第2話 母

「お帰り、水面」


水面が自分の家の玄関を開けると、そこには水ぼらしい母がいた

いや水ぼらしいのは母だけではない

茶の間と寝室が併合した狭い狭い部屋

水道や洗濯機、風呂などのライフラインは存在しない、電気すらない

もはや縄文時代に戻ったように感じれる家


その光景を見るやがっくりと項垂れた水面だったが

その数秒後、それよりももっと悲しそうな顔で母にこう答えた


「今日も無理だった......ごめん、今日も雑草だよ」


そう、こぶしを握り締め歯を食いしばり、後悔残る顔でそう告げた


「大丈夫、気にしてないよ......」

「ごめん......」


その時、水面からぐうーと抜けた音が聞こえた

12:00、昼食の時間だ

それを聞き遂げた母はこう言った


「ごめんね、病気で外に出れなくて......。今日の昼も雑草でごめんね。もっとおいしいもの食べさせてあげれば......」

「別に大丈夫だよ。それじゃあ、いただきます......」


そう言いながらも、嫌々した顔でシュリーは鼻をつまみながら口に運んだ


「大丈夫、雑草でも美味しいよ」


彼にとっては、とんでもなくまずいのだろう

だがそう言っても食べるその根本的な部分には母の存在が大きかった

たった一人の家族であり精神の柱

そんな母を悲しませないために少しでも水面はやせ我慢をしているのだ


「うっ」


ダン!


「お前らあ、借金払え!」


その時、乱暴な言葉と共にドアが蹴り飛ばされた

がっちりとした体格を持ちしっかりとしたスーツを着たその中国人の男は借金立てだ

日本人には毎月毎月15万もの重罪が課せられている

それを払えなかった人たちを強引にでも払わせる役割を持つ

それが彼の職業、借金取り


「ちょっと待ってください、今月分の返済は来週までだったでしょう!」

「上からの命令で今日になった、どっちみち払う羽目になるんだ、今日払え」

「そんな......」


彼らにとっては約束を破るなど日常茶飯事で合った

自己中主義

根本にある中国人にとっては相手の気持ちを考えるなど出来ない作業である

最も水面も払う日が来たところで払えず同じ運命をたどっていただろうが


そうもたもたした水面たちをよそに、その中国人はこう言い放った


「全く、俺ら中国が日本をここまで発展させたのに感謝すらない奴らだ。恩知らずとはまさにこのことを言うんだな」

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