第6話 アルテミス、自分の種族を知る

 街から森に帰って来たアルテミスたちは、家族会議することになった。


「アルテミス。今日、街に行ってわかったと思いますが、人族は魔力があっても魔法が使えないということを知ったと思います」


「はい。でもお父様もお母様も、そして私も魔法が使えるので、容姿は人族ですが別の種族ということですね」


 私がそう言うとお二人は頷かれ、耳に付けていたピアスを外した。


「その通りです。この姿を見ればわかると思いますが……」


「エルフですね」


 耳が長く尖っているので、お母様が全て言いきる前にくい込みに私は言った。


「確かにエルフではあるのですが、私たちは、エルフの王族であるハイエルフです」


 私たちもそうであるが、エルフは森の民と言われる通り、森の中で暮らしている。

 でも王族なのに何で家臣や国民である他のエルフたちがあらず、私たち家族だけで暮らしているんだろう。


 姿を人族に偽装までして、何にか訳ありだったりだったりするのかな。


「お父様、お母様。王族なのに何故に、家臣や国民が居ないのですか?

 人族だと偽装している理由は?」


「私は元国王で、マリアは元王妃だ。わかったと思うが、今は国王でも王妃でもない。

 国がなくなったとかではない……エルフの国ラルフェーリア王国では、双子は不吉とされ、双子の弟か妹は殺す風習がある。

 私たちは、その風習を無くそうとしていたのだが、その前にマリアが妊娠し、双子を生んでしまった」


 前世でも大昔は、双子は不吉だとかあったらしいんだよね。


「それで、我が子を失いたくなかった私たちは、国王と王妃の座を弟夫婦に譲り、アルテミスの姉のアルカディアは弟夫婦の子として、育ててもらうことにして、私たちは国を出た」


「生まれたばかりでしたので、アルカディアに私たちの記憶はないでしょう。

 申し訳ないことをしたと思いましたが、自分がお腹を痛めて産んだアルテミスを失いたくなかったのです」


 お父様もお母様も私のお姉様にあたるアルカディア姉様と離ればなれになるのは、辛かったと思います。


 風習によって私を殺さなければならないのであればという事で、立場を捨て、もう一人の娘と二度と会えないという覚悟を持って決断したのだろう。


 私は、国と立場、を失った両親、協力してくれた父方の叔父様夫婦、本当の両親と二度と会うことが出来ないお姉様。

 色んな人の思いの上に生きていられるのだと思うと辛くなった。


「アルカディア姉様には、会うことはできないのですよね?」


「そうよ。アルテミスは死んだことになっていますからね。

 あの忌まわしい風習が無くならない限りは、会えないわ」


「弟のレミエルが私の代わりに国王として、風習を廃止しようとしてくれているから、いずれ会えるようになるかもしれないけどね」


 エルフは長命種だから長い目で見て、風習が廃止され、いつの日かお姉様に会える日を楽しみにし待とう。

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