第7話 アルテミス、森の中で王子に遭遇

 自身の種族を両親から聞かされたアルテミスは、いつもの習慣である森の散歩に出掛けていた。


「今日も森は平和だな」


 森で仲良くなった動物や魔獣たちとじゃれあったりしながら散歩をしていたアルテミスはそう思った。


 この森のあるカルディナ王国では起きていないが、お父様の話によると他国では、戦争や内乱がたくさん起きているらしい。


 戦争なんかしたって、不幸になるばかりだし、お金も人もたくさん失うので、国の上層部は、侵略して自国の強さを見せつけるためや土地や資源を奪うことしか考えていない。


 だけど、侵略する側の民と侵略される側の民からしたら堪ったものではないだろう。


 そんなことを考えながら森を歩いていると魔獣と人の叫び声が聞こえてきた。


 この森は平和だな何て思っていたのは、何だったのだろうと声がする方に近づいて行った。


「ああ!」


 アルテミスが見たのは、複数の騎士から攻撃されていたのは、実際は逆なのだが、アルテミスが一番可愛がっていると思っているフェンリルだった。


「イリスをイジメりゅうな」


 慌てて噛んでしまったが、イリスと名付けたフェンリルを助けるために止めに入った。


「なんだ、ガキが邪魔をするな」


 大人がいる中で一番偉そうにしていた子供がそう言った。


「イリスは、私の友達です。イジめるのは許せません。

 それにこの森の深い所にいる魔獣は、狩ったり、捕まえたりしてはいけないと法律で決まっているとお父様が言ってました」


「僕は、カルディナ王国の第一王子だぞ。

 王子の僕が何をしようが何でも許されるんだ。

 おい!お前たちガキなんか気にせず続けろ。

 神獣のフェンリルだ。こいつをを弱らせて僕の命令に従うようにさせられれば、父上も異母弟のマルスじゃなく、僕を王太子にしてくれるはずだ」


 そんな理由で、そんなくだらない理由でイリスをイジメているのか。


「止めて~!!」


 私は、イリスと攻撃をしようとしている騎士たちの間に立ち塞がった。


「そんなカギに構わず、フェンリルだ。フェンリル。

 これ以上ガキが邪魔してくるようなら殺してしまえ」


「ガァルル」


 王子の命令により剣を構えて、こちらに近づいてくる騎士と王子の私を殺してしまえという言葉に怒ったイリスが唸り声を上げ威嚇しだした。


「ひひぃ怯むな!!それでもカルディナ王国の騎士か!!やれやれ」


 イリスの威嚇にビビりながら王子は、怯んだ騎士たちに命令を出した。


「アルテミス……アルテミス。どこにいるんだ」


 その時、お父様が私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。


 なかなか帰ってこない私を心配して、探しにきたのかな。


「アルテミス!!何しているんだ。

 それにあなたは、ジャミル第一王子殿下。なぜあなたがここにいるのですか?

 それにここは、森の深部ですよ。魔獣を狩るのは禁止されています」


「お父様。イリスがイジメられてたから、それを止めていたの」


「魔法指南役のカエサルではないか。そのガキは、お前の娘か。

 僕は、フェンリルを捕まえに来たんだ。

 フェンリルは、神獣だから魔獣とは違うのだから問題ないだろう」


 王子は、フェンリルは神獣だから法律違反にならないと屁理屈を言い出したのであった。

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