第54話 目撃証言

リンクのスキルは相手とつながることだけでなく、念じるとリンクした相手を感覚で感じることができ、今回はそれを元にリムを捜索した。

まさか、中身が空の木箱をどけた裏に通路があり、そこからある建物に通じているとは思わなかった。

そして、俺は見つけた子供の襟を持ち、猫のようにもちあげていた。


 「くっ!放せよ!」

 「放したら、逃げるだろ?」

 「決まってるだろ!?」

 「正直にいい過ぎじゃないか?別に本が戻れば、俺はどうでもいいんだけどな。」

 「じゃあ、別に放してもいいじゃないか!」

 「まあまあ、逃げる前にちょっと小遣い稼ぎしないか?」


小遣いと聞いて、子供の動きがピタっと止まる。

 

 「小遣いってなんだよ。」

 「お、いきなり落ち着いたな。ちょっと聞きたいことがあってな、それについて話してくれるなら、小遣いをやるよ。」

 「話すことなんてあるのか?」

 「ここ最近のことさ、ここで気になること起きてないか、主に夜に?」

 「夜・・・?そういや、ごみ漁りしてたおっさんが剣を持った奴に担がれてるのをみたことがあったな。」

 「!?詳しく、教えてくれ!?」

 「その日は妙に霧?が出ててさ、視界が悪かったんだよ。

で、いつもごみ漁りしている音が急に途絶えてさ、気になったんで路地から顔を出して、そこを見てみたんだよ。

そうしたらさ、剣を持った奴がごみ漁りのおっさんの腕を剣で突いててさ、それで倒れたおっさんを軽々持っていっちまったんだよ。」


ふむ、どうやら、行方不明の犯人は剣をもった奴で確定だな。


 「顔は見ているか?」

 「いや、後ろからしか見てないしな。でも、剣にきれいな石がついててさ、これは高価なもんだと思って盗もうとおもったんだけど、なぜかその剣から視線を感じたんだ。」

 「視線?」

 「うん、まるで飢えた魔物みたいだったよ。そこからは隠れていなくなるのを待つしかできなかったんだよね。」

 『そいつ、もしかして魔剣じゃないか?』

 (魔剣?そういや、アイン達が話していたな。教会にあるとか言ってた。)

 『確認した方がいい。』

 (そうだな、後でいってみよう。)

 「よく見つからなかったな。」

 「運がよかったのかな?まあ、こんなところにいる自体でそんな運もないけど。」

 「で、そいつがどこにいったかわかるか?」

 「俺が見た時は東門に向かっていたよ。」

 「東門か、外に出ている可能性もあるワケか。ありがとう、これが報酬だ。」


俺は子供に指で銀貨をはじく。

子供はもらった銀貨に目を丸くする。


 「こんなにいいの?」

 「ああ、今後も情報をくれるんであれば、他にもやろう。」

 「本当か!?」

 「ああ、男に二言はないよ。俺はカサネ。これからよろしくな。」

 「俺はシフ。俺に会いたい時は大通りに来てくれればすぐにいくからね。」

 「わかった、じゃあ、またな!」

 「うん、またね!」


シフと別れ、俺は教会へと向かう。

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