第21話 進行
「者共!私に続け!勝利はもうすぐだ」
反乱軍と正規軍隊の戦いが本格的に始まった
「者ども、私に続け!」
まず水面は川の手前に自軍を誘導した
スラム側の川の手前には、山から持ってきた大岩が置いてあり敵からの猛攻を防ぐことが出来る
反乱軍は大岩に隠れつつ、反撃した
発砲音が行き交う中で誰一人として欠けることなく誘導できたのは、ひとえに水面の並外れたカリスマ性があったからだろう
常人なら足がすくみそうで動けないこの状況を奮い立たせるまでに動かす水面の性格
彼ですら自分の才能に恐れをなした
ドン!
「ひっ.....!」
その異常に高い士気をバキバキに折るように、軍隊は攻撃を開始した
いくら精神が強かろうと覆せない物資の差がそこにある
反乱側はせいぜい小銃しか持っていない程度
時限式爆弾も5個しか持っていない
それに対し正規軍隊
最新式の銃に戦車、ロケットランチャー、大砲
食料、医療品、生活用品は潤沢
まるで今までのが茶番劇だと思うほどである
「ぐわっ!いっ.....」
「誰か助k」
反乱側は大岩で攻撃を防いでいるとはいえ、最新式の銃の威力は大岩の耐久を凌駕し破壊していく
次々に、負傷兵が出始めた
「そろそろか.....」
その押され気味の様子を見て、水面は呟いた
発砲音が飛び交うが、その大半は向こうからの音だ
反乱側は防御に徹することしか出来ず反撃に転じることが不可能な状況になっている
開始からおよそ10分も経たないうちに、水面は拡張マイクで撤退命令を出した
「撤退だ!スラムへ逃げろ!我々は敗けた」
「へ.....?」
「は.....?」
日本独立軍以外の反乱側は全員困惑した
彼らが今の今まで戦場にいたのは、水面がこの状況を打開できる策を持っていたと考えていたからだ
というより、そうだろうと縋っていた
精神の支柱が崩れた今、わらわらと反乱側はスラムの方へ撤退していった
政府側 陣地
「お、おお?反乱側が一斉にスラムの中へ撤退していってるぞ!」
士純中将は反乱側が一斉に撤退していっている様子を見て、意気高揚としていた
自論の正しさの証明が今、結果となって表れていることに気分を高鳴らせていた
拡張マイクを手に取ると、自軍に突撃の命令を下した
「反乱側は撤退した!軍よ、前へ進め。堀を越えてスラムへ侵入せよ。略奪・殺人の限りを尽くすのだ!」
その命を受けて軍が川だった場所、今では堀の扱いになっている場へ足を踏み入れた
まとまりが無くなった状態を突破することはたやすく、進撃を開始する
絶体絶命の状況
しかし、水面はある策を持っていた
「水面さん、本当に負けたんですか?」
「今まで信じてついてきたのに」
反乱側の一部は水面を責め立てていた
しかし、その大勢の攻めにも水面はびくともしていなかった
それどころか笑みを浮かべ、勝利宣言をした
「いや、この戦い。私たちの勝ちだ」
水面は手に握っていたボタンを押した
「お前ら全員、死ね!」
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