第68話 VSストーム 冒険者の参戦と二回目のリンク

 「よく見たら、狂戦士ストームじゃねえか、こんなとこでゾンビになっているなんてな。」

 「おやっさん、会ったことあるのか?」

 「一度、戦場でな。あの時は味方だったからまだ良かったな、シルビア。」

 「そうね、敵とわかると次の瞬間には肉片に変わるっていうやな光景だったわね。」

 「そのレベルのバケモンか、気合入れねえとな。」

 「よし、お前ら、後輩に無様な姿見せるなよ、ゾンビに有効なのはポーションだ、じゃんじゃん使えよ!」

 「「「おおおおおおお!」」」

 「シャルちゃんさらったこと後悔させてやる!」

 「あれ?ゾンビって後悔するのか?」

 「後悔してるからゾンビになるんだろ?」

 「お前はずいぶん余裕だな。」

 「さて、カサネ君、私たちがあいつの相手するから今のうちに回復しときなさい、そこの聖女ちゃんよろしくね。」

 「あ、はい!」


冒険者達は自身の武器にポーションをぶっかけて、攻撃にかかっていく。

いつもうちの店で飲んでいる常連の冒険者達のチームワークはよく、隙を上手くつき、攻撃していった。それでも、皮膚の下に到達しない。


 「先輩、大丈夫ですか。「ハイヒール」」

 「ありがとな、大分マシになった。」

 「それであの人達は誰ですか?」

 「あの人達は冒険者。俺がお世話になっている店の常連さん達さ。信用の置ける人達だ。」

 「そうですか、いい人達ばかりなんですね・・・。」

 「城の連中はしょうがないだろ。・・・。さて、武器もないこの状態、どうすれば。」

 『武器なら、これがあるぞ。』


リムが黒い手に何かと握って、それを俺の前に投げだす。


 「魔剣・・・。」

 『もう魔剣じゃないぞ。さっきの折れた剣よりかいいもんだ、使え。』

 「そうだな、こだわっている暇なさそうだ。」

 『まあ、それでも皮膚の下にある魔石の塊に通るかどうかはわからんな。』

 「あれの中身が魔石?どうしてそんなことに。」

 『あいつが出てきた時に見ただろ、あれだけ魔石をとったんだ。全身が魔石におおわれる。』

 「全体に魔石ってそれを倒す算段はあるのか?」

 『ないな。』

 「そんな即答しちゃうのか、なにかスキル付与でできることがあるか・・・。」


そう思い、ステータスを見てみるとリンクの表示が光っているのが見える。

今度は魔剣かと嫌な予感にとらわれる中、リンクをタッチする。


 リンク 聖女スミレ


あれ?スミレが表示されてる。


 「スミレ、俺のスキルの対象になっているんだが、スキル使っていいか?」

 「え、危険なことなんですか?」

 「まだ、リムにしか使用してないけど、危険はないと思う。この形勢を逆転する新たなスキルが出るかもしれない。」

 「だったら、やりましょう。このまま、やられるのを待つなんてできません。」


俺は覚悟を決めたスミレの顔を見て、リンクを使用する。

スミレが光り、リンクが終了する。

そして、新たなスキルができあがった。

 

 聖石生成 神聖魔法を内包した石を作り出す。聖石の強さは作り出す時に使う聖女の魔力が多い程強くなる。


 「これはいけるか?」

 「はい、使い方は頭に入ってきました。行きます。」


スミレは天に祈るように、両手を合わせ、目をつぶる。

すると、スミレの全身から光があふれ、スミレの目のまえにその光が集まる。

光が段々と固体化していき、どんどんと大きくなっていき、スミレから出る光がおさまったときにそこに現れたのは白く輝く透明な石だった。

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