第39話 注文の品
料理器具を注文して、数日。
パラライズを覚えたリムの活躍により、ゴブリン討伐が良く進むことになった。
あれから、カッパーゴートは見ていない。はぐれだったのか?
ゴブリンを討伐する傍ら、鉄などの捜索もして、アイテムリストの中には金属が貯まっていった。
ウハウハな日常をしている中、ギルドをとおして、鍛冶の依頼品ができたとの報告をきき、鍛冶屋に向かう。
「できたと聞いてきたんですが。」
「カサネ来たわね、ちょっと、待ってね。アンター!カサネが来たわよ。」
「おう、今行く!」
奥から声が聞こえ、ダラスが袋を持ってこちらに来る。
「待たせたな。これが依頼品だ。」
テーブルの上に出されたのは以下の品
銅で作られたフライパン。持ち手は平べったく作られていて、皮がまかれている。
同じく、銅で作られた深鍋。持ち手は平べったいものが左右に一個ずつあり、これにも皮がまかれている。鍋を覆うふたには真ん中にスライムコアがつけてあり、これでやけどをすることなく、作業ができそうだ。
フライ返しは鉄でお好み焼きのヘラのような形。
トングは鉄をUの字に曲げた平げったい板。つかむ部分はギザギザに加工してある。
お玉は鉄製で、表面が角ばる部分もあるが円型のすくい部分に持ち手が上に伸ばされている。
泡だて器は鉄の棒は苦戦したのであろう。均一にはいかないながらも形になっていた。
ジューサーは助言通りに製作したようで絞る部分のギザギザは尖り部分は丸く削れているようで、これも満足がいくものだった。
「で、これでどうだ?」
「あの絵でこれだけの品がつくれるとは思いませんでしたよ。」
驚いたことをダラスさんに告げたのだが、眉間にしわが寄っている。
「正直に言ってもいいんだぞ?」
「いや、本当に満足していますよ?」
「俺でもわかるんだ。これはまだ完成に至ってないと・・・。」
素人目には完成度は高いと思う。
けれども、元の世界ではこの器具達は量産品で形も均等に作られている。
その違和感が顔に出てしまったんだろうか?
でも、これ以上どうすれば改良できるのか・・・。そうだ!
「すいません、これ以上は俺にはどうすればいいかわかりません。」
「そうだよな、これは俺たちの仕事だ。自分で答えを見つけ出すしか・・・。」
「そこで提案なんですが、この器具を使っているところを見てみませんか?」
「料理をするところか。」
「故郷の言葉でこんなのがあります。『百聞は一見にしかず』100回言葉で聞くよりも一度見てしまえば理解しやすいと言った言葉です。」
「なるほど、料理しているところを見てみれば改良点も見つけやすいか。言われてみれば、武器と同じことが言える。」
「じゃあ、今度、銀狼の休み処に来てくれますか?」
「ああ、今は暇だからいまからでもいいぞ。」
「いえ、準備がありますので、明日ということで。」
「わかった。」
「ダンナとの話が終わったところで今度はアタシの番だね。」
二人の話を黙ってきいていたメイルさんが持ってきたのはアクセサリー。
スキル玉「消化」のアクセサリーには玉の周りを薄い鉄でコーティングし、そこから鉄の輪がでていて、その輪にはワイヤーが通され、ネックレスになっている。
スキル玉「脚力強化」には鉄のバックルの真ん中に玉が埋めこまれていて、皮のバンドで足に巻きつけられるようにしてあった。
「想像通りの品です。ありがとうございます」
「喜んでもらえてよかったよ。けどね、これはプレゼントだけにしときなさい。」
「なんでですか?」
「このスキル玉は使う時にかなり光るだろう?スキル玉っていうのはかなり高価なもの。うかつに使うと襲われかねないのよ。」
なるほど、この世界の治安は悪い。使うときに光るんであれば、スキル玉とすぐにばれる可能性がある。そうなれば、強奪なんてすぐにされる。
「そうですか。そうなると販売も難しいですね。」
「そこで提案なんだがね、魔具作ってみないかい?」
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