番外編1 仙台へ行くには
これはスラムで決起する前日の一部である
「なあ、水面。作戦は分かったが、スラムにどうやって行くんだ?」
「ああ、そうだな.....。この攻略方法は」
健二は心して攻略を聞く準備した
今の日本には各市町村ごとに「検閲」というのが設けられており
自分が住んでいた町から逃亡する日本人を監視する役割がある
とは言っても、どこに行っても中国の支配が弱まることなく地獄が続くが
場所の違いによって同じ日本人でもそれなりに待遇は変わってくる
少しの差異しか存在しないだが
検閲を突破するのは容易ではない
というか本人が前日に予約を入れなければならないのだ
この条件をどう突破するか.....健二は水面に好機の目を向ける
「狂人作戦だ」
その内容を確認するべく、宮が水面に尋ねた
「具体的にはどういったものですか」
「具体的には.....これを被る!」
そう言って水面が自分で改造した仮面と服を中から取り出した
一瞬の沈黙の後、一斉に一つの言葉が出た
「は?」
翌日.....
「これで大丈夫なのか.....水面?」
盗んだ車を運転しながら健二が水面に己の愚かさを確認させる
そう思うのも無理はない
彼らの様子は悲惨だった
ボロボロの服に泥を塗りたくり、異臭を放っている
手には紙に黒く×と書いたものを持っている
車の中には糞尿が置いてあり、またラジオをハンマーで殴ったものがある
他にもシーツをぐしゃぐしゃにしたものや、鉄板をあらぬ方向に曲げたもの
何が何だか分からない
「当然!このまま行く。これば僕の考えた作戦っ、狂人作戦。狂ったやつは相手にしたくないものだ」
「いや、そうじゃなくて.....ごほっ。臭くて臭くてしょうがないわ!」
「不潔.....早く着替えたい.....」
「私もこの光景は身をふさぎたくなるものがありますけど.....。リーダーの考えた作戦は完璧だと信じてます!」
「それを聞いて僕も安心したよ。良かった。これを嫌がるってことはお前らまだ人間性は失ってないんだな。誇っていいぞ」
「いや、そんな当たり前のこと誇れって言われても.....」
この対極の場面で小さなことにうだうだと言ってる時点で今まで失敗してきた原因を
水面は察した
「お!検閲所が見えてきたぞ。このまま走れ」
「.....っ!分かりましたよ、やればいいんでしょ。やれば!」
健二はぶっきらぼうに答えると、そのまま発進し続けた
…
「そこの車、本人確認を行いますので一旦立ち止まってください」
「っ.....」
検閲所で水面たちの車は停車した
ダルそうな顔をしながら、役員が自分たちの車に近づいてくる
内面は震えながらも、水面たちは平静を装っていた
「それではドアを開けてください」
「分かりました」
そう水面が言って役員の指示に従いドアを開ける
役員が車の中を見渡すとそこには汚が広がっていた
その異常な光景を前に役員はたじろぐ
「ああ済まない.....。実は前日に予約を忘れて.....。通してくれるか」
「そ、それは.....出来ない規則で.....」
親切に装ったが、その答えを聞くや水面はおどろおどろしく暗くどんよりとした顔でこう答えた
「ああ、なんて言った?」
「ひっ.....!」
その狂人ぷりにさらに顔を青ざめる役員
その心境を見透かしたかのように、水面はさらに続ける
「我らシャインニング教の行く手を阻む気か!ポエンさまがお創りになった世界は醜い、醜すぎる!」
シャイニング教、ポエン様.....
どれもこれも水面の作った創作だが.....あたかも居たかのように言った
それに続けて健二や宮も精いっぱい狂人さを魅せる
「その者にポエン様の怒りが触れ!」
「ポエン様万歳!」
「っ.....」
何が何だか分からない
役員の頭の中はこう考えていただろう
となると、次に役員の考えることは一つ
「一刻も早く終わらせたい」
その考えだけが頭の中を支配し、ついに役員は震える様子でこう言ってしまった
「ああー、わ、分かりました!と、と、と、特別に見逃してあげましょう。いいいですよ通って」
「そうか、ありがたい」
こうして検問所を難なく突破したのだ
この後、役員が通報したがあまりにも変な内容だったので誰も信じる者はいなくまさに「狂人作戦」は一石二鳥に結果で終了したのだ
その後の車の中
「もう無理、恥ずかしい.....」
「っ.....」
誰もが顔を赤らめ、思い出すたびにまた顔が赤くなる
その様子を真顔で水面は見ていた
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