第30話 仙台戦争
日本独立軍 本陣
日本独立軍は仙台より北の町をすべて占拠していた
東西に広がり、仙台を取り囲むように三日月形の陣形を取っていた
飛行場、武器工場、銀行、放送局、重要施設を抑えている
道中で日本人をもれなく解放し、今陣を張る頃には兵力が6万人に増強していた
兵力だけでない、戦車や戦闘機、情報機器、食料、生活器具など様々な物資を手中に収め盤石の状態を誇っていた
後は吹けば飛ぶようなもう風前の灯火である政府を倒すだけ
ここまでくるともはや敗北が見えない状態になっていた
本陣、日本独立軍支部
「やっとここまで来たな.....」
あまりの出来に水面はボソッと呟いた
水面だけでない、健二、宮、弥生、生井
各主要メンバーが一息ついている
この組織に初めて余裕が生まれた瞬間だった
「そうですね。ですが最後まで油断せずに勝利を収めましょう」
慢心していては、足元をすくわれるかもしれない
弥生が水面の何気ない呟きに軽く返した
「そうだな。しかし、あっけないな.....。怖いくらいに上手くいきすぎている。あまりにも奇妙だ」
「.....リーダー、そろそろ時間です」
「.....そうだな」
「リーダー、あの早く立ってください」
その水面の遅さに健二はイライラした
いや今までの早さが異常だったかもしれない、がそれでも健二にとってはキビキビと動かない水面の姿勢に段々と怒りが募る
その気持ちを察してか、水面は心配そうに言った
「どうした、健二。イライラしているが」
「遅いです!リーダーは今まで驚くくらい早く行動してたじゃないですか。今ではカタツムリみたいに遅いですよ」
「そう焦るな。計画は夜から始める。その心配性は相変わらずだな」
「心配性?リーダー、敵を舐めすぎです。今ここは戦場ですよ。政府は雑魚としても、中国軍がとても恐ろしいです。特に陸軍大将、百ノ原は百戦錬磨の戦争の達人だとか。他にも七部護神なども」
「んん?七部護神?聞いたこと無いのだが、何だそれは」
「七部護神とは中国政府から正式に作られた称号です。その称号は軍人の中で一個旅団以上の実力がある人物に送られるものです」
「一個旅団以上の実力がある?」
一瞬、理解しがたい単語が出てきたことで水面は困惑した
大体、一個旅団=1万であるがその大軍を上回る実力などまさしく超人以外の何物でもないのだ
水面は非常に興味がわき、健二に詰め寄った
「詳しく聞かせてくれ」
「私も良く分からないのですが.....技術、知識、判断力、力。それらすべてを総合的に判断し送られるものなのです。聞いたところによると、ある一人はスナイパーが得意中の得意なのだとか。他にも.....色々と」
「なるほど。より興味がわくな。そんな超人見てみたい.....。だが今は戦場に集中しよう」
「.....」
先ほどまで余裕をこいていた人物が言う言葉ではない
一言一句、全てを返してやりたい
健二はそう思った
「それじゃあ、そろそろ始めるか。狩りを.....」
水面は決心し、テントから出た
日は暮れかけてきて、空は赤く満ちている
その空のもとには大量の兵士が待機している
空から見れば蟻のように見える
各々、自由に過ごしている
が水面はその集団の前に出て宣言した
「者共!出撃の準備をせよ。我々日本独立軍の目的は政府関係者の殺害、及び独立の宣言である。各々、受けた役割を果たせ。戦争開始だ」
今回の戦いは今までとは違い、組織戦である
水面は以下のように、部隊を分けた
【日本独立軍 全貌】
(最高責任者) 紙上 水面
(陸軍)3万人 責任者 真波 健二
(空軍)600人 責任者 白良 雪
(情報部隊)100人 責任者 滴模 生井
(補給部隊)1万人 責任者 神楽 弥生
(化学部隊)500人 責任者 灯 宮
他、予備部隊
日本独立軍が組織としてようやく成長した瞬間だった
仙台戦争が始まる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます