第12話 敵襲作戦
水面は手話により宮に命令を送った
「燃やせ」という命令を
(警察の目のほとんどは僕に向いている。その隙に宮がトラックに火を付ければ.....)
水面の2つ目の作戦
「敵襲作戦」
「おい聞いてんのか、仕事を馬鹿にしてんのか!」
「いや、決してそんな訳じゃないんだ。ただ軽く言っただけだよ(早く火をつけてくれ.....)」
そんなくだらない会話が数分続いた後.....
「うわあああああああああああ」
トラックの方から悲鳴が響いた
あまりの大声に今まで必死に水面を叩いていた人たちは一斉に声の方角を見る
その騒ぎに気付き、隊長らしき人が駆け付けた
「隊長!」
「一体何があった!」
「あの、あの.....トラックの方を見てください!」
「トラック?一体何が言いたい.....。!」
そう半信半疑の様子でトラックの方を向いた隊長は1秒後固まった
自分たちが積みあげてきた収穫物が炎にごうごうと燃え盛っている光景を確認した
「おい、なんで燃えてんだ!お前ら一体何してたんだ?」
「そ、それが.....。サボろうとか言ってた警察を叱っていて.....」
「お前ら馬鹿なのかー」
隊長の手はふるふると震えている
もし少しでも収穫物の数にミスがあったら
それだけでも激怒案件なのに、燃やしたともなれば
最悪の結末が頭をよぎる
事態の収拾を図るために、隊長は側に会ったメガホンを手に取り声を上げた
「お前ら火事だ。水で火を消せ!」
「はっ、はい!」
パニック
戦々恐々
人々の脳裏に移るのは上司の真っ赤な顔が映る
最悪の場合は処刑されかねない
さっきまで水面を批判していた人物は一斉に火の手を消そうとその場から立ち去った
「ふう.....」
なんとか危機を脱した水面は一息ついた
ピンチはチャンス
その作戦の完璧さに感銘を受けていた
「何とか危機を脱することが出来たな.....。よし、次は僕が動く番だ」
宮がトラックを燃えさせる仕事をした
今度はそれを余計に助長させるために水面が動く
たった二人のスパイにこうも揚げ足を取られる事態になった大きな原因はひとえに慎重になり過ぎたことだろう
怒られたくがないために、ちょっとのミスも許さずに糾弾する
そのせいで大きなミスをしてしまう
徹底的な上下関係が出来ていたことに感謝をした水面だった
水面は一通り落ち着くと、近くに乱雑してあったバケツに休憩用の酒を入れ始めた
「酒の持ち込みが禁止されていなくて良かった.....。さて、まだパーティは終わってない。本番はこれからなんだから」
中二臭いセリフを言った後、水面は酒の入ったバケツをトラックの方へ持っていった
一方、燃え盛るトラックの方では
「くそ、水はまだなのか!」
「今持ってきている所です」
「何でこんなことになってるんだよ.....。あれ、ここに水の入ったバケツがあるじゃないか」
「あれおかしいな.....まだのはず.....。まあいいか」
隊長は近くにある水面が運んできた水らしきものが入っているバケツを持つと、燃え盛る火の中に思いっ切りかけた
しかし、中に入っていた液体は水ではなく酒
ますます火を強める結果となった
「ペロ、これは酒?」
もはやとどまることのない火の量
大多数の警察の目がトラックの方へ集中している
完全に水面たちの掌の上に踊らされていた
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