第16話 緊急会議

3月 7日 日本の国会


中心から外側へ波上に円を描くように席が配置され、外側へ行くにつれて座席が高くなる日本の伝統的な作りがある建物

重厚な木材の上にカーペットが敷かれ、枠組みを取った窓からは日が差す

黒いカーテンが下ろされており、そこは一目見ただけでMVPが集まる部屋だと分かる高級な雰囲気を醸し出している部屋だった

選挙で選ばれた各政党が議案について話し合う場所だが、今日は少々雰囲気が変わっていた

今日そこには総理大臣や陸上大将、経済界の重鎮というそうそうたるメンツが集まっている


「では始めます。秘密会議を」


そう議長が宣言して始まった「秘密会議」

秘密会議とは簡単に言ってしまえば日本の今後について話し合われる会議のことだ

しかし、常会・特別国会とかそういうレベルの話し合いが行われるわけではない

誰を暗殺するとか、どこを攻撃するとかそういうディープな議題について話し合われるのだ


今日も新たな議題が入っている


【スラム入居者 殲滅作戦】


「えー、今回はこの議題についての話し合いをします」

「ではこの議題について賛成の方は起立してください」


そう議長が言うと、全員が起立をした

そう、秘密会議の最大の特徴は早く決められることなのだ

普通の会議ではぐだぐだ何ヶ月も話し合いが行われてようやく議案が可決するが、秘密会議では全体の3/4を越えればすぐに可決する即効性がある会議なのだ


が、即効性というメリットもあれば民主的ではないというデメリットもある

自分の利権を守らんがために権力者が勝手に決める都合のいい会議なのだ


「それでは【スラム入居者 殲滅作戦】を可決いたします」

「次の今回の作戦の内容について話したいと思います」


そう議長が言うと、スライドにこう映し出された


【スラム入居者 殲滅作戦】


状況:スラムを日本独立軍と名乗る組織が占拠し、無法地帯となっている

目的:スラム入居者の殲滅及びスラムの奪還

材料:二個師団(2万人)、戦車10両、戦闘機及び偵察機は無し

期限:明後日までに完了させる


「では、山口大将。後はお願いします」

「分かりました」

「それでは、この議案の一切を終了いたします。お忙しい中集まっていただきありがとうございます。本会議の存在については他言無用でお願いします」


そう議長が宣言して早々に終了した「秘密会議」

様々な思惑がある中、水面たちは軍隊と戦うという局面を迎えていた

スラム側は物資も人の質も少ない、唯一高いのは士気のみ

対して軍隊側は物質も人の質も非常に高く、士気も一通りある

日本独立軍の存続にかけた戦いが今始まる

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