第18話 到着

「よし、思いついた!」

「ついに作戦を考えたんですか。リーダー、それでどういった作戦ですか」

「作戦は.....」


水面は日本独立軍主要メンバーの5人だけに、作戦の全貌を話した

スラムの中にもまだスパイがいる可能性があるからだ

話し終えた後、水面はテントから外に出て、溢れんばかりの大群衆に言い放った


「今、軍隊2万人がここスラムに向かっている」


ざわっ


周りの騒音をかき消すかのように、水面はありったっけの大声で今の現状を言った

軍隊が出てくるという予想事態の出来事に、人々はパニックになった

入居者も水面と同じく軍隊が来ることが分かっていたが、ここまで早く来るとは思っていなかったらしい

青ざめる人々の前で水面は演説した


「今、私たちの自由を取り戻すために残された選択肢は一つしかない。それは戦うことだ。だが、軍隊に恐れをなしもいい。逃げたい奴は逃げてもいい。だが、日本を取り戻したい奴は私についてこい!」


一通り水面が自分の言いたいことを話し終えると、喝采が沸き起こった


「おおおー---」

「日本独立軍万歳!」


一つ行動を間違えれば崩壊しかけた状況を一気に一致団結した水面の手腕とカリスマに改めて健二たちは感心した


「既に敵を倒す算段は付いている。後はそれを実行するのみだ。さあ、始めよう」

「水面様万歳!」


そこから、残された時間を使い水面たちは準備した

水面たちはまず、スラム側の川の岸辺に山にあった大岩を運んだ

一致団結した状況とはいえあまりの大仕事に5時間も費やした

次に、山の上流から流れてくる水を止め、川からの水の供給を遮断した

山から海にかけて傾いているとはいえ、石や植物など余計なものが沢山あった

が、その日は運よく晴天で川の水がすべてなくなるのに半日しかかからなかった

最後に、乾いた川にかかっていた橋を全て取り壊した


3月 8日 12:00 


反乱から一夜明ける


水面たち日本独立軍とスラム入居者が一致団結した結果

川の側に攻撃を防ぐような大岩を配置することができ、さらに川の水を抜くことに成功したのだ

しかし、どれもが防御に役に立つものであり攻撃になるものは一つもなく、傍から見れば問題の先送りをしているように見える

完成した状況の答えの見えなさに、作戦を知らされていない人達から不満が続出した


「水面様、この水を抜いた作業に何か意味があるんですか?武器を作っていた方がよかったんじゃないですか?」

「もしかしたら、意味がない作業かもしれない。だけど、そこは賭けだ。敵が間抜けであることを祈るしかない。それに、向こうの方をよく見てみろ」

「向こう?.....、あっ.....」


川の向こう側の方を目をよく凝らすと、絶望するような光景が広がっている

戦車やトラックが横一面広がって、こちらに近づいてくる

戦いがもう少しで始まる


「ああ、俺たち終わった.....」

「駄目だ、負ける.....」

「死ぬ.....」


スラム入居者たちに絶望の雰囲気が広がる

対して、軍隊側は余裕の表情を浮かべている

彼らは今回の戦いを戦いだとは思っていない、単なるピクニックだと思っているのだ


日本独立戦争初戦

全国に広がる反乱の一つとして終了するのか、はたや政府の鼻をへし折ることになるのか

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