第26話 兆し
「おはようございます、中国日本省放送局です。先日、ネットのTwitterに独立軍と呼ぶアカウントが軍隊が敗北した写真や動画を投稿しました。その投稿は1分足らずで日本のネット中に拡散され、Twitterのトレンド入りを果たすなど大きな話題となっています。その影響か、いま日本のあちこちで反乱がおきています。今、仙台の中心部を映しますが、田所さん、現場はどうですか」
「はい、田所です。今、仙台は暴動化が起きています」
そう言って、田所が自分の顔から仙台の様子へと映像を移し替えた
カメラに写っている映像はまさしく革命寸前といったところで、犯罪が至る所に起こっていた
「政府をぶっ殺せ!」
「日本を返せ」
「革命だ」
「日本独立軍に続け、日本を取り戻せ」
煌びやかに輝いていた仙台は廃墟寸前まで追い詰められている
ビルは天に届きそうなほど高く建てられ、太陽光を反射し地を白に染め上げる
道路は綺麗に整備され、その沿いにショッピング店が所狭しと並ぶ
所々にある公園には自然が生き生きとしている
池は透き通り、草木は青々と茂っている
環境モデル都市、世界3大都市、日本省都市まで選ばれた仙台は今や見間違えるほど破壊の限りを尽くされていた
ビルは破壊、ショッピングモールも破壊、駅も破壊、公園も破壊、家も破壊、服屋、レストラン、スクール破壊破壊破壊破壊.....
暴徒は今までの怒りをぶつけるように、この世の不条理さを壊すかのように、気が狂ったかのように破壊を続けていった
「むう.....私は一体どうすれば.....」
その映像を見て、日本省の総理大臣
佐生 火部五は困り果てていた
普段なら国軍が鎮圧作業をしていくのだが、スラム戦争のせいで大半は崩壊
今や各省庁、国会、官邸だけ守るのが精いっぱいの状況となっていた
「士純.....あれだけ自信を持っていた奴が失敗とは.....。あんな無能に頼んだ私が馬鹿だったわ」
「しょうがないですな、これだから若造に頼むとろくでもないことになる。それより今は我らの生存方法を模索しなければなりません」
その総理大臣の傍らで四井元帥が宥めるかのように言った
「四井.....何か案があるのか。まさか内容が無いようだったら許さんぞ」
「ご安心ください、そのつもりで今日はここに来ましたのだから」
「それで.....案とは」
「それは本国へ一時撤退するのです。幸いにして暴徒らにリーダーという者はいなく、まだ港やそれに続く道路は健在です。全軍を中国へ輸送した後をもって国軍と中国軍。総力で反乱を一掃するのです」
「なるほど、よきに計らえ」
「承知しました」
仙台戦争まで後1日
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます