第31話 首都観光-盗賊の捜査状況-
「まだ量産できない冷蔵庫とコンロは展示品としてあそこに置くとして、次にカサネ君が関わった盗賊の件について話そう。」
「何かわかったんですか?」
「いや、尋問しても誰かに雇われたことはわかったんだが、接触してきた者の素性がわからなかった。
最初に接触した後はほとんどが手紙での遣り取りだったらしい。
その証拠となりそうな手紙も処分されていて、もうないようだ。
普通なら、弱みのために残しておくべきなんだろうが、一人は手先がいたんだろうな。
なので、証拠品とともにこちらに輸送後、奴隷契約してから、すべて吐かせる予定だ。」
「そうですか、なら証拠品となりそうなものを持っているので出しましょうか。」
「ん?確か、食器と生活用品をもらったと聞いていたが、何かあったのか?」
「大体は商人や冒険者から取った物だったんだと思うんですが、これを見てもらえますか?」
俺はさきほど、手に入れた食器と盗賊の食器を出す。
「これはサインが掘ってない方が盗賊の食器、サインが掘ってあるのがブラックス商会の見習いが作ったという食器です。」
「これは、見たところ、同じ物に見えるな。」
「まあ、デザインが似ているだけと言われれば、それでおしまいなんですが、どうでしょう。」
「・・・そうだな、証拠品というには弱いかもしれないが、これを工房に持っていけば、何かしらの手がかりになるかもしれんな。経費を払うから譲ってもらっていいか?」
「ええ、自分で使うつもりではなかったのでいいですよ。」
俺は買った時の倍の額で二つの食器をギルドマスターに渡すことにした。
「じゃあ、これで話は終わりか。カサネ君は今後、どうするんだい?」
「俺はレードさんの店にお世話になりながら、冒険者稼業をしようかと思っています。」
「レード・・・。ああ、ソルトサーモンを扱っている商人がいたって報告が上がっていたな。魚を扱う者は珍しいから、覚えていたよ。じゃあ、連絡を取る時はレードのところに遣いを出そう。」
「そうですね、後でレードさんにも言っておきます。では、失礼します。」
「おう、またな。」
俺達はソファから立つとそのまま、部屋を後にする。
マルセル商会から出るともう、外は日が沈みそうになっていた。
「もう、こんな時間だし帰るか。」
「ああ、そうだが、あれはどうするんだ?」
「ああ、あれか。とりあえず、放置しよう。」
「?あれってなんですか?」
「後で帰った後で話すさ。」
俺はチラっと後ろを見ながら話す。
その見た先の角に何かがサッサっと隠れるのを感じながら、無視して、俺達は店へと帰る。
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