第23話 学園の秘密と援軍登場

  

 「兄さんってどういうことよ。それにその顔は日本人!?」

 「まあ、学園だけに通ってる人間にはわからないか。改めまして、冒険者ギルド所属Bランクのカサネと申します。

この度は私の妹をいじめてくれたようで、頭にキております、多少の怪我は覚悟してください。」


俺は装備セットから剣士を選択し、剣士用の装備にその姿を変える。


 「冒険者だと?このパーティに下賤な輩が来ようとは、衛兵よ、その者を捕らえよ!」


カイル殿下が衛兵に命令すると、衛兵が剣を構え、こちらに近付く。


 「兄さん!」

 「大丈夫だ、ミエ。さっさと片づけるよ、よし、リム、オウミ出番だぞ!」


俺は待機している二人に呼びかける。すると、窓ガラスを突き破り、オウミに乗ったリムが飛び込んできて、俺の横に着地する。

リムはオウミから降りながら、辺りを見渡し言う。


 「おお、いい場面じゃないか。で、どうする?」

 「ああ、蹴散らそう。オウミもよろしくな」

 「クルァ!」


この頃、運動も中々できなかった鬱憤を晴らそうとオウミも活きこんでいる。


 「じゃあ、いこうか。ドレインタッチ。」


リムが本体である魔導具からドレインタッチを使用し、辺りの衛兵を触る。

すると、衛兵がガクリと足をついたかと思うとそのまま、倒れてしまい、その衝撃で手が取れる。


 「きゃっ!?」

 「落ち着け、ミエ。これは人間なんかじゃない。」

 「え?」


倒れて動かなくなった衛兵の様子をみると先ほどまであった顔はなく、関節も継ぎ目がみえるマネキンのようなものになっていた。


 「こいつらは魔力で動いていた人形さ。そして、ここにいる大半の人間はその人形どもだ。」


この状況に驚いているのはヒロインであるミラと攻略対象者のみ、他の者は無表情にこちらを見ている。

 

 「それってどういうことなんですか?」

 「それはな、この町自体がダンジョンの中に作られているからなんだ。」


俺はこの学園に来た時に解説を使っていたその結果、始めに見た生徒のステータスがこれだ。


名前 ダンジョンドール

スキル マリオネットコントロール(魔力により操られる受け身型のスキル)


むしろ、人を探す方が難しいというほどにこいつらが多かった。


 「というワケでまずは人形共に退場してもらおうか、ミエやれるか。」

 「は、はい、頑張ります。」


俺は剣にスキル玉「ドレインタッチ」を付けて、人形達に切りかかる。

人形達は多いが、単調な攻撃しかしてこないので、連携や奇襲などに気を付けることもなく、サクサクと剣で切るとドレインタッチの効果で切った部分から魔力がなくなり、人形の動きが鈍くなる。

その隙をついて、オウミが次々と人形達を足場にしながら、上半身を砕いていく。

リムもミエと協力して、俺の相手をしていない人形に向けて、魔法とスキルを放っていき、敵を寄せつかないように立ちまわっている。


 「後は邪魔さえ入らなければ、人形共は殲滅できるな。」

 「ああ、でもそうもいかないらしい。」


入口の方を見ると学園外からも町民に扮した人形達が列をなして、入り込もうとしているのが見えた。


 「あれの相手もしないといけないんの?」

 「いや、俺達にはまだ味方がいる。」


その時、人形達の中心で爆発が起きる。

その爆風で多くの人形が吹き飛ぶ中、ある集団が姿を現す。


 「ミシェル、無事か!」

 「お父様!どうしてここに?」

 「そりゃ、愛娘の危機なんだ。ここで動かずして何が親だ!」

 「お父様・・・。」

 「旦那様、私たちもいることもお忘れなく。」

 「そうですよ、娘の前だからと張り切るのはいいですが、大人げないですよ?」

 「アン、トゥルーも!」

 

公爵様、メイド、兵士達と公爵家の面々が武器を手に入口に陣取る。


 「愛されてるな、ミエ。」

 「はい、兄さん。」

 「ん?カサネよ、うちの娘に兄呼びされているのはどういうことなのかな?」

 「そ、それはですね、後でいいですか。」

 「そうですよ、今はこの状況をどうにかしましょうお父様!」

 「しかしだなあ・・・。」

 「旦那様、それ以上は嫌われますよ?」

 「そこはお嬢様専属メイドとして私が聞いておきますのでご安心を。」

 「お、おい、私は父親なんだぞ。」

 「普段、あまりお話にならないのがいけないのですよ。」

 「ささっと人形を片づければ、旦那様への気持ちも上向きになるんですから、そちらに集中してください。」

 「ああ、もう、わかったわかった。後でなミシェル。おい、お前達、早く人形共を鎮圧するぞ!」

 「「「おお!!」」


娘命と見えそうなテンションの公爵家の面々に入口はまかせ、俺達はパーティ会場の戦闘を再開する。

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