第9話 陽動
「分かりました!日本独立軍の作戦に参加します!」
「ありがとうございます」
弥生と健二は姑息な手段を使い、1人協力者を得ることが出来た
まだ1人しか説得に成功で来ていないのに、2人は安どの表情を浮かべていた
それもそのはず、ここスラムは繋がりが深く、よそ者と住居者の信頼の差は大きく離れている
従って、今説得した1人の協力者が他の住居者の説得の成功率は高くなるのだ
意気高揚している人を前に、健二がこう言った
「俺たちは他のスラムの人たちにも反乱を呼びかける。しかし、俺たちだけじゃ足りないからお前も手伝ってくれないか」
「は、はい」
さっきの脅しがよほど効いたのか、健二の顔を見るや再び委縮してしまった
それを見た健二がバツが悪そうに優しいこう口調で言った
「説得に成功したら、他の人に協力を呼び掛けてくれと言ってくれ。こうやって仲間を増やして、反乱する。これが俺たち日本独立軍の反乱計画の全貌だ」
「でも、警察が戻ってきた場合はどうしますか?妙な動き、それこそ反乱の誘いでもしたら一瞬で射殺されますよ」
「そこは、俺たちの仲間が何とかトラックの方へとどまらせるように頑張るから。心配する必要はない。焦らなくていいから、反乱に加わるよう皆に頼んでくれないか?」
「分かりました!」
「じゃあ......2時間後にここへ集合しよう」
「はい!」
そう協力者は元気に答えると、隣の家へ走っていった
「成功するんでしょうか......私心配です」
安心しきれていない健二の表情を察し、弥生は彼に言った
この計画の一番大事な部分は『警察をどれくらいスラムへ行かせないようにするか』
それこそ警察1人でもスラムの方へ戻った場合、反乱の成功率はグッと低くなる
一番の肝、水面と宮の采配に彼らの命はゆだねられている
一応、生井が見張りをして保険をかけており、もし失敗しそうな雰囲気が漂えば生井が声をかけ真っ先に逃げるようにしている
それでも、リスクなしという訳にもいかない
成功して欲しい、健二はそう考えていた
(お願いだから、ちゃんとやってくれよ......。俺はお前、水面を信用しているんだから......)
一方、水面・宮グループ
「あ、水面、警察がトラックの方へ来たよ」
彼らは望遠鏡で警察が来たことを確認した
とてつもない重責
自分の肩にのしかかっている責任の重さをひしひしと感じ、気が狂いそうになりながらも、その宮の報告に水面は涼しい顔でこう答えた
「了解」
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