残った者たちは思う。


彼女達の悪行はもう知っている。


証拠がないにせよ、何人かは殺されて、酷い怪我を負わされている。


例え、その理由を聞いても決して許されないだろう、だが彼がいいのであれば目を瞑ろう、そう1年前まで思っていた。


だがもういい、我慢しなくていい、確かに被害あった者の大半は彼に良い顔をしなかった者達だ、迫害をし時には石を投げていた。


それでも彼はやり返さなかった。


彼女達はやってしまった、それも何の罪もない者達も。


村の中にも派閥があった、

彼を受け入れる者

彼を迫害する者


そのほとんどの被害を受けたのは迫害した側だ。


受け入れた者は少しの怪我程度だ。


それでも彼女達のやったことは許されない。


出来れば多少の罰は受けて欲しい。


村長や彼の家族はどう思っているかはわからない、ただできることなら、こんな事がもう起こらないことを、神に祈るしかない。


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補足


 村の総人口は1000人前後


派閥があり


彼を村に受け入れる者


余所者を追い出そうとする者


 行方不明の娘


彼をいじめていた主犯格


彼を村から出してこの森で迷子にさせようと1人で行き、魔物に襲われた。

(つまり彼女達は無実)


笑っていたのはいじめっ子がいなくなって精々したから。


怪我の大小の理由


彼をいじめていた者と彼女達3人が対立して喧嘩していたから、

骨折とかがあるのは彼に2度と近づけないようにするため。


他の者が近づかない理由


彼女達の彼への執着心が怖すぎて下手に行動すると自分までああなるのでは?

と思っていたから。


クロスの婚約指輪💍の理由


村人には束縛は自分に選ばれたいからしているから全員にすれば良いと言っていたが。


本当の理由は束縛の激しさとそれがどんどん増して行きこのままだと家から一歩も出られない監禁生活になる為、


勇者を利用するために渡した。


 彼女達は人を殺したのか?


殺してはいない、何人かはクロスを何処かで殺して隠そうと行動してそのせいで不慮の事故や魔物の襲撃で死んでいる



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フローズ「私も一緒に指輪を作りました!

(`・ω・´)\びしっ」


クロス「数時間であんな本格的な物作れないしな」


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やはり、クロスとフローズはクズなのか?

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