第11話 足止め 

「うーん、どうすれば足止めをできるんだろう.....」


水面は足りない頭を使い。事の問題の解決策を必死に導き出していた

水面に与えられた使命はただ一つ、「全ての警察をスラムに行かせないようにする」ことだった

だが、今まで作戦など立てたことはなく、組織で言った虚勢もいわゆるその場限りのお為ごまかしであった


「どうしました、水面さん。いい作戦があるんでしょうね?」

「う、うん。大丈夫だよ。僕にはとっておきの作戦があるから」


必死に模索する中、彼が導き出した答えはこうだった

「考えるより動け」

そう考えるや早く、近くにいた警察へ話しかけていった


「なあなあ、なんか仕事するのだるくないか?」

「そうだな」


水面が近くにいる警察に声をかけると、あっさりとその人は受け流した

制服を着ているのもあるが、前日の違和感なく装う練習の成果もあり、テロリストだとは思われず、水面からの言葉を軽く返した


「なあ、仕事さぼって遊ばないか」


そう水面が言った

水面が無い頭から絞り出した最初の作戦、それは「さぼり作戦」

だるいということを最初に持ち出し、その後サボるということを持ち掛ける


「は?つまり、サボるってことか?」

「あ、まあ.....うん」

「頭でも湧いてんのか?そんなことしたら、上司に怒られるぞ。下らないこと言ってないで真面目にやれ」

「あ、そうだよね、僕もそう思う」


あっけなく撃沈する

落ち込む水面に追い打ちをかけるように、号令がかかった


「あと10分経ちましたら休憩は終了です。その後、警察の皆さんはスラムの方で監視を続けてください」


メガホンで隊長らしき男がでかでかと皆に伝わることで言う

それを聞くと、水面は低い首を余計に低くした


「くそ、一体どうすればいいんだよ.....」

「.....」


号令により余計に皆の気が引き締まる

仕事に対する熱意が衰えることなく

水面にとっては絶望的な状況だった


「なあ!」

「うん?」

「お前か?サボろうとか言ってた間抜けは?」

「は、はい.....」


どうやらさっきのサボろうといった発言が他の人たちにも知られたようだ


「この大事な事態に何変なこと言ってんだ?ぶち殺すぞ」

「ひっ」

「どうやらお仕置きが必要のようだな.....」

「す、すみ、、ま、せん.....?」


水面は疑問を抱えた

たった一つの発言、サボりをしようと持ち掛けただけで激怒するこの単細胞に

大げさな事で騒ぎ立てるキチガイ脳に少々疑問を抱いた


(.....、.....!)


水面の頭の中に一つの考えが思い浮かんだ

こいつらは、少しでも失敗することを恐れているのではないか

ここに居る大体の警察は日本人だ

今スラムで威張り散らかしている警察も中国人の上層物にはへこへことしていて立場が弱い

この心境を生かせないか


さっそく水面は相方の宮に手話で用件を伝えた


「(手話で)トラックに積み込まれたものを燃やしてこい。今こいつらは僕の方に集中している。その隙にバレない様に火をつけて、『敵襲だー』と騒いできてくれ」


その手話を受けた宮は手話でこう返した


「(手話で)分かりました」


そう伝えると、宮はトラックの方へ走り去った


「おい、聞いてんのか?ふざけてる場合じゃねえぞ」

「ああ、ソーリー、ソーリー」

「こいつ.....」

(これは何とかなるかもしれない.....)


今、なけなしの頭から絞り出した答えが正解に差し迫っていることを、水面は感じた

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