第11話 作戦
彼の村にあいつが行く、もし彼が四職の職業の1人だったらもう会えなくなる。
その悲しさが心を蝕み、昨日は一睡も出来なかった。
翌日、彼女はいつもの所ではなく、村に来ていた。服装もいつものと同じ軽装だが、万が一バレたら大変なのでこっそりと行動する。
そして村の方に行くと、彼とあの"女達"がベッタリとくっついていた。
クロスは私と一緒にいる時と違って作り笑いをしている、なんでそんなことにも気づかないのか不思議な程だ。
でも、それでも、彼女達がクロスと一緒にいると胸が苦しくなる、この気持ちはなんだろう?
そして彼は村から出た、いつも薬草を入れる籠を背負い彼女達が見送っていた。
そして村が見えなくなってから彼の前に現れる。
クロス「!?フローズ⁉︎」
彼はとても驚く当然だいつもはあの森にいるのだこんなところにいるなんて思わないだろう。
クロス「...なんで君がここに?」
フローズ「...............」
クロス「フローズ?」
何か様子が変だ
いつもなら優しい声を聞かせてくれるのに、ずっと黙ったままだ。
とりあえず、いつものところまで歩こう、そういうとコクリと頷いてついてきた。
クロス達は結局いつもの所に来て座っている。
フローズのあの後黙ったままだ、多分何かを聞きたくても、聞けなかったのだろう。
クロス「なぁ、フローズ?」
フローズ「.......何?」
そう答えるフローズ、しかし元気がない、本当にどうしたのだろう?
クロス「何かあったんだろう?」
フローズ「...今日」
クロス「?」
フローズ「今日、勇者が来たでしょ?」
クロス「ん?あ、ああ来たな、魔王を倒すための仲間が必要だからとかで。」
そう、フローズが今日ここまで来た理由は勇者の件だもしかしたら彼が選ばれるかもしれない。
そう考えたら居ても立っても居られなくなり来たのだ、しかしもしそうだったらこの幸せな時間がなくなる、それが怖くて聞けないのだ。
クロス「...もしかして」
彼は気づいてくれたのか、そのあとの言葉が気になる。
クロス「もしかして、君も一緒に行ってしまうのかい?」
不安げにそういう、違うかもしれないが彼女がここまで黙っていると何が正しいのかわからない、とりあえず、1番恐れていることを言う。
フローズ「!ち...違う!そうじゃなくて...あの」
即座に否定する、しかし肝心なところで口が籠ってしまう。
それでもフローズは言った
フローズ「ク...クロスが..行っちゃうんじゃ...ないかって...思って」
クロス「へ?」
フローズ「だから!クロスが彼奴と一緒に魔王退治に行っちゃうかもって思って!」
成る程、自分の村に来るとなると少なからず選ばれる可能性がある、フローズはそれを危惧したのだろう。
クロス「フフッ」
フローズ「ああ!なんで笑うのよ!」
そんなにも俺のことを思ってくれている、そう思うと嬉しくてつい笑ってしまった。
ああ、その頬を膨らませながら怒る姿も愛おしい。
この幸せは奪われたくないその思いがどんどん増えていく。
クロス「大丈夫だよ、俺は選ばれてない。」
そう優しく答える、するとフローズは
フローズ「....ほんと?」
と前から抱きついてくる、それを受け入れて、頭を撫でる、見えない尻尾がブンブン振っているのが見える。
クロス「ああ、本当だ選ばれたのは俺の幼馴染達だ。」
するとフローズは心底安心したようにこちらに身を委ねる、本当に心底だったんだろう。
そうやって身体を預け頭を撫で続けて、ふと思った。
この状況利用できないかと、フローズから教えてもらった奴の能力、俺自身も半信半疑だったが、フローズの話でほぼ実感している。
その能力を利用すれば俺達は初めて解放されるのではないか?
そう考えると、フローズが
フローズ「ねぇ」
クロス「ん?」
フローズ「この状況使えるんじゃない?」
と笑みを浮かべる。
クロス「ああ、俺もそう思った。」
そして2人見つめあって
クロス「クク」
フローズ「フフ」
邪悪な笑みを浮かべながらこの状況の打開策を思いついた、これならいける。
クロス「さてと、長いこと苦しんだが、それももうすぐ終わりだ。」
フローズ「後は彼等が上手く動いてくれれば、私達は自由よ。」
奴の能力は知っている、ならそれを利用するまで、奴は甘い環境の中で育ってきた、
言葉巧みに使えば、奴はそれ通りに動くそして自分の思い通りになると思っているから、現実を見せつける。
まずは明日、奴の意識を俺にそして彼女達に向ける。
そこからは、彼女の出番だ。
フローズ「安心して、しっかりと言質はとるわ。」
そう言ってこちらをみて笑う。
多分俺もそうだろう。
さぁて勇者様?是非とも俺達と勝負といきましょうか?
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マンル「あの選ばれた3人なかなかに可愛いじゃないか。」
マンルは村の宿で1人つぶやいていた。
最近のマンルは王女であるフローズに一目惚れしておりなんとか自分の素晴らしさを伝えようとあれやこれやと行動していたがどれも意味がなかった、しかし彼はそう考えていなかった。
マンル(きっとシャイなんだろう)
そうマンル生まれつきその能力を持っていた。
だからその力を使えばどんな女性も自分の虜になっていた。
だからこそ、全ての女性は自分の事が大好きで、他の男といるのは自分という人間にあっていないから仕方なくその男といると心の底から思っていた。
だから彼がカップルや夫婦などを寝取るのが趣味なのは、彼にとっては、本当に結ばれる人間、つまり自分と結ばれるはずだった女を奪った奴から奪い返す。
そう思っているからだ。
だから、その男の目の前でヤったり、彼女達に酷いことをさせるのは
"僕から彼女達を奪った罰"
としてやっているからだ。
そして彼はそれを正義だと信じ自分こそが全て正しいと思っている。
だからこそ今回も
マンル「全く、僕と言う男がいながら、あんな奴の婚約者なんて可哀想だ。早く僕が救ってあげないとね。」
そうやって彼はまた人の人生を壊す。
だが、彼はまだ知らないこれが彼にとっての悲劇の始まりだと言うことを。
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ざまぁ展開はまだまだ先ですが、必ず来るので楽しみの方はもうしばらくお時間を!
どんどんフォローが増えていく、本当にありがとうございます😊
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