第29話 首都観光-ブラックス商会-

思わぬ収穫があった後、色々とそこらを見まわったが、他には特に珍しいものもなかった。

新規でない店にはもう販路を確保して安定した店が多く、流通がしっかりした物がほとんどで、珍しいものは見つからず、今足りない食材を買うことくらいしかなかった。


そうして、見ていき、いつの間にはA区画近くまできた。

そこまで来ると外見が同じような店が続いていく。


 「ここの店は同じ系統の店なのか?」

 「でも、外から見ると並んでいる商品は別みたいですけど?」

 「同じところというとあのマークがついていることか。」


看板の隅に大文字のBが書かれているのが共通している。


 「こうしていてもしょうがないから、店に入ってみるか。」

 「そうですね。」


目の前の食器関係の店に入る。


 「いらっしゃいませ。」

 「すいません、この店についているBってなんですか?」

 「ここは初めてなんですね。この店を含めたここら一体はブラックス商会の店なんですよ。」

 

ああ、なのペディさんをスカウトにきた胡散臭い男の商会か。


 「確かここでは2番目に大きい商会でしたっけ?」

 「ええ、皆さまのおかげ様です。」

 「で、ここの売りはこの食器なんですか。」 

 「ええ、主に貴族様に買って頂いている商品ですね。」


白い皿に金の装飾のついた豪華仕様。で価格は・・・。


 「白銀貨一枚ですか、中々の値段ですね。」

 「ええ、ウチでは焼き物界では有名な方に作ってもらっているものなのでこの値段となっております。」

 「そうなんですか。でも、どこにそれがわかる物があるんですか?」

 「皿の裏に製作工房のサインが掘ってあるんですよ。」


そういって、皿の裏を見せてもらうと、真ん中の溝にサインが掘ってあった。


 「これってサインが抜けていたりするものもあるんですかね?」

 「不手際で入っていないものに関しては確認出来次第、弾かれますので、ここに並ぶことはありませんよ。」

 「職人さんもミスったら大変ってことなんですね。うーん、壊すと怖いのでもっと手頃な物はないですかね?」

 「それでしたら、この裏に工房での見習い用で開いている店があるのでそちらでどうでしょうか?」

 「あ、お得なのもあるんですね、ありがとうございます、さっそく行ってみます。」

 「では、またのご来店をお待ちしております。」


冷やかしに見られたかもしれないが、裏で買う予定だしいいかな?

その後、裏にある店で目についた皿を買った。

その後、店を離れるとリムが口を開いた。


 「で、何が気になったんだ?」

 「ああ、これを見てくれ。」

 「それはこの間、盗賊の根城で手に入れた食器か。それがどうした?」

 「で、これがさっき買ったみならいの食器」

 

見習い用の食器と盗賊の食器で手に入れたものはつくりが似ているような気がした。

だが、盗賊の食器にはサインを掘っていないので、つくりが似ているだけでそれが同じものとは言えなかった。


 「さっき、店員が言っていた弾かれた食器が盗賊に流れているという考えか。」

 「じゃあ、兄さんは盗賊のバックにいるのがブラックス商会だと?」

 「いや、確定したワケじゃないけどな。作りが似ていても皿ぐらいなら言い訳がつきそうだが。で、ブラックス商会が絡んでいるとするとどう思う?」

 「かかわっていると考えると、よほど盗賊達の力を信じてたか、それともバカか。後は嵌められたと考えるところだな。」

 「まあ、現時点ではなんとも言えないからな。でも、ブラックス商会は注意しといた方がいいかもな。」


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