第37話 鍛冶依頼
フライパンなんかは絵でわかる。
でも、泡立て器とジューサーは絵ではよく伝わらないので説明することになった。
「では、まず、泡だて器から、ええと」
「ああ、俺はドワーフのブラスだ。よろしく。」
「よろしくお願いします。
で、泡だて器ですが、材料を混ぜる時に使います。
鉄の棒が等間隔にならんでいるふくらみ部分で混ぜていくと混ぜやすく、空気を含むことでふんわりとしたものをつくることができます。
構造はほとんどが鉄の棒を折り曲げて、この形にするだけでいいと思います。」
「普段、剣や盾なんか作るから、こんな棒は作らんな。」
「そうなんですか?鉄のワイヤーくらいなら作りそうですが・・・。」
「ワイヤー?」
「鉄を糸状にしたものですね。そのままだと強度が足りないと思いますので、複数の鉄の糸を先を固定してグルグルと回して、一本のワイヤーにするといいんじゃないですか?」
「そんなものがあるのか。」
「冒険者が使うなら、持っていくのに幅はとらないし、木と木の間にひっかけて、突進を妨害したり、投げナイフの柄につけて、投げた後回収したりできますね。」
「ほお、そりゃいいな。」
「後は形の崩れやすい服の中に仕込むとかですかね。」
「服にも利用できるとなるといくつか作ってみてもいいな。」
なんか話が脱線しているから、そろそろ次の話題に行こう。
「次にジューサーですね。これは果実を絞る時に使います。例えでいうと半分にカットしたオレンジのカットした断面をこのとがった部分にあてて、ねじるように力を入れていけば、外のくぼみに果汁が流れ出す。といったものです。」
「このとがった部分が鉄の塊になるのか?」
「いえ、鉄の板くらいのものでいいですよ。このギザギザ部分のつくるのに塊部分だとハンマーで変形させるのは難しいですし。」
「この形に成形するのは中々むずかしそうだ。」
「量産するのであれば、木の型で真ん中の部分を作っておけば、熱いうちに鉄の板で成形しやすくなるはずですよ。」
「とがった型はつかったことがなかったからも気づかんかったわ。」
「これで説明を終わりますけど、大丈夫ですか?」
「ああ、後は色々と試行錯誤しながらいくから大丈夫だ。で、料金だが、素材も提供されているし、白銀貨1枚でどうだ?」
「それだけでいいんですか?」
「ああ、いい経験になりそうだしな、完成を楽しみにしていろ。」
「はい、ありがとうございます。あ、あと頼みたいことがあるんですが。」
「なんだ?」
「これをネックレスにすることできますか。」
そこで取りだしたのがスキル玉「消化」
「これはスライムコアか?いや、これは・・・スキル玉!?」
「あれ?わかるんですか?」
「以前仕事で、スキル玉を埋められる武器をつくったことがあってな。その時と同じ感覚を覚えた。」
「確かにそれはスキル玉です。使ってみますか?」
「使うって、使うと中の魔力が減るだろう。」
「いえ、これは魔力も吸収するスキルでして、実質減らないんですよ。」
「ほお、そんなのがあるのか。なら、使おう。」
ダラスさんは以前にかかわった影響か使うのがスムーズだった。
自分に使った効果で煤汚れなどのしつこい汚れが消えていった。
「驚いた、こいつはいいな。」
「カサネ、私にも使わしてくれないかい?」
「ええ、いいですよ。」
メイルさんは洗濯場からだろうか、汚れた服を複数用意して、スキルを起動した。
すると範囲内の服がすべてキレイになった。
「こいつは凄い!主婦の味方だね。」
「カサネよ。これはどこで手に入れた?」
「それは企業秘密で。5個アクセサリーで作ってくれるなら、一つプレゼントしますよ。」
「え、いいのかい!?」
「はい、まだ伝手がありますし。あ、ガッドさんはどうします?」
「俺か・・・。カサネ、それは定期的に出すことはできるか?」
「定期的にとはいきませんが出せますね。」
「なら、俺の店で出してみないか?売り上げは半分やる。後、前金でその武具はやろう。」
「え!?」
「それだけの価値はあるんだ、これでも出してない方だぞ?スキル玉なんて、ダンジョンのドロップくらいだしな。」
ダンジョンにはそんなものも出るのか、いつか行ってみよう。
「じゃあ、ダラスさんのところでアクセサリーに加工してもらって、ガッドさんに売ってもらうということでいいですか?」
「ああ、今後も加工依頼があるなら優先でうけよう。」
「こっちには利益しかないからな、とその前にスポンサーに確認しておきたいんだがいいか?」
「スポンサーですか?」
「新しく店に並ばせるのに、スポンサーに審査してもらうことになっているんだ。いいか?」
「ええ、貴族でなければいですよ。貴族にかかわるのは嫌です。」
「ずいぶんと念を押すな。大丈夫だ。スポンサーは王城の貴族嫌いだ。」
「それなら、安心ですね。」
その後、スキル玉「脚力強化」も太ももに巻けるようにベルトでしめるアクセサリーにしてもらうことにして、鍛冶屋を後にした。
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