第5話 アルテミス、異世界で大阪のオバちゃんみたいな獣人に遭遇する
ナダルさんに案内され、部屋に入ると異世界とは思えない服装の女性がいた。
「おい。ナタリア何だその服!!」
「ええやろう。オーダーメイドで作って貰ったんよ」
「派手すぎるだろう。頼むからその格好で店には出ないでくれな」
「あら!!マリア様。病気を治していただきまして、ありがとうございました。
私は、この通り元気なりました」
「そのようですね」
お母様もナタリアさんの格好と有り余った元気に若干、引きぎみだ。
「そちらは、娘さんですか?」
「そうです。娘のアルテミスです。アルテミス挨拶しなさい」
「アルテミスです。六歳です」
名乗ったあと、左手の指を五本、右手の指を一本立て年を伝えた。
「あらら、小さいのにお利口やね。そんなお利口なアルテミスちゃんには、飴ちゃんあげよか」
大量の飴をポケットから出し、私にくれた。
ナタリアさんは、イメージの大阪のオバちゃんって感じだ。
なぜ、イメージの中の大阪オバちゃんかと言うと、前世の大阪のオバチャンはヒョウ柄の服を着ているイメージがあるが、実際に大阪に行ってみるとそんなオバちゃんと遭遇することはなかったからである。
飴ちゃんくれるのは、大阪のオバちゃんでなくても高齢の女性は、飴を持っていて子供にくれることが多い。
大阪のオバちゃんがたくさんの飴を持っていて、飴ちゃんやろかと言ってくる頻度が高いだけである。
「ナタリアさん。お耳触ってもいいですか?」
異世界なんだなら獣人はいるだろうと思っていて、動物好きだった私は、会ってみたかったのだが、森から出られなかったので、会うことができなかった。
会ったら、耳や尻尾を触ってみたかったのだ。
「ダメよ。アルテミス。獣人はね。家族や大切な人にしか触らせないのよ」
「アルテミスちゃんは、耳が触りたいんか。ええよ。
私の病気を治してくれたマリア様の娘やからな。
特別や。しかし、獣人に驚かんし、耳触りたいなんて、変わったこやね」
「じゃあ、失礼します」
おお、たまらん。フワフワしている柔らかい。
「アルテミスちゃんの触り方は、気持ちええな。
癖になりそうや」
ありがとうございます。前世では犬や猫に同じように撫でたりしていたけど、気持ち良さそうにしているのは、わかるけど人間の言葉は話せないので、感想を聞くことができなかったので、こうやって感想言ってくれるのは嬉しい。
転生してよかった~。
それにしても、虎の獣人なのにヒョウ柄の服って、ナタリアさん、奇抜なファッションセンスですね。
-「ありがとうございました」
「また触りたくなっら、いつでもおいでな」
「はい。必ず!!そういえばナタリアさんは、どんな病気だったんですか?」
今は元気にしているけど、ナタリアさんは、病気だったのだ。それを治したのがお母様である。
こんな元気なナタリアさんがどんな病気だったのか気になったのだ。
「どんな種族でも魔力を持っていることは知っとるか?」
「はい。そして、人族は魔力を持っているけど、魔法を使えないと今日初めて知りました。
獣人は使えるのですか魔法?」
「獣人は、肉体を強化する身体強化の魔法だけ使えるよ。
でな、私の病気やけと、魔力が体の中で塊になって、詰まってしもうてな。
身体中を循環していた魔力が塞き止められてしまったんよ。
それで体調が悪うなってしもうたのをマリア様に詰まった魔力の塊を普通の魔力に治療してもらってな治してもらったんや」
「もう少し、遅かったら魔力が塞き止められ過ぎて、内側から破裂するところだったんですからね。
これからは、異変に気がついたらすぐに治療院に行くようにしてくださいよ」
「わかってますよ。まさか命にかかるようなことだとは、思ってもみなかったから軽くみとったんや。
これからは、気をつけます。
口うるさいけど大事な旦那もおるし、子供を授かったわけやしな簡単に死ねんさかいな」
ナタリアさん、妊婦さんだったのか。めでたいね。
ナダルさんは、人族みたいだし、生まれてくる子はハーフか。
どっちの特性を持って生まれてくるのかな?
獣人だったから可愛いだろうな。
お父様もお母様も魔法が使えるから見た目は人族だけど、二人と私の種族って何なんだろう?
「ナタリア!!聞いてないぞ」
「そりゃあ。今初めて言ったからね」
「そうか。俺も父親か……」
お父さんやお母さんになるって、どんな感じ何だろうな……私は、子供を産むどころか結婚以前に、恋人すら出来ないまま一回死んじゃったからな。
ナダルさんとナタリアさんを見ていると幸せな気持ちで一杯になるんだなと思った。
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