第57話 ※シフside 助けを求めて

シフは東地区に捨てられた捨て子だった。

頼れる人はおらず、辺りの人のことを盗み見て、路地での立ち回りを考え、そして、盗みをして生計を立てていた。


その日も本を盗むことに成功し、売りさばこうかと思っていた時、盗んだ相手に見つかった。

いままで、捕まった奴奴はどこかに連れていかれ、帰って来なかった。

今度は自分の番だと思った。

俺はパニックになり、そこから逃げようとしたが、襟をつかまれどうしようもなかった。

でも、俺は捕まることはなかった。逆に小遣いをくれた。

盗む以外で金を得る。それは初めてのことだった。

感謝されて、お金をもらう。

なんか胸の奥が暖かくなった。

そして、今後も頼りにされる。この関係が続いていくと思うとうれしくなった。

その時から、俺はカサネ兄ちゃんと呼ぼうと思った。そして、カサネ兄ちゃんに頼りにされるとわかるとやる気がわいてきた。


その矢先、あの男を目撃することになった。今度は女の子がさらわれていた。前はビクビクして追跡できなかったけど、今度こそはと東門の近くまでは我慢強く追跡できた。

でも、見失ってしまった。探したけれども何もなかった。

どうしようかと大通りに戻ってみると、駆けてくるカサネ兄ちゃんがいた。


夢中でさっきのことを説明し、東門の近くまで案内した。

突然、カサネ兄ちゃん光ったと思えば、壁が崩れた。

穴が出来た後、俺はカサネ兄ちゃんから頼み事をされた。

俺の体はその頼み事を聞いた瞬間走り出していた。

息が切れる、胸が苦しい・・・でも、足はそんなの無視して動いていく、目的地の銀狼の休み処へ。

位置だけは知っていたから迷うことなく着くことができた。


俺は店につくとそのまま、足がもつれて倒れてしまう。


 「おい、大丈夫かお前?」

 「とにかく、これを飲んで落ち着いて。」


さらわれた女の子と同じ銀髪の男女がこちらを心配そうにみていて、水の入ったコップを差し出していた。

俺はコップを受け取って、一気に飲み干す。

が、一気に飲んだからなむせてしまう。


 「ゴッホ、ゴッホ!」

 「おいおい、そんなに急ぐこともないだろうに。」

 「そうよ、落ち着いてね。」

 「ご、ごめん。でも伝えないと!銀髪の女の子のこt・・・。」

 「シャルに何かあったのか!」


銀髪の男の人が俺の肩をつかみ、俺の顔をじっと見ながら質問してくる。そこから放たれる殺気に体が震えそうになる。


 「あ、あなた落ち着いて!」


なんとか銀髪の女の人が引きはがしてくれた。


 「俺、東地区に住んでて、そこでさらわれている人を見たんだ。前はごみ漁りのおっちゃんで、今日は銀髪の女の子だったんだ。」

 「なんだって!行方不明事件があるって聞いたがまさか!」」

 「カサネ兄ちゃんがいうにはあいつが犯人だって。」

 「くそっ、そうなら東地区にいくのを止めたのに。」


銀髪の男の人がテーブルを叩く。その勢いでテーブルの上の食器が跳ねて、カシャンと音が鳴る。


 「今、そんなこと言ってもしょうがないでしょ!ねえ、それでカサネはなんか言ってた?」

 「カサネ兄ちゃんなら東門近くの穴からそいつを追って、外に行ったよ。」

 「無茶だ!こんな事件をおこしている奴なら相当な実力者のはずだ!俺達も行く!シルビア、今日は店じまいだ!」

 「わかったわ、じゃあ、とっとと片づけていくわよ。さあ、みんなも店から出て!」

 「わかったよ、おやっさん。でもな、俺たちもいくぜ!」

 「ああ、大事な看板娘のピンチだ、行かなきゃ男がすたる。」

 「無事に保護できたら、宴会しようぜ!」

 「お前ら・・・。ああ、飲み放題にしてやるよ!今から15分以内に準備して東地区の入口に来い。遅いやつは置いていくぞ!」

 「おおお!」

 

店の中にいた男達が雄たけびをあげてから店を出ていく。自分の装備を取りに戻ったんだろう。

 

 「で、お前、名前は?」

 「あ、シノっていいます。」 

 「おう、俺はジャン、で、妻のシルビアだ。準備が出来たら、カサネが通ったっていう穴まで案内よろしく頼む!」

 「うん、任せてよ!」

 「ああ、いい返事だ!」


こうして、冒険者達が東地区へと向かう。

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